5/5(日・祝)温故知新 お久し振りの京都の旅 2日目~その3~ | ちいたろうのお出かけ日記

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 宇治駅10:52発の普通電車に乗って、京都方面へ向かいます。ロングシートの車内では、私の隣に英語を話す外国人らしいお母さんと小さな男の子の兄弟が座りました。お母さんに抱っこされている弟くんは、私のリュックに刺さっているペットボトルの蓋が気になる様子。手を伸ばして、触ろうとします。それに気づいたお母さんが私に、「Sorry」と声をかけるのですが、そんなこと全く気になりません。それよりも、せっかくだから彼ともっと仲良くなりたいと思ってしまうくらいなのです。
 そろそろお昼の時間が近づいてきました。昨日の大衆酒場は昼からやっているのですが、さすがにこの時間にあそこへ行ってしまうと、今日一日がそれで終わってしまいそうです。
「他に店はないだろうか……」
さらに調べていくと、奈良線の東福寺駅近くで見つかりました。
 しかし、東福寺と駅名にもなるくらいなのに、「そんなお寺、あったかなぁ」と思うくらい、印象の薄いお寺です。ガイドブックなんかで見てはいるはずですが、清水寺や金閣・銀閣のように、第一級のメジャースポットに比べると印象が薄いのです。
 店を調べたついでに、東福寺についてGoogle Mapsで見てみると、1236年創建の仏教寺院とありました。歴史がある寺であることは間違いありません。ただ、どんな寺なのか、この時点ではまったくわからないのです。
「せっかくだから、予備知識なしで行ってみるか」
予備知識がそこまでなければ、お昼ごはんをたらふく食べて、満腹を理由に行くのをやめてしまっても後悔することはないでしょう。
 11:10、東福寺駅到着。店まで行ってみたのですが、そこまで興味をそそるような店ではありませんでした。こういうことはよくあること。次の候補を探します。


 駅前の通りにある飲食店を覗いていくと、寿司専門店という看板が見つかりました。お寿司やさんは日本全国にありますが、このお店の店頭には「京寿司」と書かれていて、食品サンプルが置かれています。京寿司なんて、有名店で食べたらかなりのお値段ですが、ここでは税抜き1,500円というお手頃価格。
「よし、ここにしよう」
そう決めて扉を開けると、京寿司いづ松さんの店内にはお客は一人もいないようです。
「(入っても)大丈夫ですか?」
お店の人に声をかけて、テーブル席に座らせてもらいます。
 さっそく、一人分の京寿司を注文します。すると、すぐにお茶が出されました。喉が渇いていたのでグイッと飲むと、このお茶がなんとも美味しい。京都だからか、それともお寿司やさんだからなのか。たまらずお替わりをお願いします。この時点で、すでにこの店が気に入ってしまいました。


 やってきた京寿司は、見た目も上品。とても丁寧に作られているのが分かります。
 まずは太巻きから。
「う、うまい」
太巻きにそこまで期待していなかったのですが、一つひとつの具材にしっかりと味が染みていて、ひと口で食べてしまったのが惜しくなるほど。ここから先は、少しずつ味わっていかなければいけません。
 どれも美味しかったのですが、何より気に入ったのが鯖。締め具合が最高です。こんな値段でこんな贅沢をしてよいのかと思うほど美味しいお寿司に大満足なのでした。
 カウンターには、持ち帰り用の寿司がいくつも置かれていました。
「まさか、ウー◯―イーツは来ないよなぁ」
すると、お客さんがちゃんと取りに来ました。
 それでも、まだ寿司があります。よほどたくさん持ち帰りの注文が入っているのでしょう。
 お会計を済ませて店を出ようとすると、どこからかお囃子の音が聞こえてきます。
「今日は藤森神社の祭礼なんですよ」
寿司やのおかみさんか教えてくれました。なるほど、先ほどの持ち帰り用のお寿司は、そのためのものだったのかもしれません。ひと言断って、お店の前で見学させてもらいます。
 「藤森神社鼓笛隊」という立派な提灯を掲げ、鼓笛の子どもたちを先頭に行列がやってきました。先頭は小学校低学年くらいの子が綱を持っています。
「この暑さの中、立派だなぁ」


 けれども後ろの方では、やりたくもないのにただ連れられて参加しているだけだと思われる子どもたちが、この暑さと歩いてきた疲労で音を上げています。なんとも子どもらしい姿です。
 私が子どもの頃は、お神輿が来る時には「お菓子がもらえるよ」と言われたものですが、現代の子どもたちにとって、お祭りに参加するというのは何が楽しみなのでしょうか。歩いたり、山車を引いたりするのが楽しみだという子は少ないでしょう。大人だつて、もしかしたら途中で振る舞われるお酒を楽しみにしているかもしれません。
 行列を見送ってから、近くの瀧尾神社も見学。こういった小さな神社にふらりと立ち寄るのも大好きです。ここは拝殿の木彫りの龍が有名らしく、昇殿料を払えば見学できるとのことでしたが、そこまで龍に興味はないので、「まぁ、いいか」と諦めてしまいます。こういうところでつい、貧乏性というのが出てしまうのです。


 駅名にもなっている東福寺にも行っておくことにしましょう。駅前の通りを歩いていくと、東福寺への道を案内する看板があります。もしかすると、私が知らないだけで、訪れる人が多い寺かもしれません。


 少し進んでは曲がり、さらに進んでは曲がる。地図で見ると階段状になっているであろう道は、昔の日本ならではでしょう。わざと見通せないようにしたのか、それとも防御上の理由なのか。でもそのお陰で、新緑の美しい一本道を楽しむことができるのです。


 そんな道の先に、屋根のついた木造の橋が見えてきました。臥雲橋という橋らしく、なんと重要文化財とのこと。そんなものが普通に存在して、現役で使われているなんて、京都という場所はまこと恐ろしいところだと思うのです。