病院から退院してパジャマ姿ものまま、翌日いなくなる。まあ、性格の悪いやつは探しもしないけど。認知がきているらしいおじいちゃんは、ほっとくわけにもいかない、「だまって外へ出て行くのを見送っていたのか!」と他のスタッフに怒鳴りつけながら、施設長が雨の中を自転車とばして探し回る。火事場の馬鹿力というのか、呆けた爺さんは結構足が速い。やれやれと私は近くの交番に届ける。
デイサービスの送りに皆が出払っていたほんの僅かな隙だった。そうかと思えば、やれ夜中に呆けた爺さんが徘徊するといちいち電話で報告するかとおもえば、微熱が出た、やれおなかが痛がるとそのたびに救急車を呼ぶ少し知恵遅れのスタッフが居る。そのたびに施設長は呼び出され救急車に同乗し、結局何事も無くて夜中に本人を連れて帰らされるのだ。救急車をよぶことになにか高揚感みたいなものを感じているらしい。
修羅場をかいくぐってきた私たちからみれば、これはやばいという重病人はみてすぐにわかる。すでにあごに死後硬直がきている病人を救急車で搬送したのに真夜中、処置は終わったので迎えに来いという病院があった。「ええ?朝じゃだめなんですか?」といったけれどだめ。しかたなく連れて帰って、24時間体制で看病して、連休が明けるまで持たせようとおもったが、2日目の朝息を引き取った。私たちがこれは救急車を呼ぶべきだと判断した人は入院を拒否され連れて帰らされる、しかしその後急死する。警察がきてまるで私たちが毒でも盛ったかのように事情聴取をうける。いつものパターン。
いつ逝っても不思議ではない年寄りを微熱が出たぐらいで救急車で運んで、寒い中今度は歩いて帰らされてそれで元気になるのかい?どうせこんな病院ばかりだもの。夜通し添い寝してさすってあげた方がどんなに本人もいいことか。