2016年10月30日(sun)

 

土樽駅 上越線

JR上越線土樽駅は、群馬県から新潟県に入った最初の駅で、水上駅-越後湯沢駅が開通した昭和6年(1931)に土樽信号場として開業している。現在は2面2線ホームを有する旅客駅となっている。(写真/駅舎は場所柄からか、山小屋風の造りになっている)

 

 

土樽駅 上越線 雪国 信号所

〈国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった〉と始まる川端康成の小説「雪国」にある信号所とは、まさにこの場所のことで、それを記念したモニュメントが駅前に設置されている。

 

 

土樽駅 上越線

その隣には「登山カード」と「公衆電話」と書かれた小さな小屋がある。電話はとっくに撤去されているが、ここから谷川岳を通って隣の土合駅に達する登山コースがあり、電車なら10分ほどで行ける距離を8時間掛けて縦走するようだ。

 

 

土樽駅 上越線 待合室

二重扉を通り抜けて中に入ると、そこには広い待合室が残る。昭和8年(1933)スキーシーズンに限り旅客営業を開始し、その8年後には駅に昇格している。駅員もいる駅になったが、いつの日からか無人駅になっている。

 

 

土樽駅 上越線 駅ノート

三国山脈の麓にあり、周囲には人家はない。秘境駅ともいえる独特の雰囲気だけに、鉄道ファンには根強い人気がある駅で、インターネットには多くの訪問記が寄せられている。駅ノートの向こうには、さりげなく傘が置いてある。ということは、JR飯田線の小和田駅を見守るブロ友さんのように、この駅を大事にしている人がいるようだ。

 

 

土樽駅 上越線

ホーム側から駅舎を振り返ると、標高599㍍と札が掲げられている。群馬県側土合駅の駅舎の標高が約653㍍。新潟側の隣、越後中里駅が標高約470㍍と急こう配が続くことから、この区間は昭和初期という時代にもかかわらず電化開業されている。


 

土樽駅 上越線 清水トンネル

駅のホームには、清水トンネル=全長9,702㍍が近代化産業遺産に登録されたことを記念した案内板が設置されている。その坑口はここから歩いて10分ほどの場所にある。群馬側には湯檜曽駅-土合駅間に湯檜曽ループ。新潟側には土樽駅-越後中里駅間に松川ループを設け、高さを稼ぎ、トンネルの長さを少しでも短くしようとした先人たちの苦労が偲ばれる。

 


土樽駅 Vol.2に続く