20世紀を代表するファッションデザイナーの一人で、既製服への進出やライセンスビジネスで大きな成功を収めたピエール・カルダンさんが29日、死去した。98歳だった。AFP通信が報じた。

 1922年にイタリアで生まれ、幼児期にフランスに移住。10代の頃から婦人服店で働き始め、クリスチャン・ディオールを経て50年に独立した。

 53年からオートクチュール(高級注文服)を手がけて注目されると、その後、他のブランドに先駆け既製服に進出し、富裕層のみならず多くの人々に愛される服を作った。2010年の来日時には「オートクチュールは一部の金持ちのためだけのもの。一般の人たちも新作を着る喜びを感じるはずと気づいた」と振り返った。オートクチュール協会からは反発され、一時は除名されたこともある。

 幾何学柄やビニール、ファスナーなど現代的な素材を使った「宇宙ルック」のほか、中国でのファッションショー開催の草分けや、ブランド名を貸す「ライセンスビジネス」で最も成功したデザイナーとしても知られる。タオルやスリッパ、家具にまでブランド名が冠せられて世界中で消費されており、そのライセンス料は大きな収益をあげ続けた。