2/24(土)キタキタ秋田になんで来た?! 2日目〜その7~ | ちいたろうのお出かけ日記

ちいたろうのお出かけ日記

お出かけしたことを中心に書いてます。
日本全国,風の向くまま気の向くまま。
いつかはあなたの住む街へ,行くかもしれません~♪。

 もうすぐ18時というところで、これ以上待ってお腹が空かないと出かけるのが億劫になると思い、ホテルを出ます。川反まで行ってみようかとも思ったのですが、ホテルからまっすぐ北に歩いたあたりにも飲食店が集まっているようなので、そちらへ行ってみることにしました。
 雰囲気のよさそうな海味さんというお店を見かけたので、入れるかどうかを聞いて、カウンターに座らせてもらいます。


 熱燗のお酒は、高清水、太平山、両関の3種類から。両関というのは確か昨日飲んだような気がするので、太平山をチョイス。


「この五点盛り、一人で食べきれますか?」
 魚が食べたかったので聞いてみると、店員の女性が、
「2切れずつしかないので、大丈夫です」
と言います。なんと正直な店でしょう。


 しかし、2切れずつとはいえ、このマグロの甘さ、鯛の味わい、しめ鯖の味つけ。そのどれもが素晴らしいのです。
 お店のご主人に美味しいと伝えると、
「今の時期は魚がなくて、集めるのが大変だった」
と言います。
 あれ? 昨年の夏、どこかで聞いたような話です。それならいつが美味しいのかと聞くと、
「日本海は、夏ですねぇ」
と、長崎で聞いたのとは逆の季節を言いました。なんとなく、冬は海鮮が美味しいようなイメージを勝手に抱いていましたが、海水温などが影響して、シーズンは夏前から始まるのだそうです。
 魚にすごく詳しいと思ったら、自分で釣りもするということで、壁には釣り上げた大きな魚と一緒に写った若いご主人の写真が飾られていました。
「それは、九州でクエと呼ばれる魚だ」
「冬なら魚が美味しいと思って、秋田に来てみたんですけどねぇ」
 するとご主人は、
「今はハタハタも獲れなくなった。この前、こんなサイズで1匹2,000円もした」
と、両手を20cmくらいに広げて教えてくれました。
「今ではすっかり高級魚なんですね」
「昔は箱いっぱいで50円くらいだったのになぁ」
 長崎の酒場で、魚が獲れる量は確実に減っていくと言っていたのを思い出しました。魚は和食には欠かせない食材ですが、いつか和食そのものが食べられなくなってしまうのでしょうか。


「もう一品、何かいただいて帰ろうと思うのですが、魚の料理で何かおすすめありますか?」
 すると、
「あなご、大丈夫?」
と女性の店員さんに聞かれました。
 あなごはもちろん、大好物です。でも、なぜわざわざ大丈夫かと聞かれるのでしょう。
「棒あなごっていうんですけど、たぶん食べたことのない味です」


 食べたことのない味とは、期待大です。それをとお願いすると、
「それまで、こちらをどうぞ」
と出していただいたのは漬物。なた漬けと自家製いぶりがっこだそうです。


 なた漬けは、たぶん大根だろうということは見た目でわかります。ひと口試してみると、べったら漬けのようでもあるのですが、甘みより爽やかさを感じます。
 いぶりがっこは、昨日の店とはまたひと違う香りで、実に美味しいのです。それを伝えると、
「頼んでいたばあちゃんがもう作らないって言うから、自分で作っている」
と教えてくださいました。
 いよいよ棒あなごがやってきました。


 あなごというと、鰻の蒲焼きのような見た目のふわふわとした食感をイメージするのですが、こちらはまったく違います。身はしまっていて、皮がパリッとしているせいもあるのか、硬い印象です。見た目も初めてですが、食べたことのない味というのも納得。けれど、皮も身もうまいのです。
 お替わりした熱燗とともにあなごを楽しんでいると、お店に男性が一人入ってきました。どうやら常連さんらしく、カウンターの奥に座ると、ご主人と話し込みます。その秋田弁がなんとも心地よく聞こえるのです。
「こちら、東京から来られたそうです」
 私もご主人に紹介され、秋田弁トークに混ぜてもらうことになりました。
 ご主人と常連さんは長い付き合いらしく、「前のお店」なんて話も出てくるほど。以前は別の形態の飲食店をやっていて、その頃からのお客さんなのだそうです。
 他のお客さんがいなくなったからでしょうか。ご主人が厨房から出てきて、客席に座りました。3人でのおしゃべりは、さらに盛り上がります。
「言葉、わかる?」
と時々聞かれますが、確かにわからない部分がないわけではありません。けれど、それはご愛嬌。大切なことは、一緒にその場を共有すること。言いたいことは、正確ではなかったとしても、伝わっているはずです。
 地元の人と話すと、いろいろなことを教えてもらえます。例えば、竿燈の楽しみ方について。
「祭りより、浴衣姿の女の子を見て楽しむのがいい」
 なるほど。確かに、それもまた納得です。視点を変えるというのはこういうことかと思います。(多分違う)
 私が東京から来たということで、常連さんが、
「どこ行った?」
と聞いてきました。
 午前中は大森山動物園に行ったこと、その後定食やさんでお昼を食べたことを話すと、2人ともご存知だった様子。
「あのデカ盛り! よく食べたなぁ!」
 2人が「秋田の名店」と称する定食やさん。その白ごはんの話をすると、そこからお米トークが始まりました。
 常連さんのところの田んぼの米は美味しいと、ご主人が誉めます。常連さんは、
「うちのは水も日当たりもいいからなぁ」
と嬉しそうです。
 秋田の人とお米は切っても切れない関係なのかもしれない、そんなことを思うのでした。