最初だけはやや上りだったものの、それからは下り基調の道になる。やがて国道229号に出ると、その先には日本海も望める。目的の食堂はもう少しだ。 

 

ふと右側の奥をみると、何やら大きな鉄格子がある。はじめはピンとこなかったが、これはおそらくヒグマ用を捕獲する罠だ。以前、JR飯田線の秘境駅・大嵐駅から歩いて行く夏焼集落に向かう道で同じものをみた。ただし、まったく違うのはその大きさ。それに比べてヒグマ用の罠は3倍くらい大きい。不用意に歩いて来たが、今さらながら周囲を見渡す。 

 

30分ほど歩いたからビールが美味い。積丹半島は、うにが名産で、朝9時前なのに行列の出来ている食堂が、バスの車窓からもみえた。(写真/せっかくなら、うに丼を頼めばいいのに、一杯に4,000円以上の金額を掛けることが躊躇われ、お手頃な海鮮丼にしてしまう)

 

さらにつぶ貝を頼み日本酒で合わせる。まるで恒例の冬の旅のようだが、今日は自転車に乗らないから遠慮はいらない。先ほどのレストハウスが高い料金だったかはわからないが、ここまで歩いてきたことに、ちょっとした褒美気分で北海道の幸を堪能する。 

 

食堂から出て小樽方面にみえる半島には積丹出岬灯台があるはずだから、あの岬はやはり積丹出岬と呼ぶのだろうか。雨が通り過ぎ、海の色は何となく明るくなっている。本当の積丹ブルーには出会えなかったが、すでに心はすっきりと晴れている。 

 

予定外の行動をとったものの、きちんとバスの時間には間に合う。というか間に合わせなければ大変なことになるのが、列車やバスを利用する北海道の旅だ。成り行き任せの旅に憧れるものの、まだその域に達していない。(写真/草内停留所から小樽駅前行きの中央バスに乗車する) 
 


働き方改革で北海道へ Vol.21に続く