高槻城公園の入り口にある第一中学校の脇に、ひっそりと工兵第四聯隊跡碑がありました。1909年（明治42年）から、この高槻城跡には大日本帝国陸軍工兵第4連隊が駐屯していたとのこと。古い城跡が軍の施設に転用されことは当時、よくあることだったのでしょう。それが今、こうして学校や公園などに利用されているということは平和な世の中になったと喜ぶべきなのでしょうが、軍事施設が必要でなくなったわけではありません。その機能がどこか別の場所に移っただけのこと。平和とは何かということを、こういうところでも考えさせられます。
公園に行くと、石碑のところに「城跡公園は高槻城公園に名前が変わりました」と書かれていました。どうやら、2021年に改名されたようです。高槻市のホームページを探っていくと、「長年市民の皆さんに親しまれてきました『城跡公園』は、かつて府内の三大城下町の一つとして栄えた高槻城の城下町を再生する歴史的景観づくりのシンボルとしてリニューアルするため、名称を『高槻城公園』に変更しました。」とありました。城跡公園では何か不都合があったのでしょうか。そして、わざわざ看板を立てるほどのことなのでしょうか。
さらには、府内三大城下町とはどこなのでしょう。秀吉が築いた大坂城の城下町はわかるとしても、あと一つがわかりません。調べていくと、「西国の要 大阪・尼崎・岸和田 参城めぐりキャンペーン」なんていうのを見つけました。こちらはもう、高槻が入っていません。大阪だけに、なかなかツッコミどころがある表示です。
公園内には高槻市立歴史民俗資料館もあり、こちらも覗いてみます。
旧笹井家住宅という建物は市の有形文化財で、江戸時代中頃に城下の紺屋町に建てられていた商家を移築復元したものだそうです。いかにも古い日本家屋といったつくりが落ち着きます。
中に展示されているのは昔の生活用具や農具などで、どこの町にもある資料館といった感じでした。
それよりもずっと魅力的だったのが、外の公園です。遊具が点々と置かれているのですが、その遊具がどれも昭和感たっぷりで、自分が子どもの頃に遊んだようなものばかりだったのです。さすがに小雨の降る中遊んでいる子どもはいなかったのですが、ついつい懐かしい気分になったのでした。
クッキーハウスのツネおにいさんによると、今年の本番はこの土日の高槻の2公演で終了とのこと。例年やっていたクリスマスの配信もないというので、これを逃してしまうと、次にクッキーハウスの演奏が聴けるのは来年になることは確実です。
そこで、検討士並みに参加を検討しました。あらゆる選択肢を排除せず、検討に検討を重ねたうえでさらに検討を加速させ、公民館の申し込み状況を慎重に見極めながら緊張感をもって適切に対応した結果、前日の金曜日になって、「ええい、ままよ！」とすべて手配したのです。
そして、日曜日の真上公民館は申し込みが必要なのは分かっていましたが、土曜日の城内公民館も申し込みが必要だったことに気づいたのは金曜日の朝に宿の予約をした後のこと。
「このままでは聴けないではないか！」
と気づき、公民館に直接交渉して、市民ではないけどクッキーさんの演奏をぜひ聴かせてほしいとお願いしました。
「実行力に乏しいところはまさに検討士と同じだな」
と苦笑いするしかありません。
まずは、公民館の方にごあいさつ。
「ああ、昨日お電話いただいた……」
と、すぐにわかってもらえたようでした。
「小西先生のお知り合いですか？」
とおっしゃられたので、
「えぇと、クッキーハウスさんの演奏は、何度か聴いたことがあるんです」
と答えておきます。決して、嘘はついていません。
コンサートが始まるまで、会場の隅で待ちます。
館内を、制服姿の高校生が歩いていました。今日はクッキーハウスさんたちの前に、近くの高校の生徒さんたちが演奏すると聞いています。
「きっとあの子たちだろう」
私も吹奏楽で公民館を利用していますが、そんな私たちでさえ「若者」と言われることがあるほど、公民館の利用者には年配の方が多い印象です。若いお父さんお母さんが赤ちゃん連れで訪れるならともかく、高校生が公民館の廊下を、制服姿で何やら慌ただしそうにしているのは新鮮です。
セッティングを終えたクッキーさんたちに呼ばれてお話をしているうちに、そろそろ15時。高校生の演奏が始まる時間となったのでロビーに移動して、部外者らしく後ろの方の席にお邪魔させていただくことにします。
今回は、「Twilight Concert in 城内」というタイトルの城内公民館の成人講座です。対象は、高槻市内在住または通勤・通学の方。つまり、東京に住んでいる私は対象者ではありません。そこを、ダメもとで連絡してオッケーをもらったのです。
最初は、大阪府立槻の木高校弦楽部の皆さんによる演奏です。クリスマスらしい帽子をかぶった女の子たちが楽器を持って登場します。
まずは、クリスマスらしく「サンタが街にやってくる」。初々しく、一生懸命に演奏しているのが伝わってきます。
その後のMCによれば、1年生だけで活動しているとのこと。先輩たちを頼るのでなく、自分たちで活動していこうというその意気込みが素敵です。
それから「銀河鉄道９９９」「You Raise Me Up」「いつも何度でも」とプログラムは進み、最後は「おめでとうクリスマス」で高校生の演奏は終了。いよいよ、クッキーハウスの出番となるのでした。
【セットリスト】
「サンタが街にやってくる」
「銀河鉄道９９９」
「You Raise Me Up」
「いつも何度でも」
「おめでとうクリスマス」