「横浜の残照」とも言える横浜市内を走り回っていた市電を
保存展示している『横浜市電保存館』を4年ぶりに見てきました。
場所は横浜市磯子区滝頭(たきがしら)にあって、
かつては車両工場、今は市営バスの営業所や車両基地になっています。
市営住宅の1階に入居している市電保存館。
横浜市電(チョロQ)のスケッチ。
ミュージアムショップの人気者だった「チョロQ」ですが、今は廃盤。
1904年(明治37年)、路面電車「横浜電気鉄道」が発足。
以後70年、横浜市民の足として活躍。
500型
1928年購入。関東大震災からの復興時の華やかな市電。
運転席も立ち入りOK、君も憧れの市電の運転手。
高い昇降口のステップは、今では考えられないほどの高さがありました。
35センチくらいでしょうか。
この高さでは、子供や年配者には大変だったと思います。
まだまだ着物の女性が多くいた昭和30年代、
さぞかし大変だったのではないでしょうか。
温もりのある板張りの床と内装
1928年(昭和3年デビュー)の1000型ボギー車の内部は、
アーチ型の天井、手彫りの細工も美しい木座。
吊り革が無ければ「オリエント急行」…。
1100型(手前)
「ロマンスカー」と呼ばれた車両で、一番お世話になった車両かも知れません。
1500型(手前)
チンチン電車の決定版と言われた車両で、最後の日まで走りました。
歴代の7両の市電が並ぶ、保存館最大の見所です。
左の市電は開業当時の塗装。
「記念乗車券」も多くの種類が発売されています。
右の東京オリンピック(1964年)の記念乗車券は、
見た記憶も使った記憶もあります。
ここ数年で、市電保存館の展示内容は一変しました。
「歴史展示コーナー」では市電の栄枯盛衰。
素晴らしいのが、「鉄道ジオラマ」でしょうか。
子どもはもちろん、大人でも楽しい、楽しすぎる鉄道ジオラマは必見です。
市電が最も輝いていたのは、1960年代(昭和30年代)でした。
しかし、1960年代になると自動車が普及して道路渋滞が慢性化。
市電の運行は次第に難しい状況になって来ました。
軌道敷内での自動車との共用が始まり、
次第に道路から市電が追い出されていくことになりました。
1972年(昭和47年)4月1日、
市電とトロリーバスはその役割を終えて最後の日を迎え、
横浜の「市電の時代」は終りました…。