[この愛、買いですか?] (伍)の一 | toshichanのブログ

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【遅れてきた新人】の、内山敏洋 と申します。 蔵の中に溢れかえっている作品や頭の中に湧き出てくる作品を“どんどんと!”と、考えております。

年老いた男が訥々と語る、「男親と娘」のお話。


ある葬儀の席に現れた老人。
ざわつく場を後目に、じろりと一瞥して……。


喪主を押しのけて、鬼気迫る表情を見せながら話し始めた。


疑念を呼び起こす、愛の炎。
今宵あなたを、地獄へご招待します。
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(伍)の一


わたくしがこれ程に妻を疑いますのは、このような事があってからのことでございます。

お中元の品を百貨店に買い求めに行った折のことでございます。


「お昼には、遅くとも二時には戻りますから。」
と、朝早くに出かけていきました。


何時頃でございましたでしょうか……。

八時には、おりませなんだでしょう。


「十時の開店には、早すぎはしませんか?」と、わたくし申したのですが。


「早く帰りたいので、並んでいますよ。」

と申します。


まあそう言われれば、それ以上は申せません。

わたくしとしましても、早く帰って店番をして欲しいものですから。



ところがです、待てど暮らせど戻りませんです。

一時が二時となり、柱時計が三時を打ちましても戻りませんのです。


何かの事故にあったのでは? と思いましたが、それならば病院より連絡が入りますでしょうし。

百貨店で何かあったのか、と心配になりました。