© 毎日新聞 提供 炎上して放置されるロシア軍の車両=ウクライナ北東部ハリコフで2022年2月27日、AP
 

 米国防総省高官は27日、記者団に対し、ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が「燃料や軍備品の不足に直面している」と述べ、侵攻スピードの鈍化が続いているとの見方を示した。ウクライナ軍の抵抗は激しく、ロシア軍は侵攻前に配備していた最大19万人ともされる部隊の追加投入を続けており、うち3分の2の戦力が攻撃に加わっているという。

 

 ロシア軍は侵攻開始時から首都キエフの制圧を目指して進撃しているが、米東部時間27日午前(日本時間28日未明)時点では前日と同様にキエフ市街地から北約30キロの地点にとどまっている。偵察部隊がウクライナ軍の格好をして潜り込むなどしており、小規模の市街戦も確認されているという。

 キエフの北東にある都市チェルニヒフはロシア軍に包囲されている状態にあり、民間人が戦闘に巻き込まれる可能性も懸念されている。ただし、これまでのところロシア軍が占拠した主要都市は確認されておらず、制空権もウクライナが確保しているという。

 ウクライナを北や南から侵攻しているロシア軍は後方支援の問題に突き当たっている。特に激戦地となっている第2の都市・北東部ハリコフで燃料や軍備品不足が深刻化しているという。ロシア軍の後方支援の問題について、高官は詳細な説明を避けたが、侵攻ルートが複雑で広範囲にわたっていることを挙げた。

 

 ウクライナ南部では、上陸したロシア軍の部隊が都市マリウポリまで50キロの地点に迫っている。しかし、強固な防御態勢が敷かれており、ウクライナ軍が激しく抵抗するとみられている。

 ロシア軍はミサイル攻撃も続けており、これまでに約320発が撃ち込まれた。短距離弾道ミサイルがその大半を占めている。

【ワシントン鈴木一生】