入所時の説明なんて、そこそこに。風呂場へ直行、着ているものは全部捨てて。髪を刈り、爪を切って、ひげを剃り。その間というもの、みんな息を止めるのだ。
どの人も長年の栄養失調で足腰が立たなくなっている。おむつをしていても、それをわざわざはずして、その場で大小便を垂れ流す。一人がそれをやると伝染するかのように、また一人がそれをやる。たまたま訪れていた友人が「なに?なにごと?」スタッフがモップを抱えて上へ下へ「戦争だよ!」とだれかが答えていく。
着換えさせようとすれば嫌がってあばれる。一人二人ならともかく、こんなのが4人も!どうなることかとめまいを覚えていたが、少しずつ本当に少しずつだけれど、変化のきざしが見えてきた。
今日、体を拭いてくれている人が2段ベッドの天井に頭をぶつけたら、「おい、大丈夫か?」と気遣ってみせた。「ありがとう」とはまだいえないが、少しでも心を開いてくれるようになったのか。結局、この人たちは深い人間不信に陥っているのだ。
といって、同情するつもりはさらさらない。「こら、ありがとうぐらいいわんかい!」と今も私は怒鳴っている。