
現場は広く焼けただれて、被害者の男性は自分の小屋から十数メートル逃げまどい、火に巻かれて死んだその場所は黒い土と白い雪が溶けてぬかるんでいた。警察が現場検証したような跡もなく、だれひとりとして足を踏み入れた様子もない、殺風景な風景である。
男性の遺体は家族が引き取りに来て還っていったと聞く。それがせめてもの救いだ。現場に花とホッカイロ、カップ酒のふたを空けて、線香代わりにタバコに火をつけて念仏を称えた。
そして、最後に写真を撮ったのがこれだ。光のいたずらか、黒く焼けこげた土の上に若草色の草のようなものとピンクの花が無数に咲き乱れているように見える。私には男性を天に導いてくださる神仏の最高のプレゼントではないかと思える。殺人ゲームのようにこともなげに人の命を奪う、子供達も許してあげようという男性のあるいは気持ちなのかもしれない。
帰りに再び頭を下げてくれた警備員の姿を見て、少なくとも加害者の子供達より、この男性は暖かい人の輪に包まれていたのではないかと思うのだった。