文部科学省指定の「つながる食育推進事業」のモデル校である三春町立三春中学校で、

「和食のプロに学ぶ料理教室」が開催されました。

私も食育推進委員として、三春中学校の食育に携わらせていただいていることから、

研究室の学生さんと一緒に参加させていただきました。

 

 

本日の講師は、磐梯熱海ホテル花の湯の総料理長 斎藤正大様でした。

斎藤総料理長様は、福島県の食育実践サポーター、食育応援企業団としても活躍されています。

料理人としての技術は勿論、食に関する知識も豊富な素晴らしい方です。

地産地消や食育活動にも積極的に取り組んでおられ、

料理コンテストの審査員や食育関連のイベントでご一緒することも度々ありました。

 

さて、本日の料理教室 作って食べるだけではないのです。

 

まずは。。中学生にお正月にまつわる話を、お年玉から。。。。。

 

「歳神様からその年の賜り物」ということで

「歳(年)+賜(たまわる)」の語源から、

お年玉になったという説があるとのこと。

昔は、お餅だったのが、お金を贈る習わしに変化してきたとか。。。

因みに、両親や目上の方には「お年賀」と言います。

 

こういうお話って、家庭で代々受け継がれるものなのでしょうが・・

なかなか現代では、親がこのことを知っている人は少ないと思います。

 

そして、「おせち料理から日本文化を学ぼう」という内容のお話も。。。

 

もともとは、季節ごとの節句に神様にお供えするための料理のこと全てを

「お節句(おせくち)」と呼び、お正月だけのものではなかったそうです。

江戸時代にこの行事が庶民に広まると、

1年の節目で1番大切なお正月に振舞われる料理を「おせち料理」と呼ぶようになったとのこと。

収穫物の報告や感謝の意を込めて、その土地で取れたものをお供えしていたようです。

暮らしや食文化が豊かになるに従い、山海の幸を盛り込んだご馳走となり、

現在のおせちの原型ができたそうです。

 

また、正月三が日は、「かまどの神様」に休んでもらおうという気持ちや、

主婦を家事から開放するという意味も含め、

保存の効く食材がおせちに使われるようになったと言われています。

 

おせち料理のルールもお話しくださいました。

 

おせち料理は、お重に詰めますが一の重から、五の重まであるそうです。

 

重ねた時に一番上にくる、一の重には祝い事にふさわしい、祝い肴と口取りを詰めます。

口取りとは、かまぼこやきんとんなど、酒の肴になる料理のことです。

 

かずの子、田作り、黒豆、たたきごぼう、紅白かまぼこ、伊達巻、昆布巻き、くりきんとん、ぎょくろ、錦糸卵を詰めます。

 

これら一つひとつの料理には意味があります。

例えば、黒く日焼けするほど、マメに勤勉で健康に暮らせるようにとの願いがこめられているのが、黒豆です。

 

ニの重は、縁起の良い海の幸を中心に焼き物を詰めます。

 

三の重には、煮物。山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるように、煮しめ(煮物)を入れるそうです。

 

四の重は忌み嫌われる四を使わず、「与の重」とし、日持ちのする酢の物などを詰めます。

 

そして最後の五の重は、空もしくは好きなものを詰めるそうです。

歳神様から授かった福を詰める場所として、空っぽにしておくとか・・

 

こうした話を、中学生は熱心に聞いていました。

 

そして最後に斎藤料理長から、

日本人は素晴らしい食の文化を持っている。

海外では、こうした食文化は見られない。

日本人に生まれたことを誇りに思い、日本の食の文化を大切にしてほしい。。。。と

 

本当にその通りだと思います。

私も、このお話を伺い、自分の子供達にきちんと伝えて来なかったなぁーーーと、後悔しました。

 

 

 

いよいよ実習です。

本日は、三の重の煮物「煮しめ」を作ります。

 

煮しめは、根菜類、こんにゃく、しいたけなど、様々な食材を一緒の鍋で煮ることから、

「家族が仲良く一緒に結ばれ、末永く繁栄しますように」

という願いが込められているそうです。

 

また、煮しめの由来は、「煮染め」:出しで煮て染めること。

 

材料は、人参、レンコン、ごぼう、しいたけ、里芋、手綱こんにゃく。

勿論、「お出し」は、昆布と鰹節から丁寧にとったお出汁を使いました。

 

 

 

 

慣れない手つきで、手綱こんにゃくを作ったり、

里芋の皮を剥いたりと、生徒さんたちは真剣な顔つきで

煮しめを作っていました。

 

包丁を持つ手は、ちょっと、、、ぎこちないかな・・

 

でも、集中していました。

 

包丁仕事は、集中力が養われると思いました。

 

 

材料を切り終わったら、

レンコン、里芋、こんにゃくを少量の酢を加えた水で茹でます。

こうすることで、アクが抜け美味しく仕上げることができるそうです。

 

 

下ゆでが終わったら、出し汁と醤油:みりん:酒で煮ます。

この時の調味料の割合は、1:0.5:0.5。

これがポイント!

 

 

美味しそうに出来上がりました。

 

 

いよいよ、試食です。

ご飯に味噌汁(お付け)、鯖の幽庵焼き、煮しめ、いかにんじん、三五八漬け

 

ホッとする家庭の味。

どれも、優しい味。

こんな食事が毎日食べられたら、本当に幸せです。

 

校長先生はじめ、料理教室に参加した全員が

和やかな雰囲気で食事を楽しみました。

 

こうした講習会が学校教育の中で行われることは素晴らしいことです。

 

ですが、予算や時間的な制限等の理由から、

どの学校でも教育活動の中に定期的に取り入れることは難しいようです。

 

三春中学校では、文部科学省の食育推進事業を受けていることから、

予算がついているようですが、。。。

できれば、全ての小中学校で、こうした取り組みが行われることを、強く希望します。

 

参加した生徒さんの感想。

家庭でも作ってみたい。

自分で料理ができるようになりたい。

 

「食べることは、生きること」

 

生きて行くためには、食べなくてはなりません。

 

 

よりよく、生きていくためにも、

自分で食べるものを自分で作れるように、なることは必要なこと。

(国語や算数よりも大切)

だって、食育は『知育』『徳育』『体育』の基礎となるべきものと定義されていますから。。

 

まさに、料理を作れるようになることは、「生きる力」を育むことだと。。。感じさせられました。

 

今後も、子供達の「生きる力」を育む食育活動を行っていきたいと思います。

 

一緒に参加した研究室の学生さんも、

「大変勉強になった」と感想を寄せてくれました。

 

 

 

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。