今日ご紹介する本は「諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない」です。元陸上競技選手の「為末大」さんが書いた、諦めることは決しては悪いことではなく、別の道に進むために大切なことだという内容でした。



 

「諦める」という言葉には、「見込みがないと思う」「断念する」などのネガティブなイメージがあると思います。しかし、この言葉は仏教の世界にある「明らめる」が語源の、「心理や道理を明らかにしてよく見極める」という、ポジティブなイメージがあるのです。

 

やめてしまうとそれ以上の成長はないかもしれません。それでも、その先には違った人生を歩んでいる自分や周囲の環境が待っているということでもあります。やるか諦めるかは本人が決めることですが、必要に応じた考え方をしていくことを、この本では教えてくれます。

 

為末さんのようなスポーツ選手が諦めどころを間違えるとどうなるのかが、詳しく書いてありました。「自分には〇〇しかない」といって、夢を叶えるために35歳になっても頑張り続けると、別の仕事を得るチャンスを逃してしまいます。

 

それによって、頑張っても結果が出ないことに夢中になって、将来の選択肢が大きく狭まるのです。本人がそれでいいならば問題はないでしょうが、為末さんはそういう末路を歩んできたアスリートをたくさん見てきたそうです。

 

オリンピックに出られるような名アスリートになれるのはほんのひと握り、メダルを取るのはさらに狭き門なのはいうこともありません。その人たちは、結果が出ると「諦めなかったから」と言います。しかし、諦めなかった結果失敗する人の方が、何万倍も多いのが現実です。

 

そして、諦めて違う道を進んだ人は、思っていた夢が叶わないかもしれませんが、別の道を見つけて頑張っています。決して堕落した人ではなく、いろいろな人生を模索した結果、活躍しているのかもしれないわけです。

 



私はこの本を読んで、昔仕事を辞めたときのことを思い出しました。職場を離れたとき、込み上げてきたのは開放感と安心感でした。「この仕事から解放されて、これからは自分にできることをしていこう」と決め、やりたいことを思いっきりやりだしたのです。

 

その結果、無理がなくで楽しいと思える毎日を謳歌して、同じような境遇の仲間も増えました。そして、そこでの経験を活かして再就職し、その職場は5年以上も勤めて収入もそこそこ手に入れられました。

 

この経験は、最初の職場を「諦める」ことによって得た財産です。会社には申し訳なかったのですが、自分には合わない環境から早々に抜けられて、私は満足しました。その失敗があったからこそ、今私は幸せに生きています。

 

この本も私も、「諦めるべきだ」とは言ってはいません。その世界を出ることで、新たな道を進み、「これしかない」と思っていた以外の世界に行くことも、大切な選択肢だと言いたいのです。

 

自分に本当に必要なものに出会うには、やめてみるという行動をしてみることも1つのルート。しっかりと考えてその道を選べば、かえって人生が好転することもあります。もちろんさらに失敗するかもしれませんが、やってみないとわからないのは同じです。

 

自分の人生は自分のものです。どういう選択をするかは自分で決めていきましょう。そのための選択肢はたくさんあり、どれを選んでも自己責任です。そうして自分で選んだ道は大切なもので、その道の1つに「明らめる」があるのです。