酒飲みというものの性分は、なかなか治らないものだ。気の弱いものが酒に飲まれてしまうものらしい。私も決して嫌いではないほうなので、特に暑いさなかに重労働をしていて、これが終わったら冷たいビールだと思うと力も入るが、これが終わったら大福に温かいお茶で一杯を楽しみになんて、まあ好き好きもあるだろうが、私なぞは力が出ない。
だからぽたらかでは、月に一度は飲む会をもうけて存分に飲ませるが、普段隠れて飲むのは御法度だ。まあ一杯くらいと思ってもアル中くらいになると、一杯飲んだだけでも後はごはんを食べても何を食べても体の中で自家発酵するらしい。だから、一杯でも飲ませてはいけないのである。
酒がないと眠れないという、過酷な生活もあるだろう。顔を真っ赤にして酒くさい臭いを吐きながら、それでも「飲んだだろう?」と問いつめると、絶対に飲んだとは認めない。反射的にうそをつく。それも荒唐無稽なうそを。
それ以外はなんの規約もない。せいぜい、ご飯前に帰れなかったら、連絡をしなさい。『同じ家に住んでいたら、心配をするものだからね。』というのだが、そういった当たり前のことが出来ない人が多い。分からせるには何度も本気で心配してみせるに限る。
迷子になっても失踪しても見つかったときは叱るんじゃなくて、体を心配してみせること。それがわかってくれるのはなんども裏切られてから。酒も飲まなくてもいい人間関係を作ってやること。これが超難しいことではある。
酒を飲んで失踪したKさん。その後住所を設定していたら、30年ぶりに家族が尋ねてきた。探してくれたらお礼をというんで、探した探した。ついには霊感占いをたよりにまことに不思議なことがあって、見つかったのだ。この人が心配してくれる家族がいたということでぴたっと失踪ぐせは治ったのだ。