2021年7月4日(sun)

 

全国高等学校野球選手権大会長野大会が始まった。昨年は新型コロナウイルス感染症への不安から中止になった。甲子園に繋がらない県独自の大会は開かれたものの、それは無観客試合で、高校野球ファンにとっても待望の開幕となる。(写真/ここ松本市営野球場の他、県内4球場で熱戦が繰り広げられる) 

 

第二試合の終盤に訪れるが、地元の松本県ヶ丘高校は、一昨年決勝に進んだ伊那弥生ヶ丘高校に7回ゴールドで敗れた。続く第三試合は、やはり地元の松本美須々ヶ丘高校が、春夏通算4度の甲子園出場を果たした東海大学付属諏訪高校と対戦する。(写真/東海大諏訪の応援席。さすが強豪校だけに部員が多い。しかし、元気な声援はなく物足りない) 

 

松本美須々の選手層も決して薄い訳ではなさそうだが、私が記憶するところ、過去ベスト16がいいところだろうか。おそらく東海大諏訪が松本美須々を圧倒するに違いない。多くの観客はそう思っているだろうが、1回表、松本美須々が先取点を上げる。 

 

その後は息詰まる投手戦。松本美須々の投手は、荒れ球のようにみえて要所要所を打ち取り中盤まで東海大諏訪をノーヒットに抑える。逆に松本美須々の方が得点にこそ繋がらないもののたまにヒットが出て拍手が起こる。観客の多くは、やはり地元のチームを応援しているようだ。(写真/雨が時々降り注ぐ。多くの観客は屋根付きのスタンドに逃げ込む) 

 

松本美須々の投手はヒット1本に抑え終盤を迎える。コントロールが定まらないから粘ればフォアボールで塁が埋まるのではないかと思うが、東海大諏訪の選手たちは明らかに焦り始め早打ちしてボール球に手を出す。もしかして番狂わせと思った矢先の8回裏、ツーアウトまで追い込みながら松本美須々の失策により3塁まで進塁させてしまう。(写真/スコアボードにはE(エラー)の記録が刻まれる) 

 

しかし、ここも無得点。松本美須々の生徒たちはメガホンを振って喜んでいる(写真)。その手前のスタンドにはOBらしいグループの若者が控え目に座っている。彼らは昨年、選手権大会に出場が叶わなかった卒業生なのかもしれない。まだ残っているであろう悔しさをひた隠しにして、後輩たちのために応援に駆け付けたのではないか。そう考えただけで目頭が熱くなる。

 


ゲームはそのまま松本美須々ヶ丘高校の投手が完封し初戦を突破する。その瞬間、多くの観客も手を上げて喜ぶ。コロナ禍でなければ大歓声が沸くところだ。反対に東海大諏訪の選手は誰ひとりとして敗れるとは思ってもみなかったはずだ。特に3年生はいきなり引退の日になってしまい、しばし涙に暮れることだろう。しかし、これが高校野球なのだ。

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一昨年は飯山高校が9年ぶりに公立高校としての甲子園出場を果たしたが、今年の長野大会の頂点に立つのはどのチームか。しばし目が離せない。 

 

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7月9日現在、伊那弥生ヶ丘高校も松本美須々ヶ丘高校も2回戦で姿を消している。