子どものころ『家庭の医学』が愛読書だった。何も無くてもパラパラめくって興味のある部分を読んでいた。
どこかちょっとでも具合が悪かったりしたらさあ大変。症状から考えられる病気を探し、中でもちょっと珍しくて重い病気が当てはまりそうに思い込み、悲劇のヒロインになり切っていた。
そして数日後にはケロリと治っていたり、ありふれたすぐ治る病気だったりして終了。
百恵ちゃんが白血病のヒロインを演じた『赤い疑惑』とかの時代だから、そういうのに浅はかな憧れがあったのかもね。

時が過ぎ、丈夫ではないけどおおむね健康に育ち、子宝にも恵まれた。
医療の世界の片隅で働き、たくさんの大変そうな患者さんと日々接し、健康の有難さが身に沁みた。
このまま生活習慣病に気をつけて、認知症をできるだけ遅らせて、穏やかに年を取りたい。そして家系的に最期はがんで死ぬんだろうと思っていた。

そこへ忍び寄ってきた、パーキンソン病。
・・・ヒロインぽくない。
難病だけど人数はけっこう多い。進行は緩やかで、治らないけど病気自体で死ぬことは無い。ドラマ的に絵にならない(同病の人、ゴメンナサイ)。
何より、年寄くさい(個人の感想です、ゴメンナサイ)。
病気に憧れていたバカな子どもだったのは40年も前の話なのに今さら叶えてくれなくてもいいよ、と悪態ついても時は戻らない。

前向きに、今を大切に、諦めずに。
実際、再生医療の研究も進んでいるから近い将来に根治できる可能性もあるらしい。
ダメだった時がっかりするから期待しすぎず、病気と付き合っていくしかない。
ひとり暮らしなので病状が進んだときどうするのか、問題は山積み。
書くことで状況や考えが整理されることを期待してぼちぼちと書いて行こうと思う。