店内にはひとりで飲んでいる高齢の男性がいるだけで空いている。時間が限られているので、すぐに瓶ビールを頼み、とりあえず乾杯する。 

 

この前、新潟県能生のラーメン店まで出掛けて臨時休業だったことから弱気になり、珍しく前日に電話で開店しているのを確認した。しかし、ここは月曜日が定休日だが昼も通しで営業していて、今まで一度も裏切られたことはない。(写真/自家製のアスパラガスを摘まむ) 

 

私がこの食堂を居心地いいと思うようになったのは三回目の訪問の2018年夏。津南駅をゴールに据えた越後田沢駅からのポタリングで、風呂上がりに立ち寄った。列車の時間まで高校野球を観ながらのんびり待った。(写真/かつ丼と炒飯をみんなで取り分ける)

 

この食堂をはっきりと目的地に据えようと考えるようになったのは、仲間の一言。「あの店のかつ丼の味が忘れられない」。たった一度訪れただけなのにそう話してくれた。それまで私ひとりだけがそう思っていると考えていたので、この店を共有することができて嬉しかった。(写真/ラーメンも素朴な味で忘れがたい)

 

津南駅の建物の中にはこだわりのそば屋があって、初めは入浴後にそこで食べるつもりだった。それが駅前に大衆食堂があるのを発見して、そちらを選んだ。しかし、二回目に訪れた時はもうそば屋へ行こうとは考えなかった。これからも定期的に訪れることになりそうだ。(写真/津南駅の待合室から改札口をみる) 

 

帰りの列車ではこうして寝ることになる。ボックス席が空いていることもあるが、飯山線はどこかアンニュイな雰囲気をまとっているような気がしてならない。 

 

そんなことを見越して持ってきたのは本城雅人著「宿罪 二係捜査1」。選書の参考にさせていただいているブロガーさんが紹介してくれた。ところが私が借りられる図書館にはどこにも配架されてなく、知り合いの司書がいる館にリクエストして取り寄せてもらった。ところが、私も同様に夢の世界に陥り、1ページたりとも読み進めることなく旅を終える。まあ、想定内ではあったが。 

 


株価を上げていた駅前食堂へ END