8/19(月)降っても晴れても台湾一周の旅 6日目〜その1~ | ちいたろうのお出かけ日記

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いつかはあなたの住む街へ,行くかもしれません~♪。

 台湾の旅もいよいよ最終日。
「出発ギリギリまで台湾を満喫するぞ」
と思うものの、機場に向かう時間もあるので、実際には午前中だけの自由時間です。
 9時前に宿をチェックアウト。2018年に初めて台北に来たとき、迪化街で食べた朝ごはんが美味しかったことを思い出しました。市場の向かいに、自分でおかずを選んで盛りつけてもらう店があったのです。
 歩いていると、向こうから小学生くらいの兄妹を連れた母親らしい女性が歩いてきました。声が聞こえないくらい離れていたのですが、その雰囲気からふと、
「あ、日本人だ」
と直感的に思ったのです。案の定、すれ違うときに日本語が聞こえたので、間違いないでしょう。
「昨日の湯包やさんのおばちゃんもこうだったのかな」


 お目当ての永楽市場清粥小菜に着くと、なんだか雰囲気が違います。
「あれ? こんな看板だったっけ?」
でも、店の場所は間違っていません。
 看板には、「永楽式のお粥と小皿料理」と書かれていました。
「永楽式ってなんだ?」
と思いながら、昨日の夜市のように上に書かれた英訳を読んでみると、「Taiwanese Style」とあります。なるほど。英語なら「台湾式」なので納得です。
 お店のおばちゃんに中で食べることを伝え、食べたいものを指さして注文します。


 店の中に、「日本美食不孤單節目」と書かれた色褪せたポスターが貼ってありました。


「あ、『孤独のグルメ』だ」
どうやらこの店でドラマの撮影が行われたようです。
「前に来たときにこんなのあったかなぁ」
 香港人のKさんに、「ちいたろうさん、この人に似ています」と言われたことがあります。その時に見せられたスマートフォンに表示されていたのが、孤独のグルメだったのです。
 自宅でほとんどテレビを見ることがなく、特にドラマはまず見ません。このドラマもちゃんと見たことはなかったので、U-NEXTでチェックしてみました。
 この店が出てくるのは、孤独のグルメ Season5の第5話 「台湾台北市 永楽市場の鶏肉飯と乾麺」。主人公の井之頭 五郎は、礁溪溫泉に泊まってから台北にやって来ます。
「なんか同じようなことしているなあ」
そして彼は、どんな店か、どんな食べ物が出てくるかもわからないまま、この店に飛び込むのです。
「なんだ。やってること、同じじゃないか」
確かに、Kさんの言った通りだったのでした。
 このエピソードでは、最後に訪れる店で、先に食べ終えた地元の人らしい男性が、中国語で、
「寧夏夜市には美味しいものがいっぱいありますよ」
と言います。
 視聴者は字幕でわかるのですが、主人公、井之頭 五郎を演じる松重 豊氏は、
「なんて言ってたんだろう」
と分からない様子。けれど、エピソードとしては描かれませんが、夜市をしっかり楽しんでいる映像が最後に流れました。
 この男性は中国語版「孤独のグルメ」である「孤独的美食家(原題)」で主人公・伍郎を演じているウィンストン・チャオ(趙 文瑄)という俳優さん。スペシャル企画なのでしようが、なかなか細かい演出です。
「こんなにごはんに合うおかずがあって、幸せだなあ」
 料理はどれも美味しいのですが、とくにこの魚が激ウマ。この、つゆというのかタレというのか、汁がうまい。お粥だからやりませんが、白ごはんだったら絶対にこれをかけて食べてしまいます。


 食べ終えて店を出る前に、お店の人に声をかけて、写真を撮らせてもらいます。すると、お店の方も日本語で、
「これ、豚肉。人気」
「ありがとー」
などと伝えてくれます。ここでも、日本人と名乗らなくてもわかってしまったようです。
「台湾、本当にいいところだなあ」
 街の魅力も店の魅力も、出会う人によるところが大きい気がします。そして、旅の途中で素敵な人に出会った場所は、どこも自分にとってのお気に入りの場所になるのです。


 市場の隣に、台北霞海城隍廟という寺院がありました。そこはなぜか、日本人だらけです。お参りの仕方も、ちゃんと日本語で書かれています。


 迪化街は間違いなくどのガイドブックにも載っていることでしょう。しかし、この寺院がなぜ日本人にこんなに人気なのか。いろいろ調べてみたのですが、結局わかりませんでした。


 歩いていると、大稻埕公園に着きました。観光客向けの案内地図があります。今回はガイドブックを参考にせずに観光しているので、こういった地図は貴重な情報源です。どうやらこの近くに別の寺院もあるようです。そちらも覗いてみることにします。


 大稻埕慈聖宮に着くと、境内のまわりにはいくつもの飲食店が並んでいました。その様子は、なんとなく千と千尋の神隠しのワンシーンのようです。日本人である私がそう思うのですから、台湾の人たちの目に、あの映画はどのように映るのでしょう。
 そして、まだ朝だと言ってもいいような午前中のこんな時間ですが、店先で何かを食べている人があちこちにいます。台湾がもつエネルギーの源は、こんなところにあるのかもしれません。
 さらに迪化街を奥へと進み、迪化街十連棟を見に行きます。台北車站から歩いて迪化街に入った時にも、その街並みのレトロさに感激しますが、こちらはそれがぎゅっと凝縮されているようです。
 中はリノベーションされ、いろいろな店舗が入っています。永楽市場のあたりはまさに問屋街といった雰囲気ですが、ここまで来れば静かな佇まい。この歴史のある建物を、台湾ではうまく使っているのです。


 古いものを新しいものに変えていくのは簡単ですが、古いものの良さを生かしていく。その工夫が素晴らしいと思うのでした。