2018年5月28日(tue)

 


 

信濃毎日新聞一面に映画監督の降旗康男氏が20日に亡くなっていたことが報じられた。降旗氏は松本市出身なので、地元紙としては大きく取り上げている。それを目にして「やはり」というのが本音だった。高倉健の遺作「あなたへ」(2012)まで20本もの作品を一緒に創ってきたが、高倉が亡くなって4年半。喪失感に襲われたのか、最近は元気がないと聞いていた。 

降旗監督は物静かな方で、映画撮影の現場でも声を張り上げることはなかったという。どちらかというと、それはカメラマンの木村大作氏の役割りで、知らない人は皆、木村氏が監督だと勘違いしていたという。高倉もそんな寡黙な監督に魅力されていたからこそ、最後まで一緒に仕事をしてきたのだと確信している。

ふたりは、人生の痛みに耐えながら、それでも真っ直ぐに生きようとする人たちを描こうとしたのだと私は思っている。降旗監督が語った「駅 STATION」(1981)の結末。脚本家の倉本聰氏はハッピーエンドの本を描いたのに、降旗氏はロケまで敢行しながら反対の結末に導いた。確かに幸せなに終わる映画は気が晴れるが、それだったら、こう何度も観ることはなかった。心に深く刻まれる映画を残してくれた降旗氏が、また高倉と再会し、氏の遺作になった「追憶」(岡田准一氏主演/2017)のことを問わず語りしている。そんなふたりの姿を想像してみた。 


一ファンから、降旗康男監督のご冥福をお祈りいたします。
 


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