★1961年イチコー縦目のセドリック カスタム ~ ブリキ自動車コレクションから 029 | ポルシェ356Aカレラ

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しかし、毎日雨が続きますne☆TOKYO☆☆
関東甲信の平年の梅雨明けは7月21日。
今年も平年よりあまり遅くなく梅雨明けする見込みとのことですので、
カンカン照りの夏が来るまであと2週間程度でしょうか。

しかし、2019年7月6日付の朝日新聞土曜版の連載記事「サザエさんをさがして」の西本ゆかさんの書いた「父の手料理 ~愛情でかけた 味覚の魔法」は感涙モノで何とも秀逸でした。
朝日新聞1967年7月29日付に掲載されたサザエさんは、家族全員が夏休みで出かけてしまい、1人家に残った波平が慣れない料理に奮闘して台所中を鍋や皿の山にして待っていたという話。その話を糸口に1977年に発足した「男子厨房に入ろう会」で取材した、男性は料理にハマっても洗い物は苦手な人が多いという話などに続き、西本さん自身の思い出が綴られています。以下に抜粋しておきますne。

「子供の頃、海外出張から帰国した父がホテルの朝食で食べて好きになったソテーを作ってくれた。大人になった今、父のレシピでじゃがいものソテーを作ってみる。料理の腕は間違いなく当時の父より私が上だ。なのに、なぜだろう。1人暮らしのキッチンで作るソテーは『おいしくないよ、お父さん』。思い出すのは、父が得意げに盛り付けた皿の後ろに広がる台所の惨状、嘆息する母、黙って片付ける優等生の姉。末っ子の私はつまみ食いして怒られるけど、何かもう、すべてがうれしくて楽しくて、わけもなくけらけらと笑っている。
本当は私もわかっているのだ。不揃いな芋とべちゃべちゃな卵の『おいしさ』は、父が家族を愛し、家族も父を愛していて初めて感じられる、魔法の味であったことを。1人暮らしのキッチンに家族の魔法はかからない。『そうなんでしょう、お父さん』。働き盛りで病に倒れた写真立ての父に尋ねても、若々しい顔で笑うだけ。あと数年で、私は父の歳を超える。」 (ⓒ朝日新聞・西本ゆか)


閑話休題
土日1回更新を飛ばさないよう、今日は、「ブリキ自動車コレクションから」シリーズ第29回記事としてイチコーの縦目のセドリックをご紹介しますne☆☆☆ 
 


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縦目のセドリック
かつて国産高級車と言えば、クラウン・セドリック・グロリアが御三家でした。御三家の中で一番遅くデビューしたのが1960年(昭和35年) 4月1日に発売された初代縦目の「セドリック」。

発売当初のセドリック は当時の小型車枠内の1500ccのデラックスおよびスタンダードのみ。1960年(昭和35年)9月に小型車規格が排気量2000ccに引き上げられたことに伴い、同年11月に全長及びホイールベースを各100mm伸ばした1900ccのカスタムが追加発売されています。


★縦目のセドリックの玩具・模型 ~イチコー製縦目のセドリック
最初のセドリックはタテ4灯の印象的なヘッドライトから「縦目のセドリック」として広く親しまれ、リアルタイムで夥しい種類の玩具・ミニカー・プラモデル等の実車を模した立体造形物が製品化されています。金属玩具(ブリキ玩具)は、イチコー(一宏工業)、米澤玩具(ヨネザワ)、萬代屋(現バンダイ)、増田屋斎藤貿易(マスダヤ)、SSSインターナショナル商事(サンエス商事)で競作され、このうち、バンダイ製はオペルレコードの金型流用、マスダヤ製はプリムスあたりのアメ車の金型流用という手抜き商品でした。
そのような中でイチコー製はディテールやプロポーションの良さでは一番優れ、古くから初代セドリックの玩具の決定版的な位置付けが為されています。イチコーの初代セドリックは箱には1960年11月に発売されたグレード「カスタム」の印字があることから、恐らく1961年(昭和36年)に入って発売され、以降、1962年式・1963年式・1964年式と実車のMCに則した(1965年式のみ発売なし)、計4種ものMCが為されています。年式違いが4種ある上にカラーバリエーションも多いため、イチコーの初代セドリックをカラバリも含めてコンプリートにコレクションすることはハードルが高いと言えます。
今回はイチコー製の初代セドリックの中でも前期・縦目時代の1961年式及び1962年式をご紹介します。


【1961年ニッサン セドリック カスタム G30型 実車 主要スペック】(1961 Nissan Cedric Custum Type.G30 specification)
全長4510mm・全幅1680mm・全高1510mm・ホイールベース2630mm・車重1240kg・H型水冷直列4気筒1883ccエンジン・最高出力88ps/4800rpm・最大トルク15.6 kgm/3200rpm・コラム4速MT・6名乗・最低地上高190㎜・ガソリンタンク容量44ℓ・馬力当たり重量14.1kg・日本車初の後席専用ヒーター装備・シャシー開始番号G30-L-00001・タイヤサイズ6.40-14-4P・最高時速140km/h・販売価格112万8000円



【一宏工業(イチコー) 1/18スケール 1961年・1962年 ニッサン セドリック カスタム 主要データ】

・基本素材: ブリキ
・一宏工業品番(管理番号): No.2161
・発売時期: 1961年(昭和36年)~1963年(昭和38年)頃
・販売価格: 都内250円/地方最低小売270円
・全長: 25.0cm (実車比:1/18.0スケール)
・全幅:9.6cm (実車比:1/17.5スケール)  
・ホイールベース:14.2cm (実車比:1/18.5スケール)
・ボディカラー: 黒・赤・青メタ・赤茶(ワイン)・紺・茶メタ・青銀メタ・クリーム/赤・赤/クリーム・空色/クリーム・青/水色・緑/黄緑 等 (現存が確認出来たものだけで計12色。他、イチコーカタログに掲載の白は試作品のみで未発売?)
・動力: 後輪フリクション
・箱のバリエーション: 1961年式・1962年式 共用1種?
・バリエーション: ウインドパーツに無色と青の2種。1961年式に5ナンバーとCEDRIC文字ナンバーの2種。ワンオフの構内タクシー仕様イチコー試作品。
・入手難易度: 10段階評価で7程度(1961年式5ナンバーの初版は8程度、1962年式は9~10程度)
・2019年現在のアンティーク・トイ市場の推定評価額: 1961年式18~25万円程度・1962年式28~35万円程度 (箱付未使用ミントコンディションの場合)


●一宏工業(イチコー)総合カタログ1963年版に掲載の縦目セドリック





●東京玩具商報1962年8月号 (国立国会図書館蔵) 一宏工業 広告に日野コンテッサ900等と共に掲載の縦目セドリック・ツートン
キャッチフレーズは「自動車玩具ならイチコーへ」






●1961年式 黒 初版
1961年式の中でも初版はナンバープレートの文字がCEDRICではなく、「5ゆ7280」のシングルナンバー。










白いミニカーは大きさ比較用1/64スケールTLV縦目のセドリック




比較的忠実に再現された運転席のプリント


昔の車には皆付いていたフロントシートバックの灰皿もプリント再現。


シャシー裏面




●1961年式 青メタ 初版






●1961年式 青銀メタ
ナンバープレート文字を「CEDRIC」に変更。






●1961年式 茶メタ






●1961年式 クリーム/赤ツートン






●1961年式 青/水色ツートン


リアナンバープレート欠品




●1962年式 赤/クリーム ツートン
1961年秋から翌1962年秋までの約1年生産された実車の1962年式は、大盛屋フリクション5番の縦目のセドリック2ndや大盛屋チェリカフェニックス2番のセドリックバン2nd同様にイチコー製も現存する数が少ないレアモデル。過去30年集めてきた印象では、1962年式はイチコー製の縦目のセドリック30台に1台ないようなレア度で現存するものの大半は1961年式と思います。










箱は1961年式のまま。白は1/64TLVの縦目。




●1962年式 茶メタ
これもレアな62年式。







●1962年式 2台



●左1962年、右1961年



●全員集合♪




縦目のツートンは妙に派手ですが当時の実車カタログにも登場します。








※縦目のセドリックの実車カタログについては、2012年9月23日の「自動車カタログ棚から」シリーズ第59回記事をご参照ください。





★オマケ(その1): 1978年撮影の1962年縦目のセドリック
筆者撮影。私が高3・18歳だった1978年(昭和53年)2月、撮影場所は都下・練馬区内の新青梅街道沿い中古車店。子供の頃にリアルタイムで見て以来、縦目のセドリックとの久々の邂逅に懐かしさに胸が震えたことを思い出します。しかし、考えてみると当時はまだ16年落ちであったことが何とも不思議というか意外。2019年現在で言えば、同じ時間を経た16年落ちの2003年式のクルマ(例えば2003年デビューのゼロクラウン)を見かけて感動するなんてことは有り得ません。1960年代~1970年代は劇的・飛躍的に日本車が進歩した時代だったため、16年が現在よりも遥かに長い歳月に感じられた気がします。あるいは私自身が幼少期から大人になりかけるまでの期間・時期と重なっていたために、時間が長く感じられた面もあるのでしょうか。しかし、この頃、1960年代以前の古いクルマにカメラを向けることはあっても、街でウジャウジャ見かけた330セドグロや5代目クラウンのタクシーあたりには無関心で殆どカメラを向けなかったことが悔やまれます。撮影時点では、まだ東京の地区名称(品・練など)の入らないシングル5ナンバーとオリジナルのホイルキャップも付けていた、この白の62年縦目、果たして現在も生き残っているのでしょうか。






★オマケ(その2): アポロ社ピクチュアパズル「ニッサン セドリック」
縦25.2×横36.5cm。アポロ社ピクチュアパズルNo.605。当時定価120円。この手のパズルは昔からアポロ社製で私も子供の頃(1960年代)に幾つか買ってもらって遊びました。アポロ社は、1924年(大正13年)創業と歴史があります(現在はエポック社の傘下)。


裏面は小公子物語とセドリックの写真図解となっています。




★オマケ(その3): カーグラフィック2019年8月号 No.701
初代編集長 小林彰太郎氏の時代には正にカリスマ的な人気を誇ったCGも最近は滅多に買わなくなりました。最新号はGT3ベースのポルシェ911スピードスター(991型・1948台限定販売)の表紙でポルシェの小特集と1970年代初頭の初代マークⅡハードトップやダルマセリカベースのトヨタ初期のターボ・マシーンの記事が載っているため久々に購入。税込1240円。200頁+。


世襲を迎えた911


1970年代初頭のトヨタ・ターボ・マシーン記事


初代マークⅡハードトップ・ターボ