「ダム下」と呼ばれる誘導員の無線のやりとりが頻繁になり、やがて洞門から先頭のダンプカーが出てくる(写真)。顔見知りの運転手なのだろう、誘導員は時々頭を下げて迎えている。10月の行楽シーズンに休工期間があるようだが、11月末までこの運搬作業は続くという。その頃はかなり冷えるはずで、誘導員皆さんの苦労が忍ばれる。
アングルを変え、高瀬ダム本体のつづら折りの道を上るダンプカーを映像に収める。朝一番と午後一番は36台すべてが車列を組むから天端を含めると6段のつづら折りの道を駆け上るユニークな映像が撮影できる。ちょうど朝日が堤体にあたり、トラックのボディを際立たせる。
巨大なダムを走るダンプカーがミニチュアカーのように動くおもしろさは動画でないとうまく伝わらない。同じ速度だと単調なので、スピードを変えてみるとさらに独創的な映像になる。後日、YouTubeで公開する予定なので、ぜひこのシーンだけでもご覧いただきたい。
さて、すべてのダンプカーが上がって行ったので、今度は自分が堤体を登る。陽射しの強さを感じる。この先、遮るものはなにもないが、空気は乾燥しているのでウィンドブレーカーは脱がない。
第2カーブに差し掛かったところで、早くも土砂を積んだダンプカーが降りてくる。再び、動画カメラをセットし、ヘアピンカーブを巧みに曲がるプロドライバーの技を収める。
「ダム下」の誘導員もその様子をみている(写真)。ダンプカーが通り過ぎるまでは小屋で休憩する訳にはいかないし、歩いて来る登山者が来れば、注意を促すなど、気が抜けないポジションだと思われる。
高瀬ダムの天端に到着する。ここにも「こちらダム天…」と無線で話す誘導員が配置されている。すべてのダンプカーが下ったので、これでしばらく休憩に入れるのだろう。しかし、ここに小屋はなくマイカーで待機されるようだ。(写真/天端から左岸側を望む)