環七の内側に「環一」から「環六」

 東京23区、山手線の外側には、環状道路として「環七通り」が、さらにその外側には「環八通り」が存在します。いずれも都市計画道路である環状7号線、環状8号線の愛称です。

 もちろん、環七の内側には「環一」から「環六」までの6本も存在しますが、区間により別の道路愛称で呼ばれていたり、一部未開通だったりします。環一から環八までのルートは次の通りです(本線のみ記載)。

© 乗りものニュース 提供 環七通り(2020年3月、中島洋平撮影)。
 

●環状1号線(環一)

・区間:千代田区日比谷公園~千代田区有楽町一丁目(約6.2km)

 皇居を取り囲む内堀通りと、日比谷通りの一部などです。

●環状2号線(環二)

・区間:江東区有明二丁目~千代田区神田佐久間町一丁目(約14km)

 臨海部の有明から、新橋、虎ノ門まで(環二通り)と、外堀通りの大部分が該当します。築地~新橋間は現在、地上の仮設道路は開通しており、本線となる地下トンネルの建設が進んでいます。

●環状3号線(環三)

・区間:中央区勝どき二丁目~江東区辰巳二丁目(約26.7km)

 起点の中央区内は清澄通り、西側はおもに外苑東通り、北側は言問通り、東側は三ツ目通りが該当します。未開通区間も多く、文京区内は長さ450mほど(播磨坂)を除きほぼ未整備です。

●環状4号線(環四)

・区間:港区高輪三丁目~江東区新砂三丁目(約28.8km)

 外苑西通り、不忍通り、明治通りの荒川区から墨田区にかけて、丸八通りなどが該当します。主に港区と新宿区に未開通区間があります。

環5は「2路線」ある

●環状5号線(環五)

・区間:「環5ノ1」渋谷区広尾五丁目~北区滝野川二丁目(約13.9km)、「環5ノ2」北区王子二丁目~荒川区荒川五丁目(約4.3km)

 環状5号線の本線部は計画上「環5ノ1」「環5ノ2」の2路線に分かれますが、いずれも大部分が明治通りに該当します。環5ノ1は、新宿や池袋付近で、本線部の未開通区間について工事が進められています。

© 乗りものニュース 提供 新宿駅の南東、明治通りで構築中の環状5号線本線トンネル(2020年6月、中島洋平撮影)。
 

●環状6号線(環六)

・区間:品川区東品川二丁目~板橋区氷川町(約20.5km)

 山手線の西側を南北に結ぶ山手通りに該当します。かつては「環六」の名でも呼ばれました。

●環状7号線(環七)

・区間:大田区平和島~江戸川区臨海町(約52.5km)

 ほぼ全線が「環七通り」。1985(昭和60)年に全通しました。

●環状8号線(環八)

・区間:大田区羽田空港~北区赤羽(約44.2km)

 環七の外側の、西半分を南北に結んでいます。2006(平成18)年に全通しました。

 

※ ※ ※

 

 これら環状道路の計画は、もともと1927(昭和2)年、関東大震災後の復興計画で構想されました。それから93年、環状2号、3号、4号、5号線には未だ未開通区間が存在します。それぞれどのような場所で、どういった工事が進められているのでしょうか。

どうなってる? 環二~環五

それぞれの未開通区間

 2020年11月時点で、おおむね「全通」が視野に入っているのは、環状2号線と5号線です。環状2号線は、築地~新橋間の地下で建設中の本線トンネルが2022年に開通予定ですが、地上部の道路は開通しており、一応は全線つながっています。

 環状5号線(環5ノ1)は前出の通り、新宿と池袋付近で未開通の「本線」の工事が進んでいます。環5ノ1の大部分を占める明治通りは、両駅の東側を南北に貫通していますが、現状、両駅付近では「環5ノ1の支線」が明治通りとされています。

 新宿側は、明治通りにトンネルが口を開けており、内部もほぼ完成していますが、池袋側は明治通りにその口も見えていません。今後、都電に並行する坂道(都電の区間でいえば学習院下~鬼子母神間)の中腹が開削され、トンネルができる見込みです。

 一方、未開通区間が多いのが環状3号線です。現在、新宿区内の外苑東通りを拡幅する工事が行われているものの、前出した文京区内の大部分や、起点側の中央区豊海から港区芝公園までの区間も事業化されていません。ちなみに現状、文京区内の計画区間はほぼ住宅街、中央区から港区にかけては海で隔てられています。

© 乗りものニュース 提供 新宿区内では環状3号線の事業として、外苑東通りの拡幅工事が行われている(2020年10月、中島洋平撮影)。
 

 環状4号線は、未開通区間が細切れに存在します。新宿区、文京区内でその整備事業が行われているほか、2019年には起点側の港区港南~高輪(旧海岸通り~桜田通り)の区間が新規に事業化されました。これに続く高輪~白金台(桜田通り~外苑西通り)の区間も事業化へ向け調査中で、「全通」に向けて少しずつ歩を進めています。

 

環七 環八…一から六はどこ? 東京の環状道路 未開通区間は今 構想からほぼ1世紀 (msn.com)