出直した霊気漂う高天彦神社を後に、
朝から精神的にも肉体的にも疲労の蓄積した体にムチ打って、
次の目的地の『橋本院』に向かいました。
予定の時間よりもかなり遅れていたこともあって、
そう遠くはないはずなのになかなか見つかりませんでした。
道を尋ねたくても誰もいません…、でした。
地元の人の姿も見ることはなく、
完全に”迷子”と言ってもいい状態になってしまいました。
こんな時は「深呼吸」です。
日本人メジャーリーガーの先駆者、野茂英雄さんのリラックスの極意。
野茂さんはピンチなった時には「深呼吸」をして、
心を落ち着かせていたと語っています。
野茂さんの過去の映像を見ると、確かに深呼吸をしています。
とりあえず、目の前に見えていた奈良ならではの民家をスケッチして、
心を落ち着けることにしました。
「こんな家、どんな人が住んでいるんだろう…」
描き終えた頃には、すでに多くの時間が経過していました。
橋本院はあきらめて、葛城古道では一番知られていると思う
『葛城一言主神社』(かつらぎひとことぬし神社)へ向かいました。
「悪事(まがごと)も一言、善事(よごと)も一言、
言離(ことさか)の神、葛城の一言主の大神」(古事記)
一言だけ願いを聞いてくれる「いちごんさん」です。
葛城一言主神社 本殿
祭神は、一言主大神と雄略天皇。
”二人の出会い”は、「古事記」にまで遡ります。
狩りの好きだった雄略天皇は葛城山で狩りをしていると、
向こうから自分や家来たちの”そっくりさん”一行がやって来ました。
「誰だ」と尋ねると、「葛城の一言主神」と答えました。
「古事記」では雄略天皇は一言主を敬い、
「日本書紀」では仲良く狩りを楽しみ、「続日本紀」では神を島流しに。
時の権力者は都合のいいように、
神をも手のひらの上で自由自在に扱っていたということでしょうか。
本殿前には、樹齢1200年とも言われる銀杏の大木がありました。
乳銀杏
この銀杏に願掛けすれば子どもを授かり、乳が良く出るとの言い伝えがあります。
「宿り木」とも呼ばれています。
遠くからも目にすることが出来るので、
一言主神社のランドマークとしても親しまれているようです。
この後は3時までに當麻(たいま)に行かなければならなかったので、
タクシーを呼んで近鉄御所駅まで直行