8:30、ゲストハウスの鍵を所定のポストに返却してチェックアウト。結局、宿の人には一度も会いませんでした。最近はこんな宿もあるのです。
ともあれ、いよいよ京都最終日。まずはNIE京都大会でもらった資料を郵便局のレターパックで送ってしまおうと考えたのですが、なんとポストの投函口にギリギリ入りません。ほとんどが紙なので、4kgという重さはクリアできているはずですが、物理的に入らないものはどうにもなりません。
もちろん、郵便局へ持ち込めば受け付けてくれるのですが、あいにく今日は土曜日。こんなことなら昨日のうちにやっておけばよかったと思うのですが、後の祭り。
仕方がないので、今日も窓口を開けている集配局に持ち込むことにして、レターパックを持ったまま、カレーやさん、ポッポを再び訪ねます。気さくなおっちゃんは今日も元気です。
カレーを頼むと、
「辛さはどうする?」
と聞かれました。この間のも美味しかったのですが、もう少し辛くても美味しそうです。
「1・2・3・4と、5辛まであるよ」
そう言われると、ちょっと悩んでしまいます。おっちゃんもそれを見越してか、
「辛いの、平気?」
と聞くので平気だと答えると、
「ほいじゃあ、2辛にしよう」
と決まりました。
2辛のカレーは、そんなに辛くない……と思っていましたが、後から辛さがやってきます。
「うちはインドのスパイス、つこうとるから」
「甥っ子がカレー屋もしよったんよ」
昨日言っていた、お肉やさんだという甥っ子さんでしょう。
「元はフレンチなんやけどな」
世の中には不思議な人がいるものです。
「ホンマ、降らんねぇ」
おっちゃんが言います。調べてみると、その前に京都で1mm以上の雨が降ったのは7月24日のこと。それ以来、この暑さが続いているのだそうです。
それが、私が京都を離れた次の日、4日(日)の夕方に54.5mmの雨を記録。大雨警報と洪水警報が出るほどの土砂降りをだったというのですから、いつ何がどうなるか、先は見通せないものです。
最初の計画では、ポストにレターパックを出してから東山駅で地下鉄・バスの一日券を買い、ポッポで朝ごはんを食べてから、おっちゃんに教えてもらった「見返り阿弥陀」を見に行くつもりでいました。阿弥陀さまのおられる永観堂のあたりに土曜日も開いている郵便局はないかと探してみたのですが、見つかりません。
「これもご縁というやつだな」
そう思いながら、地下鉄の駅まで歩くことにします。
ポッポから東大路通りを下り、東山三条の交差点を右へ。
「確か、地上への階段のところに定期券売り場があったなあ」
そう思いながら着いたのは、地下鉄の京阪三条駅。ゲストハウスの最寄り駅は東山駅なのですが、最初に来た時のイメージでひと駅歩いてしまったのでした。
まぁ、これもご縁かもしれません。定期券売り場で一日券を買うと、丁寧に説明してくれたうえ、観光用のバス路線図までいただけたのでよしとしましょう。
京阪三条駅9:29発の地下鉄で烏丸御池駅へ。ここから中京郵便局は歩いてすぐ。無事にレターパックを出して身軽になりました。さあ、ここからが本当のスタートです(個人の感想です)。
赤レンガの局舎は三条通に面していて、南に下ると、次の通りは六角通。
「六角ってなんだろう」
と思ったら、この近くに六角堂というお堂があるようです。
京都を東西に走る通りは、歌で覚えています。
「あねさんろっかくたこにしき……」
でも、私が最初にこの歌に出会ったのは、実は京都ではありません。さだまさしの「昨日・京・奈良、飛鳥・明後日」という曲に、この部分が出てくるのです。
だからでしょうか。南北に貫く通りは全然覚えていません。
「てらごこふやとみ……」
と言われれば、「あぁ、そんな覚え方があったよな」と思い出す程度なのです。
六角堂の寺号は、紫雲山頂法寺。本堂の形が六角形であることから、六角堂と呼ばれているそうです。
現在の本堂は、1877年(明治10年)の再建とのこと。
「ではいつから六角形なのだろう」
と疑問に思ったのですが、寺の歴史によれば、聖徳太子が587年(用明天皇2年)に創建したと伝えられていて、このときに六角形の御堂を建てて念持仏を安置したとのこと。なにぶん、古事記や日本書紀よりもずっと古い時代の話なので、どこまで正確かはわかりませんが、かなり古い時代から六角形だったとことは確かなのでしょう。
表からではよくわかりませんが、裏へまわると、このお堂が六角形だということがわかります。
境内には文化財保護のための消火銃がありましたが、これを格納するケースも六角形。さすがは六角堂。この寺のこだわりが感じられます。
さあ、次の目的地を決めなければなりません。今回の京都の旅の一番のテーマがNIE京都大会だったので、それが終わってしまったら、何もないのです。
「とりあえず、新選組で昨日は三条大橋あたりを回ってみたから、新選組つながりで壬生寺あたりに行ってみようかな」
そんないいかげんな理由で次の行き先を決めたのでした。