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ぽたらか

ぽたらかは20年の歴史を閉じます


およそ15年前、カトリック女性司祭としては世界初の方がぽたらか訪問

 まだまだ、わがぽたらかが廃工場跡そのもののありさまだった頃、外務省から国賓として招かれた国際カリタス事務局長で女性初のカトリック司祭のレスリーさんがやってきた。電話で急遽、女史のたっての希望という事だけれど、『何でうちに?』『一体何者?』??ばかりの状態で電話を切って、霞が関なら車で数十分のはずが数時間後、近所の人が「なんか。すごい黒いベンツがこの辺をクルクル回ってきるようだが、ひょっとしておたくのお客さん?」と知らせてくれた。慌ててみんなで手分けをして、国道まででて黒いベンツを誘導した。

 女史は日本の貧困の現場を見たいということなので、意に反した底抜けに明るい面白い話がいいだろうと思って、私の友人で重度の脳性麻痺の男性が岡山の施設から越してきて近くのアパートに住みながら、ぽたらかの連中にホームヘルパー2級の資格を取らせ、彼の世話をすることによって収入を出す事業も始めた話から始めた。彼は用を足すのも不随運動があるので両手両足を拘束しなければいけないほどの障害があるのに、毎朝、仕事始めに(便利屋的なこともしていた)コーヒーを飲みながらミーテングをするのが日課だが、その彼が電動車いすで遅れて出てきたとき、元ホームレスのおっちゃんが「朝はみんなと顔合わせなあかんよ。」と彼に言ったために「ぽたらかのおっちゃんたちは僕の事、障碍者だと思っていないのかなあ。」障害者だとはわかるでしょ。でも彼らにとってみれば、だからどうした?でしょ。

 また、いつも徘徊の爺さんが絶えずいる。部屋に拘束はしないので、月に一度は全員で探し回って、交番にも届けたり。近所の人にも声を掛けたり、大捜索を挙行する。みんなへとへとになって、限界に到達した時、見つかる。そんな時でも恨み言を言うものは一人もいない。爺さんは大泣きして「すまん、すまん。」と抱きついてくると、どんな人相の悪い連中でも涙流して喜んでいる。こいつら、天使ですよ。

 そんな話を女史は大笑いをしながら、それは楽しそうに聞いていた。

「今まで、色んな所をみせていただきましたが、ここが一番楽しかった。また、出来ればお会いしたい。」と手を握ってくださったときに、十字のついた数珠のようなものをさりげなくプレゼントしてくださった。別れ際に「女性初の司祭とききました。日本の仏教界も遅れていますが、カトリックも相当なものなのでしょう?」と失礼なことを聞いたが、女史はそりゃねぇというように、目配せをした。その時は通訳はなかったが、以心伝心だった。私も楽しい時間だった。ただ、うちの連中は結局、どんなにすごい人が来たのかは理解できていなかった。