大町ダムは国土交通省の職員8名と委託企業の社員とが管理し、24時間体制で監視されていて、治水としてのダムの使命を痛感する。以前、長野県では田中康夫知事時代に「脱ダム宣言」があり物議を醸したが、線状降水帯が頻繁に現れる現代にあっては、ダムの役割りは以前にも増して期待される気がする。(写真/天端から先ほどまでいた場所を見下ろす。今日は利水用の放流が行われてなくて少し残念だった) 
 

 

七倉ダムは、これから向かう高瀬ダムと同様に岩石や土砂を積み上げて造ったロックフィルダム。その規模はクフ王のピラミッドの約3倍だと説明される。7年の月日を掛けて造られたこのダムには、実は昨年10月に訪れている。今日のツアーでは、ダムの下に設けられた広場から見上げるだけだったので、また後日、機会をみて紹介したい。 
 

 

七倉ダムの見学を終え、さらに高瀬渓谷を上流へと進んで行くと、三軒の宿で構成される葛温泉があり、さらに進むと七倉山荘の奥に、許可車両以外は入れないゲートがある。ここから先(写真)は、あと15分ほどで高瀬ダム着くはずだ。 
 

 


高さ176㍍の高瀬ダムは、黒部ダム=堤高186㍍に次いで第二位だが、ロックフィルダムとしては日本一の規模を誇る。その上、その堤体につづら折りの道があり、車で上ることができる珍しい構造となっている。 

 

ダム本堤のコアの部分は粘土質。これを何度も固めて水を通さないようする。さらに表面には大きな岩が置かれているが、こうした巨岩が近くの周囲の山から調達できるためコストダウンに通じている。岩は約8万個あるが、これは一人の職人が5年の歳月を掛けて積んだという。 


 

本堤の右岸側にはスキーのジャンプ台のような形状の非常用洪水吐がある(写真奥)。この洪水吐の角度は約39度と説明がある。白馬ジャンプ競技場のラージヒルの最大傾斜が37.5度だから、いかに急なのかがわかる。 

 

 

ダム湖から取水された水は2㎞ほど下流にある新高瀬川発電所に送られるが、放流された水は七倉ダムのダム湖に流れ込む。そして電気使用量が少ない夜間には、それを揚水としてくみ上げる仕組みが取られている。(写真/高瀬ダムの天端で、案内板をみながら、東京電力HDの社員から説明がある) 

 


高瀬渓谷 夏の三ダムめぐり Vol.4に続く