昔、プラトと言う哲学者がいました。

プラトは古代アテネの民主主義に呆れ返っていました。

何故なら、僕らの生きる民主主義という世界は、力を重んじ時に真実や善を無視するからです。それは、力を手にした物達が、世界を操る特権を手に入れることを意味します。

そして力を手にしたもの達の意見が、世界のスタンダードになっていきます。そのスタンダードはやがて、その下に属するものたちに対し、圧政という形になって帰ってきます。

こうして、古代アテネの政治、民主主義が崩壊していると考えたプラトは、自ら、世界の政治体系を変えようと動きに出ます。

それが"Republic"です。

Republicの話をする前に、知っておかないといけないことがあります。

それはRepublicのベースとなった、"Divided Line"と言う概念です。これはプラトのRepublicに記されている、洞窟の比喩で表すことができます。


洞窟があります


その中には囚人が十字架のような物に縛り付けられていて

洞窟の内側を向かせられ

それ以外の方向は見られません


囚人たちの背中側には、焚き火があります

その焚き火と囚人たちの間を

荷物を運びや

ロバが通過して行きます


囚人たちは他の方向を見ることができずに

焚き火によって壁に写った

荷物運びや、ロバの影のみを認識できます

そしてそれが囚人たちの認識できる

世界のすべてです


囚人たちは洞窟の壁に映った単なる影を

世界の全てだと思っています


しかしそこに

壁に写った影のみが

本当に世界のすべてなのかと

疑う囚人が現れました


彼はやがて

自分が縛られていることに気づきました


その縛りをほどいて

初めて背中の後ろに目をやると

そこには

影ではない本物の荷物運びや

ロバが歩いています


そしてさらにその後ろには

洞窟の入り口から

光が差し込んでいます


囚人は自分の足で洞窟から出て

初めて外の空気を吸いました


そしてそこに

太陽を見つけました


こうして囚人は

自らの力でその世界を探求し

真実を知る力を得たのです


これが洞窟の比喩です


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Divided Lineはこの洞窟の比喩に基づき知識と意見を区別しました。

例えば、囚人が縛られて壁の影しか認識できない場合、それはDivided Lineの中では"意見"として扱われます。

それは何の根拠にも基づかない、単なる認識にすぎません。これは今僕らの生きる世界で例えれば、正しく、今僕たちに見える世界のことです。

プラトは僕らに見えている世界は、幻影であり、真実は別のところにあると信じていました。要するに、僕らが現実世界で見ているものとは、プラトにとっては洞窟の壁に映る影だったのです。

影しか認識できない囚人は、いわゆる一般人のことをさします。


そして、洞窟から出て太陽を見つけた場合、これは意見ではなく"知識"として扱われます。

それは目に見える世界でなく、学問を探求した者にしか見えない思想の世界です。

要するに洞窟の中から出て太陽を認知できるものとは、哲学者を意味します。

プラトはDivided Lineを用い、洞窟の比喩と共に、意見と知識、一般人と哲学者を分断した訳です。


ではDivided Lineを理解したところで、プラトのRepublicの話をしていきます。

Republicはプラトの理想とする、力でなく、真実や善が最重要視される黄金世界(Utopia)の誕生を目的としていました。この黄金世界では、哲学者に世界がコントロールされます。

Republicには大きく三つの階級があります。

一番下からから、労働者、兵士、哲学者と言う順に階級が上がります。以下はそれぞれの役職の概要です。

哲学者
自分が縛られていると気づき、洞窟から出て、太陽を見つけた者。自らは如何なる資産も所有せず、仕事をしても国からお金は貰えない。食事なども、生きていけるだけの栄養の採るための物が支給される。ただひたすら、毎日、真実の探求をし、その真実にもとずいた善の心(Form of Good)に従い、世界を構築する。体の中には金を持っている。別名GoldPeople。


兵士
自分達が縛られていると気づき、洞窟の外に出て、太陽を見るが、そこから真実を導き出せない者。哲学者の重要性を知っていて、彼らを守るために、命を捨ててでも戦う。体の中に銀を持っている、別名SilverPeople。

労働者
縛られていることに気づいていない、或いは、縛りをほどいて、洞窟の入り口の光を見るが、それを無視した者たち。哲学者や兵士のように、厳格な役割を持たず、自分達の好きなことをして働く。だが、哲学者にこの世を効率よく構築するために利用される。体の中に鉛を持っている。特に別名はない。

これが三つの役職です。

そしてプラトは、この世を征する最強の哲学者(Guardian, Philosopher King)、の育成を目的とした、アカデミア(アカデミー、アカデミック等の語源になっている)と呼ばれる、人類史で始めての教育制度を、古代アテネに導入しました。

こうしてアカデミアで育成された子供達(親によって教育されることはプラトの世界では許されない)は、Philosopher Kingを最終目標とした数学と物理学を学びました。もしそこで、断念したもの達は、兵士や労働者となり、極めたものだけが哲学者となり、世界を構築する権利を与えられた訳です。

ハーバード大学の教授などで、Republicは哲学者を中心としていて、全体主義的な様相を帯びるために、危険であると提唱する人がいるそうですが、僕から言わせれば、仮にRepublicが全体主義だったとしても、哲学者によって運営されているので、ナチスのそれとは状況がずいぶんちがうと思います。そして何より、これが今では世界に受け入れられ、当たり前となった学問の始まりでした。

今日はプラトの洞窟の比喩を元に、Republicについて話しました。

まあ、プラトは現在世界で知られている哲学者中で最も重要で、哲学者もプラトの意見に重きを置く人が全部ですが、僕は全体主義がどうとかではなく、彼の考え方は根本的に間違っていると思います。

次回はその理由について話しましょう。


※プラト=プラトン