★1951年アメリカ統治下の西独製JNFポルシェ356 ~ ブリキ自動車コレクションから097 | ポルシェ356Aカレラ

ポルシェ356Aカレラ

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★2021年カレンダー
もう今年も残り2ヵ月だなんて早いですよね。気が付けば、もう年賀葉書も発売されています。来年2021年のポルシェのオフィシャルカレンダーもそろそろ注文しなければなりません。カレンダーは1980年代半ばから、毎年その年の話題のポルシェが浮彫されたメダル付のポルシェ・オフィシャルカレンダーを使っていますが、使用後も処分せず、既に35年分位を全て保存してあります。ポルシェのカレンダーは大判で上質紙で造られているため嵩張って保存には場所も取りますが、長い年月を経るとポルシェの歴史を振り返るには最高のアイテムともなりますyone☆


★新型コロナ
欧州では新型コロナ第2波の影響が深刻です。1日の新規感染者が5万人を超えた英国では近々全土でロックダウンとの情報です。英国など欧州の国々に比べると日本は桁違いに感染者数が少ない状況ですが、入出国の水際対策をあまり緩めてしまうのは危険ではないでしょうか。8ヶ月後の2021年7月には東京オリンピックの開催が予定されていますが、日本国内の感染者数が減っても、もしワクチンも出来ず欧州等諸外国の感染が深刻な状況のままであれば開催は難しいのではないでしょうか☆☆


★閑話休題
今日は「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第97回記事として米国統治下のドイツ製JNFのポルシェ356をご紹介しますne☆☆☆



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★誠文堂新光社発行「スピードライフ」1954年1月号 表紙「日本初輸入のポルシェ356」 (B5判・96頁+)
「子供の科学」で有名な誠文堂新光社が1953年(昭和28年)に創刊した自動車雑誌スピードライフの第2巻第1号。表紙は東京国立博物館門前のポルシェ日本上陸第1号となった1953年ポルシェ356カブリオレ1300。


表紙解説頁。「巧みに設計された流線形ボディの比類のない美しさ、全く隅々まで洗練された設計はその合理性もさることながら、真の芸術作品と云えよう」「後部設置原動機(リアエンジン)の最も美しい例の1つ」等と記載されています。同号には238cc10馬力・最高速度70km/hの黎明期の軽自動車オートサンダル1954年型の記事及び広告が掲載されており、オートサンダルでさえ庶民はおいそれと買えなかった時代に最初に上陸したポルシェ356の販売価格は当時の平均月収約8000円の400倍以上に相当する350万円(現在なら8000万円程度)と言う高額車でした。この時期のポルシェ356は、現在の911カレラに当る下位グレードの1300で44ps最高速度145km/h、現在のカレラSに当る上位グレードの1500で60ps最高速度168km/hという高性能に加え、後年世に出た数々のポルシェ達と同様に同時代の自動車の中で突出した美しさと異例に高いクォリティを併せ持っていたのです。




【1951年 ポルシェ356クーペ1500 実車 主要スペック】 (1951 Porsche356 Coupe 1500 Specification)
全長3880mm・全幅1660㎜・全高1300㎜・ホイールベース2100㎜・車重810kg・RR・527型空冷4気筒1488cc・最高出力60ps/4400rpm・最大トルク10.4kg/3000rpm・変速機4速MT・乗車定員2名・電装系6V・最高速度168km/h・シャシー番号10531~11125・生産台数595台・リアルタイムでは日本未輸入(三和自動車によるポルシェの正規輸入開始は1953年式より)



【アメリカ統治下の西独製JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ ブリキ玩具 主要データ】(Western Germany JNF 1/19scale 1951 Porsche356 Coupe Tinplate Toy)

・基本素材: ブリキ
・JNF品番(管理番号): No.56(ゼンマイ駆動)、No.57(ゼンマイ駆動+ボンネット開閉+ヘッドライト点灯)
・製品名: PROTOTYP‐PORSCHE(No.56)、PROTOTYP-PORSCHE-ELECTRIC(No.57)
・発売時期: 1952年頃
・販売価格: 現地価格:不明(日本国内未輸入)
・全長205㎜ (実車比1/18.9)
・全幅92㎜ (実車比1/18.0)  
・ホイールベース110㎜ (1/19.1)
・スケール表記: なし
・箱サイズ: 縦100×横210×厚さ75mm
・動力: ゼンマイ走行
・カラーバリエーション: レッド(朱赤)・ブルーメタ・グレイメタ・白灰・グリーン・ライトグリーン(黄緑) 等
・その他のバリエーション: フロントボンネット開閉/ライト点灯バージョン・フロント前輪操舵ダイヤルなしバージョン
・シャシー再現: なし
・入手難易度: 10段階評価でレベル8程度
・2020年現在のアンティーク・トイ市場での推定評価額: 20~30万円程度(箱付未使用美品の場合:BUB復刻版リリースに伴い下落傾向があるものの、オリジナルの箱付美品は少なく高評価。日本未輸入品のため国内での流通量は少な目。)


●雨の夜のJNFポルシェ356
1992年5月に独Gruppe C Motorsport-Verlag GMBHより2500部が発行され日本では当時のポルシェ輸入代理店・三和自動車にて4万円台半ばで販売された縦25cm×横31cm×厚さ4cm・418頁の大型豪華本「PORSCHE TOYS AND MINIATURES」に掲載されたヘッドライト点灯仕様JNFポルシェ356の雨の夜の印象的な写真。同書はポルシェAGが製作した1/5モデルからZゲージ・ジオラマ用1/220モデルに至るまでのビンテージポルシェから1992年時点で最新の964のモデルまで新旧のミニチュアポルシェを大量に掲載した書籍。独語/英語併記。やのまんの傑作ナロー911Sのブリキやコレクトーイの356Aハードトップなど掲載されていないモデルもあり、また、何故かメルクリン・テクノ・ディンキーといった往年のダイキャスト・モデルはバリエーション写真の掲載が少ないもののDISTLER、JNF、Geschaといった西独製ブリキの356については夥しい数のバリエーション写真が掲載されています。ビジュアルで堪能した後、巻末には100頁近い色違いまでが記載された詳細なバリエーションリストが付いておりミニチュアポルシェのコレクションを進める上での参考になります。


●大型豪華本「PORSCHE TOYS AND MINIATURES」販促用パンフレット (縦215×横275mm・独語3つ折)


●JNF356のバリエーション写真
同書掲載。




●幻のsiku 1/16スケール ポルシェ356クーペ
同書に掲載されているミニチュアポルシェには、同書を入手後30年近くが経った現在まで一度も巡り合わないモノも沢山あります。このsiku製1/16スケール全長24cmのリアエンジン可動ギミックを持つ魅力的なプラ製356クーペはその代表格で元々販促用に100台程度しか生産されなかったと言われドイツ本国に於いても幻の存在のようです。






●独JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ 朱赤
品番56のボンネット開閉/ヘッドライト点灯ギミックの付かないタイプ。この個体はリリースから約40年を経た1991年4月にアメリカのポルシェコレクターから私の手元に来たもので、1991年の時点でも箱付・説明書・ゼンマイ付・包み紙付のこのような未使用の美品(スーパーミントコンディション)は稀少でした。








小さい356は大きさ比較用 monkin magicトミカ












室内プリント。白いハンドルは金属製。 正確ではないもののtelefunken(テレフンケン)のラジオを中央に配した356PreAの雰囲気が再現されています。


シャシー裏


裏板後端にMADE IN GERMANY U.S.ZONEの印字。


オリジナルの説明書(独語)






●独JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ グレイメタリック
品番57のボンネット開閉/ヘッドライト点灯ギミック付タイプ。フロント向かって右のスモールライト部分の開閉スイッチでボンネットを開け、単3電池を入れ向かって左のスモールライト部分の点灯スイッチを押すと70年近くを経た2020年現在でも問題なくヘッドライトが点灯します。










小さい356は大きさ比較用 monkin magicトミカ




残念ながら箱片面の右側4分の1程度の箱絵が剥がれ、箱に穴が開き一部欠損しています。












シャシー裏


こちらも裏板後端にMADE IN GERMANY U.S.ZONEの印字。


ボンネットを開け、


単3電池を入れると、


ヘッドライト点灯!


部屋の照明を落とすと綺麗です♪




付属の説明書は上掲の品番56に付属のものとは異なりライト点灯ギミックについての解説が追加されています。








●独JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ 朱赤(品番56)とグレイメタ(品番57)








●独JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ グレイメタと萬代屋(現バンダイ)1/19スケール1959年クラウンデラックス(R21型)の比較
同じ1/19スケールのバンダイRS21型クラウンとの比較。1951年のポルシェ356は日本未輸入のため(1951年は日本も米占領下にあり、米軍人の持込車両が上陸していた可能性がゼロではありませんが)、現実には有り得なかったツーショットです。








●中国製JNF復刻BUB 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ 明赤
近年のDINKY TOYS等のビンテージモデル復刻の流れで実現した中国製の復刻版にはオリジナルには付かないテールライト周りのメッキパーツが付いています。またボディカラーが異様に鮮やかで箱も本体も綺麗すぎるため復刻版とすぐ判ります。箱絵はオリジナルの雰囲気と似ているものの絵柄は異なります。1000台限定、国内価格2万円前後。






オリジナルにはないテールライト等のパーツ付










説明書はオリジナルを元に表面独語、裏面はオリジナルにはない英語で記載されています。






●独JNF 1/19スケール1951年ポルシェ356クーペ 朱赤・グレイメタ・復刻版赤 集合!!
右2台が1950年代のオリジナル、左は復刻版。














小さい356は大きさ比較用 monkin magicトミカ


箱3種。上から品番57ライト点灯版、品番56ゼンマイ、中国製復刻版






※ポルシェ356初期の実車カタログについては、2012年8月14日の「自動車カタログ棚からシリーズ」」第38回記事をご参照ください。





★オマケ(その1): 1/43スケール 三菱信託銀行ポルシェ64に似た造形の貯金箱
レトロトイズ様からの情報で購入。全長92mm・プラ製。








コイン投入/取出口が付いた裏面に三菱信託銀行の文字が入っています。




Bizarre品番B1056ポルシェ64アルペンラリー1949年出場車との比較。前後輪を隠すスパッツとヌメッとした造形が64とそっくり。




64アルペンラリー1949年の実車画像




★オマケ(その2): ヤフオク超高額の倉持商店コレクトーイ1/48スケール程度1958年ポルシェ356Aハードトップ他
ヤフオク2020年9月30日(水)終了。箱・本体共にかなりの美品ながら、落札価格13万6790円は驚異的な高額。このコレクトーイのポルシェ356は現在手元に3台ありますが、35年位前の1980年代半ばに最初に専門店で購入した際でも箱付美品は当時のキラルやテクノのポルシェ356の相場と大体同じ3万円前後と安くはなかったもののこんなに高値になるとは驚きです。9月30日終了で同じ出品者より同時に多数のコレクトーイ等黎明期の国産ミニカーが出品され、フロントウインド欠品で傷も多いC1コルベットが2万4000円、フロントウインドが残ってはいるものの黄変したテープ補修跡が痛々しく一見してボロボロの状態のメルセデスベンツ300SLSが6万900円等、状態を考慮すれば驚異的とも思えるような高額でした。


13万6790円!




ヘッドライトとバンパーはこの金塗装と銀塗装のバリエーションがあります。








箱も綺麗です。


●コレクトーイC1コルベット (2万4000円終了)
コレクトーイのC1コルベットは未入手のため、このようにウインド欠品で傷も多くて状態が悪くとも安ければ入手したいと思っていましたが、状態を考えると信じられない高額。もしかすると綺麗な本体を持っていて箱だけ欲しい人が競っていたのかも。






傷が多いです。


ダイキャストの劣化で後部に大きな亀裂が入っており、そう遠くなく崩壊しそうな状態に見えます。


箱は綺麗です。


●コレクトーイ メルセデスベンツ300SLS (6万900円終了)
ウインドがどう見ても酷い状態。これもひょっとすると綺麗な本体を持っている人が箱が欲しくて競ったのかもしれません。この300SLSも未入手のため4ケタ以下(1万円以下)など安価なら欲しいと思って見ていましたが、私など全くお呼びではない落札額でした。






ウインドは酷いとしか言いようがない状態


何故か箱は綺麗です。




★オマケ(その3): 今日のビートルズ「Sie Liebt Dich」 1964
She Loves Youドイツ語版。1964年年1月29日/仏パリ「パテ・マルコーニ・スタジオ」にてビートルズのメンバーが嫌々録音したと言われる音源。ビートルズがハンブルグでの下積み巡業を始めた1960年8月17日の時点(ジョン・レノンはまだ19歳)でドイツの玩具店ではまだ今回ピックアップしたJNFのポルシェ356は新品で売られていたと思います。