牛山隆信氏の「秘境駅へ行こう!」のウェブサイトでは、為栗駅は現在13位にランク付けされている。飯田線では小和田駅(3位)、田本駅(5位)、金野駅(6位)、中井侍駅(10位)に次ぐ。(写真/待合所には定番の駅ノートが置いてある) 

 

駅の東側、山手にはダム湖に水没しなかった二軒の人家があるが、現在はいずれも誰も住んでいないようだ。グーグルマップでみると、周囲に家はなく、地元の人がJR飯田線を利用しているとは思えないが、少し離れた対岸の集落から、祖父が車で送迎し飯田市内の高校(※)に通う生徒がいるのかもしれない。(写真/待合所付近から温田駅方面をみる)
※隣駅が最寄りの阿南高校ならそのまま車で送って行ける。 

 

待合所の隣には通信設備なのか何かの測定機器が収めてあるのか不明だがコンテナが設置されている。現役で使われているのかさえわからない。(写真/平岡駅方面をみる。ホームは緩やかに弧を描いている) 

 

駅前の観光案内看板は古めかしいが、和知野川キャンプ場は施設も新しくリニューアルされたのか人気のようだ。県道1号との合流点には「ふるさと味覚小屋」という洋食屋もあってカレーライスがお勧めのようだ。次の列車までの待ち時間をここで過ごす秘境駅ファンもいるのかもしれない。 

 

為栗駅と約1㎞先の県道1号までは、歩道の天竜橋(写真)を含め県道430号(為栗和合線)となっている。車の通行は右岸までだが、今やこの道が駅と生活圏とを結ぶ唯一の連絡手段となっている。私には非日常と日常を分ける橋のように映る。 

 

かつて平岡駅との間に「遠山口駅」があった。その名の通り遠山郷へ通じるための駅だった。しかし、平岡ダムの建設により線路の代替えが生じ、ダムの竣工と共に廃止された。そのため為栗駅-平岡駅間は4.7㎞と飯田線としては長めの駅間となっている。(写真/平岡駅方面には延長101㍍の為栗第五トンネルがある) 

 


阿南病院や阿南高校の最寄り駅である温田駅と天竜村市街地の玄関口ともいえる平岡駅の間にありながら、山間にひっそりと佇む為栗駅。新型コロナウイルスによって経営が苦しくなったJR東海が、飯田線において廃駅を検討してほしくないものだと願う。(写真/為栗駅に停車中の下りの列車) 
 


為栗駅 END