家庭内、会食、職場内…
感染広がり「混合型、今が瀬戸際」
都内で新たに107人
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東京都は2日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに107人確認されたと発表した。接待を伴う飲食店など「夜の街」に関連するケースは3割弱を占めた。都内で1日100人を超えるのは、緊急事態宣言中だった5月2日の154人以来2カ月ぶり。同月25日の宣言解除の後では最多となり、前日の67人から大幅に増加した。
小池百合子都知事は、都の対策本部会議で「感染拡大の警戒を要する段階だ」とし、夜の繁華街などへの外出を自粛するよう呼びかけた。
都によると、107人中29人がホストクラブやキャバクラの従業員、客など「夜の街」に関連した感染者で、感染経路不明者は45人に上っている。6月以降は「夜の街」に関連した感染が顕著になり、2日までの直近1週間でも新規感染者の約4割を占める。歓楽街・歌舞伎町などを抱える新宿区がこの多くを占めたが、池袋がある豊島区でも感染者が増えつつある。1日には池袋エリアにあるホストクラブ1軒から少なくとも11人の感染が確認され、クラスター(感染者集団)化した。 「夜の街」の従業員や客は若年層が多く、6月以降の感染者は、20代と30代が全体の7割を占めるのも特徴。若年層の8割は軽症や無症状とされ、行動範囲も広く、感染拡大に拍車をかける可能性がある。
既に「夜の街」以外にも感染は広がりつつあり、2日もホストクラブ従業員の同居人からうつるなどした「家庭内感染」が9人、知人との会食のケースが7人、職場内感染が4人確認された。
都幹部は「感染の広がりが『夜の街』と他のケースとの混合型に進んでいる。今が抑え込みの瀬戸際だ」と指摘する。都内で感染が急拡大した3~4月も同様の傾向があった。
都は2日、感染状況をモニタリング(監視)するために、新たに設けた7項目の指標について専門家から評価を受け、対策を検討する会議を開いた。
「感染状況」の評価については、新規感染者だけでなく、経路不明者も増えていることなどから、4段階の警戒レベルで上から2番目の「感染が拡大しつつあると思われる」とした。「医療提供体制」は、2日現在の入院患者が296人で、現状の病床数(1000床)で対応できているが、高齢者に感染が広がると重症者が増えて病床を圧迫しかねないなどとして、上から3番目の「体制強化の準備が必要であると思われる」とした。
菅義偉官房長官は2日の記者会見で、東京都の新規感染者が107人だったことについて「ただちに再び緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」と述べた。そのうえで「警戒感を持って感染状況を注視し、東京都と緊密に連携して対応したい」と強調した。
【内田幸一、南茂芽育、猪森万里夏】