2024年6月7日(fri)
 


この秋予定されていた、新ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放が来年以降にずれ込むと発表された。元々はこの6月に予定されていたのだが、元旦に発生した能登半島地震により、ルートの一部を担う黒部峡谷鉄道の鐘釣橋のトラスが落石により損傷してしまった。その影響で猫又駅-欅平駅間が不通になり、秋に再開する予定だったが、橋周辺の地盤が脆くなっているのがこのほど確認され、黒部峡谷鉄道の今年の全線開通は見送られた。同時に黒部宇奈月キャニオンルートの一般開放も持ち越されることになった。
 

 


私は以前、関西電力が主催していた時期に、当時の「黒部ルート」ツアーに応募し、黒部ダム側から通り抜けたことがあったが、今年から商品化されると聞いて、どんなプランになるのか楽しみにしていた。
 

 

延期になったのはそればかりではない―。
私は今秋、黒部ダムから欅平駅まで黒部川沿いの険しい登山道を通り抜ける山登りを計画していた。それは一歩間違えば川に転落する危険が伴うので、登山経験豊富な職場の若い仲間にお願いして連れて行ってもらうつもりだった。その目的は、地下にある黒部川第四発電所から送電線が地上へ飛び出る引出口を自分の目でみたいという私のわがままに、「下ノ廊下」と呼ばれる縦走路に憧れる仲間を巻き込むつもりだったのだ。

朝早く黒部ダムを発てれば、阿曽原温泉小屋まで行けるはずだ。そこで一泊して、翌日は欅平駅まで歩き、トロッコ列車で黒薙駅まで行って最寄りの黒薙温泉で打ち上げをして帰路につく2泊3日の行程を描いた。トロッコ列車に乗れなければ欅平駅から黒薙温泉まで歩く体力は私にはもう残っていないはずで、そもそも日程もきつくなる。そんなことから、この計画も流れることになった。

しかし、ふと考える―。 
黒部峡谷鉄道が部分運行となったことで黒薙温泉にある一軒宿は例年よりも人が少ないのではないか。そうなれば、むしろ静かな時を過ごせるのではないか。新ルートの関係者には申し訳ないが、そんな邪推な考えが頭をよぎる。
 

 


写真/1回だけの本格的な登山のため、知り合いから譲り受けた登山用ヘルメット