★1968年 3代目クラウン・ハードトップ ライオン顔のHT ~ 自動車カタログ棚から 215 | ポルシェ356Aカレラ

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★前項でご紹介したとおり、国産車初のハードトップは1965年(昭和40年)7月発売のコロナ・ハードトップであったが、トヨタは3年後の1968年(昭和43年)9月に初代コロナ・マークⅡハードトップ、そして同1968年11月に高級車クラウンの3代目(第142回記事参照) に今回ご紹介するクラウン ハードトップを追加発売した。
ライバルである日産は1960年代にはハードトップ・ボディを発売しておらず、日産のハードトップは1970年(昭和45年)6月登場の初代ローレル・ハードトップまで待たねばならなかった。1969年(昭和44年)10月に東洋工業(現マツダ)がルーチェ・ロータリークーペ(第64回記事参照) を発売しているが極く少量生産であり、事実上1960年代における日本車のハードトップはトヨタの独壇場であったと言える。1970年代に入り、日産もローレルに続いて1970年10月に3代目スカイライン(ハコスカ)のハードトップ、翌1971年(昭和46年)2月には230型セドリック/グロリアにもハードトップを登場させ、他のメーカーからも軽自動車に至るまでハードトップ・ボディは雨後の筍のように生まれることとなった。


★カーグラフィック(CG)誌1969年2月号掲載 第5回ロードテスト 「トヨペット クラウン ハードトップSL」
少々長くなるが、CG誌1969年2月号に掲載された第5回ロードテスト「トヨペット クラウン ハードトップSL」の記事を以下に抜粋しておく。自動車ジャーナリスト/研究家として生涯現役を貫かれ、惜しくも昨年2013年10月28日に鬼籍に入られたCG誌初代編集長 小林彰太郎氏による初期型クラウン ハードトップSLのテスト記事である。小林氏が「暮しの手帖」の自動車版を目指して行った厳正中立なテスト記事はCG誌の看板記事となったが、これは有名なテスト用第5輪が後部に装着される前の極く初期のもの。

(お時間のない方は要約および赤字箇所のみお読みください)

【要約】
クラウンSのハードトップ版。後席の居住性損なわれず。6気筒SOHCエンジンは7000以上まで軽く吹く。高速まで極めて静粛。120km/hで会話を楽しめる。ブレーキ強力だが踏力過大。ステアリング低速で重い。乗り心地基本的によいが悪い路面ではあおる。最高速度168.65km/h。0-400m: 18.3秒。0-100km14.2秒。カタログ値以上の性能。平均燃費6.4km/L


●近頃、街で3代目クラウンの白いスポーツグレード「S」をよく見かけるようになった。大抵はオーナーと覚しき壮年のドライバーがハンドルを握っている。機を見るに敏なトヨタでは、主としてこうした壮年のスポーツマンや洒落者を狙って、1968年(昭和43年)11月1日からクラウンのハードトップ・モデルを発売した。ヨーロッパにはオペル・コモドーレとかフォード20MRSなどのやや高級な6気筒車にも大抵クーペ型があるが、国産2リッタークラスではこのクラウンが最初の例である。
クラウン・ハードトップは、セダンと同じペリメーター形フレームの上に流行のハードトップ・クーペボディを載せたものである。セダンに比べてルーフラインは25mm低く、全長も若干短い。フロントエンドのスタイリングも角型ヘッドランプ、側面まで回りこんだ大型の車幅灯によってセダンとは異なった印象を与える。ハードトップには、標準型とスポーティーなSLの2種がある。SLにはクラウンSと同じM-B型エンジン(ツインSU125HP/5800rpm)が載り、サスペンションも硬く、フロントにはサーボ付ディスク・ブレーキが標準装備される。トランスミッションは4段フロアシフトとオートマチック3段トヨグライドの2種から選択できる。今回テストしたのは4段マニュアル・ギアボックス付のSL(販売価格120万円)の方である。
室内の印象はアメリカ車そのものというより、米資系ヨーロッパ車に近い。内装はほぼクラウン・スーパーデラックスに等しく誠に豪華であり落ち着いた趣味で統一されている。フロントのリクライニング・シートはクラウンSより更に分厚くメルセデス級である。バックレストは中立位置から前へ2段、後ろへ20段も微調整が効く。組込まれたヘッドレストは110mmに高さを調整可能で、そのロック装置も付いているという周到さである。標準装備の3点式シートベルトは巻き込み式で使わぬ時には体裁よいが、戻しバネが強く、腹部を圧するために最もベルトを必要とする長距離の高速走行には、つい外したくなる。外国製の巻き込み式ベルトには、窓のブラインドのように引き出した位置で止まるものがあるのでトヨタには研究をお願いしたい。
このクルマのインテリアは寸法的に全く国際級で全てに余裕が感じられる。今までどの国産車に乗っても窮屈だった巨漢もこのクラウン・ハードトップなら腕も脚も十分に伸ばして運転出来るだろう。ウインドシールドの上部10cm程は眩眩のために着色されているのだが、夜間には少々前上方の視野が信号機を見上げる時などに妨げられる。最もこれは我々の体重不足のためで、クラウン・ハードトップを買うような下っ腹の少々出っ張った紳士ならシートが適度に沈むだろうからこれでちょうどいいのかもしれぬ。
ダッシュボードはクラウンSと基本的に共通で直径15cmもある大径の計器が3個並んでいる。但し、セダンとはレヴ・カウンターと時計の位置が逆でレヴ・カウンターはドライバー直前にある。計器のダイヤルは黒地に白文字で昼夜を通じて読みやすい。コントロール類は楽な運転姿勢からダッシュのライト、ワイパースイッチがやや遠いことを除けばよく考えられており使いやすい。例外は左ドアのロックで、ドアが幅広いのとヘッドレストのために手が届きにくい。ドライバー側から左ドアのロックをするのは全く不可能である。せっかくパワーウインドーにしたのだから、ドアロックもセンチュリーなみに電磁式オートロックにするかコロナ・マークⅡのようにドア内側側面にして欲しい。他の点では殆ど満点なのだから画龍点晴を欠くと言いたい。
スタイリッシュなクーペでは往々にして後席の居住性は美しいルーフラインのために犠牲にされるが、クラウン・ハードトップではセダンに匹敵する居住性が確保されている。室内寸法は全長で60㎜・全高で15㎜程、セダンより縮小されているに過ぎぬ。ヘッドルーム、レッグルーム共に長途の旅行に差支えない余裕がある。ドアは極めて広く、しかもセンターピラーがないので後席への出入りは楽である。しかし、広いドアは110cmもあるので、隣のクルマに当てないよう十分に気をつけねばならない。ドアは2段階に止まるが、重量に対してはやや弱い印象である。

●クラウン・ハードトップSLの性格を一口で表現するなら、スケールダウンしたアメリカのスポーツクーペである。スタイルやサイズの点だけでなく挙動についてもそうだ。車重1295㎏に対して125HPの居住性を重視した豪華なクーペだから米車特有の強力さは感じられないが、少なくともそのムードだけは大いにある。まず挙げたいのはその6気筒OHCエンジンが無類に静かでスムーズなことだ。エンジンが掛かった瞬間、ヒューンと軽く吹き上がり、トルクの反力でボディがゆらっと揺れる感じはまさにV8のアメリカ車を思わせる。レヴ・カウンターで6400rpm以上はレッドゾーンだが、7000以上まで一気に軽く吹き上がる。バランシングの良いことは無類で、7ベアリング、6気筒はかくあるべしと言いたいほどだ。600~700rpmのアイドリングはあまりに静かなので、信号待ちの間などエンジンが回っているだろうかと空吹かししてみたことも一再ならずあった。事実、このエンジンは朝のコールドスタート時には少なくともたっぷり5分間、ウォーミングアップしないと、最初の信号2、3回は止まるたびにストールしがちであった。寝起きのよくないエンジンである。
我々が初めてクルマを受け取ったとき、走行距離は僅か750km余り、ランニングインだけは済ませてあるとの話だったが、エンジンはいかにも固く、これで谷田部の最高速走行を行なうことには一抹の不安を禁じ得なかった。しかし、5.5㎞周回のラップ平均は168.55km/hというカタログ値(165km/h)を若干上回る高性能を示した。この速度での回転数は約5950rpmで最大出力時の125HP/5800rpmを若干越えるが、何ら無理な感じはなく余裕たっぷりの印象を受けた。我々は最高速のまま3ラップ、約6分間連続走行したが、水温、油圧ともに全く正常であった。
前述のように車重1295㎏に対して125HPだから特にパワフルではないけれども、このクルマの意図する目的には十分以上の性能を秘めている。0-400mは18.3秒で達し、スタート後2kmほどで150km/hに到達する。室内のノイズレベルは驚くほど低い。120㎞/hならラジオを聴くことができ、140で走りながら隣と話が通じる。エンジンは急加速時に力強い咆哮を発する以外、機械的ノイズは高回転まで低く抑えられ路面からのノイズも非常によく遮断されている。シャシーフレームを持つクラウンはノイズ・コントロールに関して極めて有利だ。スピードに慣れたドライバーなら、150km/hは法さえ許せば高速道路上で持続できる実用的な巡航速度である。回転数はレッドゾーンを1200下回る5200rpmに過ぎず、一般的なノイズレベル(一番大きいのは風切り音)はまだ長時間我慢できる範囲内にある。方向安定性は抜群にすぐれ、軽くステアリングに手をのせているだけでクラウンは矢のように直進する。谷田部での実験によれば、このクルマに付いていたBS製タイアは140~165km/hを約60kmにわたって持続した後にも若干空気圧が上昇しただけで発熱も普通の道路を普通の空気圧で走った場合と大差なかった。それゆえ、クラウン・ハードトップSLのドライバーは何の心配もなく楽なシートに深々と身を沈めて高速巡航を楽しむことが出来る。
一方、このエンジンは極めてフレキシブルで1500あたりから5800に至る広範囲にわたって15mkg以上の大トルクを発生する。トップギアでいえば30㎞/h(1000rpm強)からごくスムーズにノッキングもせず静かに加速する。スロットルのレスポンスは2500~5500あたりで特によく、ペダルを踏むというより足を載せるだけで鋭敏に応答する。英語では滑らかな6気筒を形容してsilky six(絹のようにスムーズな6気筒)と言うが、このエンジンはまさにこの賛辞に価するだろう。我々が初めてクルマを受け取った時は前述のように750km強の走行時でエンジンもギアシフトもかなり固かった。しかし、10日ほど隔てて再び同じクルマを試みた時は既に2000㎞を走っており、エンジンはすっかり馴染み別のクルマのように軽くなっていた。我々のCGコロナ・マークⅡの経験でもトヨタ系のクルマは最初ひどく各部が固く、1500~2000㎞ほど走ると急速に馴染むようである。だから、谷田部で定地テストのデータを採った時は、まだ実力がフルには発揮されていなかったとみてよい。

●ハードトップSLの4段フロアシフト・ギアボックスはクラウンSと共通である。ギア比がパワーと車重に対して適切な証拠には、このフレキシブルなエンジンでも2速からの発進はクラッチをかなりスリップさせないと難しい。各ギアの実用的なマキシマムは45、75、115(それぞれ6000rpmに相当)である。シンクロはすこぶるパワフルであり、シフトのストロークは小さく、最初固かったシフトも2000km走行後にはごく軽くなった。
クラッチは現代的標準では重いが、繋がりは極めてスムーズでよい。しかも加速テストの荒いスタートでは、ごく僅かのスリップとホイールスピンできれいなスタートが可能であり、それを反復してもいっこうに焼ける徴候はみられなかった。急発進がきれいに出来るのは、ひとつには後車軸の位置決め(固定軸をラジアスアームおよびパナールロッドの4本で支えている。バネはむろんコイル)がしっかりしており、急激にクラッチを離してもアクスルが暴れないからでもある。
ブレーキはサーボ付ディスク/デュオサーボ・ドラムだが、このクルマを初めて運転したドライバーはみな、ブレーキのあまり重いことにびっくりする。街中の普通の制動(0.3~0.4g程度の減速度)でも20kg以上の踏力を要する。慣れればなんということはないが、少なくとも御婦人がハイヒールで踏むブレーキではない。踏力が大きいことを除けば、このブレーキは基本的に極めてすぐれている。踏力に応じて漸進的に効き、後輪にプレッシュア・コントロール・バルブがあるので急制動下でも姿勢は安定し、いわゆる「鳴き」も皆無に近い。100km/hから0.5g制動を連続10回、1kmおきに行なうフェード・テストでも、後半に約10%踏力が増加しただけであった。
ステアリングは、パーキングスピードではひどく重い。操作力を軽減するためにギア比はバリアブルだが、直進時の20.5がフルロック付近で23.6に変化するだけだから実感できるほどではない。御婦人のドライバーにはオプションのパワーステアリングがmustであろう。ロックからロックまでは弾性的なあそびを勘定に入れると4+3/4回転もするのでタイトコーナーを速く回ろうとすると相当に忙しい。低速で重いステアリングもスピードを上げるに従って軽くなる。操向性は強度のアンダーだが、タイア空気圧を2kg程度に高めるとかなり改善され、乗り心地もそれほど悪影響を受けない。最近、トヨタ車の操縦性はめざましく向上しているが、このクラウン・ハードトップも例外ではない。高速ではステアリングはかなり正確であり、応答性もスピードを上げるにつれて敏感になる。曲がりくねった首都高などでは慣れれば小型車を扱うのと同じ気持ちでこの総車重1.4トンの重量車をクルマの列を縫って飛ばすこともできる。

●乗り心地は一口にいって極めて重厚で快適である。基本的にはソフトである、サスペンション・ストロークはたっぷりしている。細かい路面の不整は全てサスペンションに吸収され、遮断性は極めてよいので足回りからのノイズもよく消されている。しかし、大きい凸凹を高速で乗り切ると容易にボトミングするし、路面の悪い舗装路を80km/h程度で走るとボディはかなり揺動してクルマ酔いすることがある。ソフトなサスペンションと相対的に大きいバネ上重量の割にはコーナーでのロールは少ない。それもそのはずで、直径20㎜以上もあるトーションバー・スタビライザーを備えているのである。ボディの剛性は異例に高い。
燃費は当然ながら運転パターンによって大幅に異なる。実用燃費では、郊外の比較的すいた道路を40~60km/hで走った場合に15.8㎞/Lという信じがたい数値を記録した。高速道路を法の許す限りの高速で走った場合が10.7㎞/L、谷田部から非常に混んだこくどうを東京まで帰ってきた際が7.8㎞/Lであった。テスト期間中の平均燃費6.4km/Lで、これは過酷なテスト走行を含んでいるので、日常使用でこれ以下になることはないと考えてよい。ガソリンはむろんハイオクが必要でタンクは60L入る。
ヒーター/ベンチレーターは完備している。外気導入/室内循環両用のヒーターは夏季にはそのまま強力なベンチレーターとなる。ブロワーは3スピードで、「弱」は全く聞こえないほど静かだ。ただこのシステムで不便なのは、ダッシュ両端のベンチレーターがヒーターと共通ダクトを使っているため、足元を温め顔を冷気で顔を冷やすという理想的な状況がつくり出せないことだ。
テスト期間中に大雨が降ったのでベンチレーターの効果を試みるチャンスがあった。カウル・ベンチレーターを開け、後窓のルーム・ベンチレーター・ルーバーを開けておけば、しばらく走行しても窓は曇らない。しかし走行できずに渋滞するとやはり窓は曇ってくる。後で判明したのだが、こんな場合に備えて後窓専用のデフォッガーが装備されている。但しそのスイッチはダッシュ下の判りにくい位置にひそんでいる。2スピード・ワイパーは広い範囲を拭うが、120km/h以上では浮上して役に立たなくなる。
このクルマの室内で最も魅力的なのはAM/FMサーチチューナー式のラジオだろう。スピーカーも車室前後にあり、その音量配分も自由に変えることが出来るのは素晴らしい。
我々がテストしたのはハードトップの中で最も硬派な4段フロアシフトのSLであったが、コントロール類は総じて重くこのクルマには相応しくない。むしろ、トルコンオートマチック、パワーステアリング、そしてエアコンを付けた(何れもオプション)SLではない標準型ハードトップの「旦那仕様」に収まって、前後スピーカーから聴こえるステレオなんぞを聴きながら悠然と「流す」のがこのクルマに相応しい乗り方であり、また設計者の意図であるのかもしれぬ。
 (小林彰太郎・記)


【主要スペック】 1968年トヨタ クラウン ハードトップSL (型式MS51)
全長4585mm・全幅1690mm・全高1420mm・ホイールベース2690mm・車重1295kg・FR・M-B型6気筒SOHC1988cc・最高出力125ps/5800rpm・最大トルク16.5mkg/3800rpm・変速機4速フロアMT・前ディスクブレーキ・電装系12v・乗車定員5名・最高速度165km/h・販売価格120万円(東京店頭渡し)


●東京トヨペット広報誌「Pet」 1969年1月号 (B5判・42頁)
日本最大のトヨタディーラーである東京トヨペットが1963年より月刊で発行していた珍しい広報誌「Pet」。1968年12月25日に発行されたこの1969年1月号の表紙は発売されたばかりのクラウン・ハードトップと正月らしく和装の女性。角型ヘッドライトのフロント周りはライオンの顔のように見える。
ペット


●1968年10月 クラウン ハードトップ 簡易カタログ (縦29.5×横24.5cm・3つ折6面)
トヨタカタログNo.11078。表紙にSLの文字があるが標準型も含めたカタログ。この前期型は69年8月までの僅か10ヵ月と生産期間は短かかった。
簡易表紙
中頁から
簡易1中
簡易2中(運転席)
小林彰太郎氏がメルセデス並と評した分厚いシート
簡易3中(シート)
裏面スペック
簡易4中(スペック)


●1969年5月 クラウン ハードトップ 本カタログ (縦29.5×横24.5cm・16頁)
トヨタカタログNo.10078。イメージキャラクターの山村 聰氏(1910年2月24日-2000年5月26日)も登場するが、全編を通してサイケデリックなムードのカタログ。
68表紙
中頁から
68中(1)
68中(2)
68中(3)ライオン面
山村氏も登場
68中(4)山村氏登場


●1969年11月 クラウン ハードトップ 本カタログ (縦24.5×横29.5cm・16頁)
トヨタカタログNo.10091。セダンと共にマイナーチェンジした後期型。M-D型115psエンジン搭載のスーパーデラックスを追加。この時のマイナーでセダンのスーパーデラックスは三角窓が省かれたが、ハードトップは全グレードに三角窓が付いていた。マイナー後の顔はスマートだが少なからずインパクトは薄れた。価格はスーパーデラックスが124万円、SLが120万4000円、標準型ハードトップが99万1500円(何れも東京渡し価格)で、この時代、スーパーデラックスでさえエアコンはまだオプションだった。このマイナー時の本カタログはセダン・ハードトップ共にイラストで描かれた山村氏が表紙。1970年3月にスーパーデラックスに6人乗り仕様が追加されているのでカタログはもう1種類あるはず。後期型はハードトップ専用の簡易カタログは発行されていないようだ(クラウン全車総合の簡易カタログはあり)。1980年代初頭、10年落ちのこの後期型ハードトップの車高を下げてカスタマイズしてカッコよく乗っていた友人がいたことを思い出す。この後期型も1971年(昭和46年)2月に4代目クラウン(通称クジラ)登場までの1年3ヵ月と生産期間は短かく、3代目クラウンのハードトップは前後期を通算しても2年3ヵ月間という短命モデルだった。
69表紙
中頁から
表紙をめくるといきなり山村氏が登場
69中(1)いきなり山村氏
手前の赤「SL」、後ろの白「スーパーデラックス」
69中(2)赤SL白SDX
スーパーデラックス
69中(3)赤SDX
ベースグレード「ハードトップ」。オーバーライダーが付かず、ミラーもシンプル。
69中(4)ハードトップ



★オマケ(その1): 1969年9月 クラウン ハードトップ テレビCM
1968と表示されているが、1969年9月マイナーチェンジ後のCM。この時、1910年生まれの山村聰氏は59ないし60歳。



★オマケ(その2): トイマーク 1/19スケール 1968年クラウン ハードトップ
全長24cm。当時定価不明。ABS樹脂製。フリクション駆動。ボンネットが開閉しエンジンがモールドされている。トイマークは東京都台東区駒形1丁目に存在した玩具メーカー。 
トイマーク(1)
トイマーク(2)
トイマーク(3)


★オマケ(その3): イチコー(一宏工業) 1/9スケール 1968年クラウン ハードトップSL
全長51cm。当時定価:都内1200円・全国1320円。1969年8月発売。画像のものは再販品で初版はホイルキャップがプリント。黒レザートップに赤・黄・白のカラーがあり、警視庁パトカー仕様も発売された。子供が転がして遊ぶには大き過ぎ、幼児なら上に乗って遊べそうなジャンボサイズの製品。前期型ハードトップのスケールモデルとしては他に大滝製1/20プラモデルがあった。
イチコー(1)
イチコー(2)
イチコー(3)


★オマケ(その4): ダイヤペット188番 1/40スケール 1969年クラウン ハードトップSL
全長11cm。当時定価600円。米澤玩具1970年6月発売。ダイキャスト製。後期型のモデル化。ボンネット、トランク、ドア開閉。ボディカラーは他に赤・白など。箱にはSLの記載がないがミニカー本体にはSLと記載あり。
DP188(1)
DP188(2)
DP188(3)


★オマケ(その5): ダイヤペットA-5番 1/43スケール 1969年クラウン ハードトップSL
全長10cm。当時定価430円。米澤玩具1970年12月発売。ダイヤペットからは新素材ABS樹脂のシリーズでも後期型がモデル化された。ボンネット、トランク、ドアのフル開閉。金メッキ、銀メッキ、警視庁パトカー仕様等のバリエーションもあった。
ABS(1)
ABS(2)
ABS(3)