2019年7月6日(sat)

 

中部電力宮城第一発電所に設置されている発電機が、日本現役最古のものと知り、実際に観てみたいと考えた。安曇野市のウェブサイトを調べると、偶然にも観光協会が主催する特別見学会がこの時期にある。特別見学会は3年前から始まっていて年2回催されているようだ。(写真/ウェブサイトから申し込むと協会から書類が届く)

 

 

集合場所の有明山神社駐車場からは歩いて発電所まで行く。今回、説明してくれる中部電力の社員に、さっそく疑問に思っている宮城昭電広津線のことを訊いてみるが、彼らは大町電力所発変電課に属しており、姫川、薄川、烏川そして中房川などに点在する中信地区20ヶ所の水力発電所を管理するのが仕事なので、送電線のことはよく分からないのだという答えが返ってくる。(写真/扉が開けて宮城第一発電所に入る)

 

 

松本市を流れる薄川にも4ヶ所の水力発電所があり、その内、薄川第一発電所は宮城第一発電所より早い明治32年(1899)に運用を開始していて120年の歴史を誇ると聞き、また冬枯れの時期になったら訪れてみようと考える。(写真/この前は近づくことができなかった宮城第三発電所へ水を送るための沈砂池)

 

 

発電所建屋の裏には、敷地の中に入らないとみることができない水圧鉄管がある。有効落差50.65㍍を見上げる壮大な光景だ。明治時代、最初にこの落差に目を付け、ここに発電所が誕生することになったのだ。コンクリートの基礎にある銘板には、水圧鉄管を取り替えたと思われる年が昭和54年(1979)とある。果たしてそれくらいの期間で取り替えるのだろうか。

 

 

建屋の外には、見学用のパネルがあり様々なデータが展示されている。発電が始まった明治37年(1904)安曇野地区における送電線と配電線の延長は25.3マイル(約40.8㎞)と同じ。大正12年(1923)は送電線が88.5マイル(約142.4㎞)、配電線が1,402.2マイル(約2,256.6㎞)。この時代、急激に電線網を拡大しているのがわかる。

 

 

改めて水力発電が電気を生む仕組みをパネルで学んでみよう。水圧鉄管を流れ落ちてきた水は、水車を回転させ、それが軸の向こうにある発電機に連動する。ここはシンプルな「流れ込み式」の発電所で、自然に優しい造りになっている。

 

 

いよいよ発電所の中に入る。するとそこには2機の発電装置がある。手前が2号機で大正3年(1914)に設置されている。そしてその奥にあるのが、日本現役最古の1号機。水車はフォイト社、発電機はシーメンス社で、ともに明治36年(1903)に製造されている。
 


宮城第一発電所 特別見学会に参加! Vol.2に続く