★1964年 今井科学 旧イマイ ビッグサンダー鉄人28号 ~ 玩具・模型カタログ棚から 003 | ポルシェ356Aカレラ

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★玩具・模型カタログ棚シリーズの第3回は日本のプラモデル・メーカー今井科学1964年版 (昭和39年版) カタログです。
今からちょうど半世紀前の東京オリンピックが行われ、東海道新幹線が開通した年のものです。
(註: カタログの発行時期は1963年末以前かもしれません。また、カタログNo.1と記載があるので、1964年版のNo.2も出ている可能性があります。)

なるべく肩肘張らずサクっとユル目にご紹介したいと思いますが、古いプラモデルに興味のある方以外はあまり面白くはないと思いますのでスルーしちゃってください。
今井科学(イマイ)は、1954年(昭和29年)から2002年(平成14年)まで存在した日本の模型メーカー。初期は木製組立キット、1958年(昭和33年)に日本で初めてプラモデルを発売したマルサン商店より少し遅れて1960年頃の国産プラモ黎明期の市場に参入しています。木製キットからプラモデル製造への転換は田宮模型、大滝、エルエスその他多数の模型メーカーと同じ道筋を辿っています。


★イマイというと個人的には1967年(昭和42年)に大ヒットしたサンダーバード・シリーズやマッハGoGoGo、1/20スケールのホンダN360やマツダ・ファミリア・ロータリークーペといった製品の時代が思い出深いのですが、
今回ご紹介するカタログはそれより数年前の未だサンダーバードでイマイがブレイクする前の時代のモノです。私自身は未だ小学校入学前の幼稚園児で模型屋に出入りしてプラモを自分で造るという年齢に達していなかったため、残念ながらこのカタログの年代の製品にはリアルタイムの記憶が殆どありません。

このカタログの白眉は何と言ってもビッグサンダーことサンダーボーイで半世紀前の1964年当時1500円という定価は普通の子供には高嶺の花で、私より5歳前後上の年代の人からは模型屋の棚の上に飾ってあるのを指をくわえてみていたという思い出話を聞かされます。このビッグサンダーが買えない子供のために後にミニサンダーボーイというのも発売されました。15年程前に行きつけのショップにこのビッグサンダーの未組立品が売りに出た時に初めて見たその箱の巨大さに驚きましたが、付けられていた値段200万円にも驚いたものです。プラモデルにしては随分高価なものだなと思いましたが、すぐに売れたと聞きましたので、当時買えなくてどうしても欲しかったなど思い入れのある人の手に渡ったのでしょう。
今回も資料価値を考慮してカタログに記載の製品名・価格等を一通り書き写しておきます。フェラーリがフェラリーとなっていたりするのも基本的に原文のままとします(60年代の国産プラモデルはメーカーを問わずフェラリーの表記が多かったように思います)。




●1964年 今井科学 プラモスチックモデル カタログ (B5判・表裏共16頁)
清水と言えばアニメちびまる子ちゃんを連想しますが、表紙右下に印字された今井科学の住所は本社および営業所が清水市中浜町、工場が清水市西久保。
表紙



●1頁
マスコットシリーズ No.1~4=定価40円、No.5~9=定価50円(フェライト磁石付)
No.1 : 鉄腕アトム
No.2 : ナガシマくん
No.3 : ロボットくん
No.4 : 鉄人28号
No.5 : シルバークロス
No.6 : モーちゃん
No.7 : ター坊
No.8 : 伊賀の影丸
No.9 : エイトマン

ロボットシリーズ
サンダーボーイ「ビッグサンダー」(定価1500円)
鉄人28号 (定価380円)
(1頁)



●2頁
スクールシリーズ
イマイのロープウェーは60年代末まで売られた隠れたヒット商品。このシリーズでは後にガソリンスタンドやトールゲート(高速道路料金所)なども発売されています。

No.1 : ゴンドラ (定価60円)
No.2 : ロープウェー (定価120円)
No.3 : 米つき水車小屋 (定価100円)
No.4 : 箱根駒ケ岳マンモスロープウェー (定価100円)

モノレールマッキンレー (定価380円)・・・・・以前、岡田斗司夫さんが血眼になって捜していた品物です。
モノレール用 直・曲レール (定価120円)
(2頁)



●3頁
スーパーレーサーシリーズ (各定価100円) 
1/32スケール程度の大きさでマブチモーターで走らせるスポーツカー&レーシングカーシリーズ。カタログにはボディの成型色がカッコ書きで記載されています。

No.1 : フェラリー (赤色)
No.2 : ポルシェ (銀色)
No.3 : ベンツ (白色)
No.4 : ロータス (紫色)
No.5 : MG (黄色)
No.6 : ジャガーDタイプ (橙色)
No.7 : マセラティー (緑色)

ミリオンレーサーシリーズ (各定価70円)
1/32スケール以下程度の大きさでマブチモーターで走らせる1950年代後半と思しきF1カーのシリーズ。

No.1 : ベンツ (白色)
No.2 : BRM (赤色)
No.3 : フェラリー (緑色)
No.4 : バンウォール (橙色)
No.5 : ワーゲン (青色)
(3頁)



●4頁・5頁
ミゼットリモコンレーサーシリーズ
3頁のスーパーレーサーシリーズとミリオンレーサーシリーズをリモコン化した製品。スーパーレーサーシリーズからの移行品は定価150円、ミリオンレーサーシリーズからの移行品は定価100円。

No.1 : MG (赤色) 定価150円
No.2 : ジャガーDタイプ (白色) 定価150円 
No.3 : マセラティ (オレンジ色) 定価150円
No.4 : ロータス (青色) 定価150円
No.5 : ベンツ (白色) 定価100円
No.6 : バンウォール (オレンジ色) 定価100円
No.7 : ワーゲン (青色) 定価100円
No.8 : フェラリーF1 (赤色)定価100円
No.9 : BRM (緑色) 定価100円
No.10 : フェラリー (濃緑色) 定価150円
No.11 : ポルシェ (銀色) 定価150円
No.12 : ベンツ (水色) 定価150円
(4頁)
(5頁)



●6頁
グランプリレーサーシリーズ
1/24スケールの電動フォーミュラカーシリーズ。定価各200円。このシリーズは後年スロット・レーシング仕様でもリリースされている。

No.1 : ローラー
No.2 : フェラリー
No.3 : クーパー
No.4 : ポルシェ
No.5 : BRM

ノンストップタンクシリーズ
No.1 : ミサイル戦車 B.B-1 (定価700円)
No.2 : ミサイル戦車 B.B-3・・・・・写真なし、詳細不明。
(6頁)



●7頁・8頁
日本自衛隊シリーズ
No.1 : 1/35スケール M-41戦車 (定価350円)
No.2 : 1/30スケール 61式戦車 (定価1000円)

マメタンシリーズ (ゴム動力走行・定価各80円)
No.1 : M-24戦車
No.2 : M-41戦車
No.3 : M-4戦車
No.4 : 61式戦車
No.5 : 60式自走砲

ミゼットリモコンタンクシリーズ (各150円)
No.1 : M-24戦車
No.2 : M-41戦車
No.3 : M-4戦車
No.4 : 61式戦車
(7頁)
(8頁)



●9頁
スーパーリモコンタンクシリーズ (1/50スケール・各350円)
No.1 : シャーマン戦車 (米国)
No.2 : スターリン戦車 (ソ連)
No.3 : 61式戦車 (日本)
No.4 : センチュリオン戦車 (英国)
No.5 : タイガー戦車 (ドイツ)

ラジコンタンクシリーズ (1/15スケール・定価2000円)
「日本プラスチックモデル最大」のコピー
No.1 : 4号戦車Ⅰ型 (ドイツ)
No.2 : 4号戦車Ⅱ型 (ドイツ)
(9頁)



●10頁
日本戦艦シリーズ (1/700スケール・全長350㎜・各280円)
No.1 : 榛名
No.2 : 霧島
No.3 : 金剛
No.4 : 伊勢
No.5 : 日向
No.6 : 山城
No.7 : 扶桑
(10頁)



●11頁
日本巡洋艦シリーズ (1/550スケール・全長365㎜・各300円)
No.1 : 最上
No.2 : 鈴谷
No.3 : 愛宕
No.4 : 鳥海
No.5 : 高雄
No.6 : 摩耶
No.7 : 妙高
No.8 : 足柄
(11頁)



●12頁
モーターボートシリーズ
No.1 : ロビン (全長180㎜・定価120円)
No.2 : ターキー (全長220㎜・定価200円)
No.3 : ハイスピードボート「ドリームX」 (全長400㎜・定価400円)
No.4 : ハイスピードボート「ブルーシャーク」  (全長400㎜・定価400円)
No.5 : 宇宙船「シリカ」 (スクリューなしで走る・定価260円)
(12頁)



●13頁
歩く動物シリーズ (動力なしでノッシノッシと歩く・各定価100円)
動力なしで動くとは、どういう仕組みで動いたのでしょう?
No.1 : 歩くクマ (白黒2頭入)
No.2 : 歩く剣竜 (金銀2頭入)
No.3 : 歩く象 (アフリカ象とインド象の2頭入)
No.4 : 歩く恐龍 (肉食龍2頭入)
(13頁)



●14頁
日本名機シリーズ (1/50スケール・モーターでプロペラが回る・スタンド付・各定価200円)
No.1 : 零戦
No.2 : 疾風
No.3 : 紫電改
No.4 : 雷電
No.5 : 鐘馗

金属製テスター(導道試験器)  完成品180円・組立キット170円
(14頁)


●裏表紙
当時の今井科学の社有車と思われる2代目マスターライン・シングルピックアップ、3代目マスターライン・シングルピックアップ、2代目コロナライン、40系2代目クラウン等が写っている。
裏表紙

ダットサントラック320系と3代目マスターライン・シングルピックアップ
裏アップ1ダットラ・2代目

よく見ると、鉄人28号のプラモがダースで詰められていると思われる、「鉄人28号」と印字されたダンボール箱が山積みとなっており正に夢のような光景。
裏アップ2鉄人箱山積み





★オマケ(その1): 今井科学スーパーレーサーシリーズ№2 1/32スケール 1960年ポルシェ1500RSスパイダー(718/RS60) プラモデル
3頁掲載の当時定価100円の製品。この時代のイマイの箱絵(ボックスアート)は有名な小松崎茂氏の筆によるもの以外でも一種独特な味わいと魅力があり、箱絵を見るとつい欲しくなってしまうような雰囲気を持っている。
ポルシェ



★オマケ(その2):  今井科学ミリオンレーサーシリーズ№3 1/32スケール 1956年フェラーリF1 プラモデル
3頁掲載の当時定価70円の製品。
フェラーリ



★オマケ(その3): 今井科学「イマイ モデル ニュース」1968年12月号
模型店で配布されたA4判2つ折のニュース。定期的に発行されていたものかどうかは不明。表はマイティジャック・イージーマイティ号(1600円)他、裏はサンダーバード・スカイシップ号(680円)、1/20スケール・ホンダN360(250円)、同スケール・マツダ ファミリア ロータリークーペ(350円)、1/21スケール・ポルシェ912(450円)、1/16スケール・ポルシェカレラ6(1200円)等の新商品が紹介されている。イマイと言うとサンダーバードに代表されるキャラ物のイメージが強いけれど自動車プラモも傑作揃いだった。中面は2色刷でマイティジャック秘密基地(3500円)、ファニーカーシリーズ(各450円)、サンダーバードちびっこ秘密基地(1200円)等の解説記事。このニュースが発行された時、私は小3でホンダN360(自動車カタログ棚シリーズ第79回記事オマケ参照)やファミリア ロータリークーペ(自動車カタログ棚シリーズ第63回記事オマケ参照)など当時買って作ったものが多くとても懐かしい。
ニュース(1)

中面
ニュース(2)
ニュース(3)

裏面: サンダーバード「スカイシップ1」とホンダN360ほか自動車各種
ニュース(4)




★オマケ(その4): 1967年 今井科学サンダーバードシリーズ テレビCM
今回ご紹介した1964年のカタログより3年程後のサンダーバードで大ブレイクした頃のイマイのテレビCM。個人的にはこのあたりのプラモは懐かしくて涙が出ます。あの頃、定価2200円のサンダーバード秘密基地は、ちょうど今回の1964年版カタログに掲載されているサンダーボーイ「ビッグサンダー」と同じような憧れの存在でした。