
下見にいってから、半年間契約金のメドがつかず、それでも挨拶程度には顔を出していたが、その度に大家さん「ああいですよ、わたしゃね、あんたを気に入ったから、いつまででも待ってますよ。」といってくれていた。年の頃は60半ば。元大工さんでかっぷくがいい。ホームレスを集めて事業するんですけどっていったって、けろっとして、「そりゃいい、あたしの仕事もてつだってもらおう。」こんな人に恵まれるって事が何よりの縁だ。
昨日5月の誕生会でいつものように大家さんを呼んだら、またいつものようにお酒を差し入れして、「きょうばっかりはつきあえねんだよ。検査があるからね。ごめんよ。」もらいものがあるとおすそ分け、浅草の縁日いってきたとおみやげ。親戚以上の付き合いである。
仲間が230円の雑誌を万引きしたと警察に掴まったとき(近所のコンビニではない)「どこの店だ!あたしがいって怒鳴りこんでやる。どうせ飲んで勘定忘れたんだろう。あんないい人が。たった雑誌1冊くらいで、江戸っ子の風上にもおけねえ、店長だ。出るとこ出てやろうよ、平尾さん。」と私が慌てるくらい、私よりか熱くなっていた。
私は警察沙汰になって申し訳なくてあやまりに行ったのに反対に「あんただけは信じてあげなさいよ。」と励まされてしまった。こんな下町人情に包まれて、ぽたらかは育っていく。