彼女をバスルーム抱きしめた
彼女の心と体が、以前の彼女とは変化したことを彼は見た
でも、それは彼の中ににも存在するある種の特別な感情を刺激した
彼女の決意は彼にとっては、むしろ救いとなった
彼がもう絶望するしかないような内容で彼女が決心をしたのとは違い
彼の心の中にでは彼女との間に何らの壁も生まれていないことを彼は感じた。
彼女は彼に全てを曝け出した今
彼が何を感じようと、それを打ち明けられずにいる苦しさからは逃れることができた。
かれは彼女をシャワーで洗いタオルでつつみこむ様にしてベッドへ運んだ。
そして、彼は彼女を体を抱きかかえ静かな夜の時間を過ごした
二人は眠ることもせず 言葉も交わさず ただ寄り添い抱き合っていた。
やがて朝の光が差し込んで来ても二人は無言で抱き合った
そして、時計が5時を指したころ 彼が言葉をかけた
「着替えて」
海を見よう
そう言って彼はバスルムームで顔を洗い 服を着た
彼女も同じように服を着る
メイクの無い彼女の顔は、とても美しいと彼は感じた
フロントを抜け、クーぺの止めてある場所まで歩く
すぐにエンジンを始動させ クーペを発進させた
海へ向かう緩やかな坂をクーペは静かに下っていった。
坂を下りて、国道と交差する場所を直進すると海が見えた
砂浜に面した、側道に車を入れて 彼はエンジンを切った
車を降降りて海岸を彼女の手を引いて歩いた
朝の海風が潮の香りを運んできた
二人は その空気を一杯に吸い込んだ。
彼女に向き直り彼は言った
「大丈夫 何も心配しなくていい 僕らは大丈夫だよ。」
彼女は何も答えなかった
けれど、二人の距離は離れていないことをお互いに感じた