私が人物写真集の企画をするときのやり方 (上級レベル) 2019年3月 改訂新版 | 「ポートレート スタジオ ファイン」 =「ファイン メディア コンテンツ ジャパン」

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私が写真集の企画をするときのやり方

(紙媒体、デジタルデータ媒体)

現在では、写真集とDVDは同時撮影可能

 

2014年 作成公開

2019年2月 再掲載

2019年3月 改訂新版

 

 

 

1.写真家と作風について

 

私が参考にしているプロの写真家は多いのですが、若い写真家より人生経験を積んだ熟年の写真家のほうが、作品に深みがあります。

 

篠山紀信氏の作品は、最近手抜きをしている写真もあるものの、すごいと思います。

 

荒木経惟(天才アラーキー)については、写真表現が露骨過ぎるとは思いますが、モデルに演技させることにかけてはまさしく天才だと思います。

 

 

どちらの大御所も、撮影場所、撮影時期や時間などを計算して、モデルを配置する舞台を設定して、モデルにポーズや表情を指導することにより演技をさせて、ある程度モデルを自由に動かして大量にフィルムを使い、その中からいいカットを選び出しているようです。

 

 

 

私の作品もアラーキーや篠山紀信のように、モデルを配置する舞台を設定して、モデルにポーズや表情を演技させるようにしていますが、大竹省二氏や秋山庄太郎氏のような正統派のポートレートも撮影します。

 

 

写真集のはじめのほうはドレスや和服による正装のカットをいれて、モデルの魅力を表現することを基本方針としています。

 

 

山岸伸氏のように、モデルには厳しいほうで、愛情をもって細かくポーズと表情の指導をします。

 

 

10代の新人タレントであれば、ニコパチ(モデルがニコッと笑い、パチリと写す)でよいのでしょうが、20歳代のモデルの撮影が中心ですので、モデルの魅力をいかに引き出すかに留意しています。

 

 

 

 

2 写真集の企画について

 

 

 

写真集に限らず、出版物には企画書は必要です。出版社は企画書により出版するかしないかを決定するからです。

 

 

撮影についても、どのような写真集にするのか、どこで、どのようなポーズで、どのような服やメークで撮影するかを、企画書により事前に概略は決めておくべきでしょう。

 

 

 

写真家としては、モデルに写真集を制作する目的やどのような写真集にしたいのか、写真集出版後の目標など、モデルとよく話し合い、モデルの魅力を最大限に引き出すように努力します。

 

 

 

 

3.企画を検討するには

 

 

写真家により企画をどのようにするか、違うと思います。おそらく忙しい写真家は撮影前にモデルやマネージャーと少し話をするだけでしょう。

 

 

 

しかし、私は必ず、撮影前によく打ち合わせを行います。その際に試し撮りもするので、事前打ち合わせの時に第一回の撮影を同時にする場合もあります。

 

 

モデルから写真集の撮影をしてほしいといわれるのですが、逆に、どこで、どんな写真を撮影してもらいたいのか訊ねると、明確な回答をしません。

 

 

 

モデルの方で、かなり強い撮影の希望がある場合でも、「写真集1冊の各撮影場面(具体的でなくてもいいからどのような場所か)、ポーズや表情、服などの企画を自分で考えてみてごらん。」というと、モデルにもよると思いますが、なかなか企画が出てきません。

 

 

モデル自身こんなことをしてみたいという気持ちがあっても、レースクイーンの衣装やキャンギャルの衣装での定番ポーズ程度の経験しかなく、ポートレートの撮影の経験はほとんどないからだと最近わかってきました。

 

 

現在では、今までの仕事の経験、今後どうしたいのか、どこで、どんな写真を撮ってもらいたいのか、話し合いながら聞き出して、私のほうで、企画を組み立てていくようにしています。

 

 

 

タレントやレースクイーンの写真集を購入するのは、若い独身男性でしょうから、露出度が高いほどよく売れます。しかし、脱げばいいというものではありません。脱がなくてもセクシーや色気は表現できるのです。

 

 

 

写真集の構成を考え、どこで、どのようなカットを入れるか、モデルだけでなく、購入者の期待と、購入者に対するサービスという点も考慮して緻密な計算が必要になります。

 

 

 

 

4. 企画を検討する具体的な手順

 

 

事前の打ち合わせにはかならず、モデルご本人が来てください。

マネージャーと一緒でもかまいません。

 

 

(1) モデルのブックを見せてもらいます。学歴・職歴、趣味、特技などを聞きます。

 

 

(2) 写真集を制作する目的を聞きます。写真集ができた後、どのようになりたいかを聞きます。

 

 

 

(3) 参考となりそうな女優・タレント・レースクイーンなどの写真集を用意しています。

モデルが写真集を見たことがあまりないため、ポーズ、メーク、衣服の参考とするために購入しました。

 

 

 

(4) モデルに私の撮影した写真をお見せします。

洋服・和服・浴衣・水着などの写真、イベントの写真などがあります。

 

 

 

(5) どこで、どのような写真を撮影してほしいのかを聞きます。

写真表現についても相談します。

私の方から提案することもあります。

 

 

 

(6) 写真集はモデルと写真家との共同創作であるので、ポーズ・表情・衣装・メークにつき相談します。

 

 

 

(7) 衣装については、まずモデルご自身が考えてください。

モデルだったら、お気に入りの服がかならずあるはずですし、自分の写真集に着たい服、逆に言えば自分の魅力が表現できて写真集を購入した人が素敵だと思う服をできるだけ多く用意をしておいてください。

 

 

ただし、一般カメラマン対象の撮影会に比べて露出度を高めないと写真集は買ってもらえず、インターネットでも見てもらえません。

 

 

洋服(ドレス、スーツ、カジュアルなど)、水着(数種類)、和服や浴衣、ランジェリー、コスプレなどご希望のものを用意してください。また、布を買ってきて、少しセクシーな衣装を自分で製作し、それを着て撮影して世の男性諸氏をとりこにすることは、モデル自身にとっても、写真集の購入者にとっても楽しいと思いますよ。

 

 

(8)ヘアメークについては、日頃頼んでいる美容師さんにお願いするのがいいでしょう。

美容室はたくさんありますが、どこがいいかは私にはわかりません。

 

 

(9)ポーズについては準備段階から候補を決めておくとよいでしょう。

私はモデルの方で自分が好きなポーズをするようにして、その後モデルの力量を見ながら、よりよい写真にするためにポーズ・表情を指導していきます。

 

 

私は経験豊かなモデルについては安心してモデルに任せ、経験が少ないモデルについては、ほっておくと仁王立ちして、証明写真になってしまいますので、やむをえず細かく指示します。

 

はじめから指示をしすぎますと、表情が硬くなり、経験が少ないモデルほどなぜそのように指示したかがわからず、不満が残ってしまうのです。

 

 

ポーズを意識していない自然な動きと表情がいい写真となるのです。

 

 

 

(10) 要は写真家とモデルが、仕事というよりも楽しみながらお互いによく相談して撮影をします。

さまざまな衣装で、場所や季節や時間を変えて、時間をかけて丁寧に撮影します。