上流側の川底に貯めこまれた土砂の割合を示す堆砂率は、平成20年(2008)の際約84%で、上流の泰阜ダム、下流の佐久間ダムと同様、頭の痛い問題となっている。主に南アルプスの急峻な谷間を流れる支流が運んだ土砂が天竜川に流れ込むためだ。支流に設置された小渋ダムや美和ダムは、こうした問題を緩和するために建造されている。 
 

 


ダム湖は総貯水容量4,242万5,000立法メートル。天竜川上流で並行する県道1号やJR飯田線の車窓からは美しい湖面を望むことができる。(写真/非常用洪水吐から放流に使用されていると思われる2門には作業船のようなものがある。ここに水が集中するため、ごみを取り除く設備なのだろうか) 


ダムの下流側に天龍村の市街地が開けているが、天竜川は大きく右へ蛇行する。その右岸側には平岡発電所がある。つまり写真右の山の中を導水路トンネルが貫いており、4台の水車を回転させている。(写真/上流側から堤体を望む=2020年11月28日撮影=)

 

 

平岡ダム左岸にある中部電力平岡ダム管理所。この管理所では泰阜ダムの他、岩倉ダム、和知野堰堤、駒場堰堤など支流のダムも管理している。ダムカードは、ここでは配布されておらず、JR平岡駅に併設されている龍泉閣のフロントが窓口になっている。 

 

設置されている案内板のイラストが、ダムや導水路、平岡発電所との位置関係を簡単に説明している。なるほど川が蛇行する場所がダムを築く上でポイントとなるが、その高低差こそが重要な要素なのだろう。 

 

堤体の右岸200㍍ほど上流に平岡発電所の取水口がある。導水路は地下に設置されている2本の圧力トンネルだが、取水ゲートは8門あり規模も大きい。
 

 

場所を移動して、平岡発電所がみえる天竜村市街地にやって来る。発電所は対岸の右岸側に位置するが、長野県で一番早く咲くといわれているソメイヨシノの木立ちが確認できる。しかし、何といっても目が行くのは大型のサージタンクの存在だ。 
 


平岡ダム・平岡発電所 Vol.3に続く