ぽたらかにいるときについお酒を飲んで一冊の雑誌を万引きしてしまったAさん、前にも本を万引きして執行猶予中だったので、その時は実刑1年。その時の公判にも証人として出廷し、「出所したら待っている」と証言をした。その時の検事官はいい人で、「前に刑務所から出所したときは誰も迎えがなかったということですが、今回はあのようにいってくださる方がおられて、どうですか?」と被告人に聞いていた。Aさんはたまらず、うれしいといって泣いていた。
でも、彼は出所しても帰ってこなかった。「申し訳なくて顔向けができなかった」と公判で再会したときにそういっていた。
また、やはり同じように本を万引きしてのことだった。私も前回と同じようにぽたらかに帰ってくれば絶対にこのようなことはさせません」と証言したが。検事官は彼が何度も窃盗を繰り返していて、いくら額が小さくても小売店業者にとっては死活問題です。このことについてどうおもうか?と聞いてきた。
「窃盗はどんな事情があっても悪いには違いありませんが、280円の窃盗で実刑1年とは、腑に落ちませんでした」と思わずいってしまったら。「貴方とここで量刑のことで議論するつもりはありません」とピシャっと言われてしまった。そして、Aさんには実刑2年が求刑されてしまった。
長期間拘束したからといって、窃盗癖が治るとは到底、思えないのだが。それより、一度でも刑務所に入ったら世間の目は厳しく、身元引受人やまして保釈金を払ってくれる身内のない人は満期出所しなければならない。出てもいくところはなく、働くところもない。で、また塀の中に戻りたがる、悪循環。
Aさんはそんなにアルコール依存症というほど、お酒を飲む人ではない。でも、お酒を飲むと自制心が無くなる。(誰でもそうだが)食べるものに最低限のお金を使う。しかし本は、好きだから我慢できない。
どうすれば、窃盗癖がなおるか。仲間で見守るしかないとおもう。みんなに迷惑を掛ける、一人ではないんだということを分かってもらうことしかないのではないか。