前記の学校に対する概ね満足している内容は、今や既に過去の話。


進路指導説明会と修学旅行説明会が保護者向けに実施されたので行ってきた。



…びっくりした。

悪い意味である。


進路指導話は、熱意もあり、特色や指導内容もわかる話で問題なかった。


何が問題かというと、残りの修学旅行の件。



娘の学年からは行き先が変更になり、ヨーロッパに行く予定だった。

学校の特色を加味した、本物の体験をするという目的だった。

受験前から学校案内でその話はオープンだった。

そのために積み立てもしてきていた。


それが頓挫した。



まぁそれはいい。

円安で世界的な物価高。

燃油サーチャージのこともある。


ロシアとウクライナ、イスラエルとハマスの戦闘による影響は多大。

時勢がらヨーロッパに行けないであろうことは、予想の範囲内。



うちのお隣さんのお子さんが通う私立高校では、海外の予定だった行き先がハウステンボスになり、その分ホテルのランクが上がりライトアップもゆっくり楽しめて、返金もあったと喜んでいる。


さて、娘の学校はどうするのだろうと思っていた。



学校からはまったく、これまで保護者に対するアプローチはなかった。


つい先日、学校アンケートがオンラインであったばかりだし、何かとオンラインで通知してくる学校なのに、情勢の説明もアンケートもなかった。



で、今である。

ほぼ決定の事項として、「東京に新幹線で二泊三日」と言われた。



行き先は、浅草寺、スカイツリー、国立科学博物館その他。

国立科学博物館は上野にあるので、ついでに上野動物園。

他は国会議事堂、ナショナルチームのスポーツ観戦、としまえん跡地のハリー・ポッターなど。


「ホンモノの体験、友達との楽しい思い出」

を作る目的らしい。



は?

これってほとんど、先月ばぁばと私が回った場所やん。

80前のおばあちゃん達が観光したルート。


本州に住んでいれば、新幹線で簡単に出掛けられ、はとバスで回れそうなルート。

前例踏襲しかしない、保守的な公立中学が選びそうなルート。


生徒のことを真剣に考えた形跡を、欠片たりとも感じないプラン。


なんだこれ?

ヨーロッパでのホンモノ体験からえらい墜落しきったな。




返金はもちろんあるけれど、私立中学に期待するのはそこじゃない。


家族とでは得られない人生の経験、実体験を友達と得られること。



学校の推奨するホンモノの体験ってなんだ?


博物館に飾ってある死体の成れの果てを、解説もそこそこにおしゃべりして見ることか?

外国人の観光客を掻き分けることか?

フィクションの世界観を楽しむことか?


違うだろ。


カトリックの学校なんだから、九州に行って天草や長崎の世界遺産の教会と、島原の乱の日本史の最新説を確認するとか。


奄美大島とか、屋久島とか、ちょっと難しいかもしれないけれど小笠原諸島とかの自然に触れて、環境や生態の多様性を生で感じるとか。


北海道で大自然やその恵みを堪能するとか。


台湾とか、シンガポールとか、韓国とか、ベトナムとか、グアムとか。


同じナショナルチームのスポーツ観戦で

「全力で日本チームを応援する体験」

でも、国内と海外のアウェイで応援するのではまったく得られる経験値が違うはずだ。


国内の日本人多数のスタジアムで、漠然と応援してどうする!

都会のど真ん中の動物園で飼育されている動物を見て、今さらどうする!


ヨーロッパがダメでも近場海外とか、国内遠方や離島とか、もっと何かあるやろ?


英語教育に力を入れているという売りのくせに、英語の平均偏差値も芳しくない上、外国のナマ体験もする気がないって、どういう方向性なんだ?


なんでいつでも行ける東京の、いつでも行けるド観光地なんや。


2年前にヨーロッパに行けると考えた積み立てがあれば、近場ならもっと様々な可能性があったはず。



時期も11月の予定が「受験があるので」梅雨になったのはわかるが、ならば、梅雨のない地域に行ったら良かったんじゃないか?


学年で70人もいないのだから、今からならどうとでもなったはずだ。



それに、こういっちゃなんだけど、国立科学博物館より福井の恐竜博物館の方が見ごたえあったぞ。


国立科学博物館は色々あるけれど広く浅いので、専門分野の博物館の方がやはり工夫があって面白い。



浅草寺は確かに立派だけれど、ほとんど外国人を見に行くようなものだった。


和風やら、いかにもなおみやげ物なら、普通に買い物に行ける距離に京都があるから、まったく不自由してないぞ。



なんで、このツアー?

どうしてこうなった?


そもそも進路説明会では「学費のスポンサーである保護者の意見も話して…」とか言っていたけど、学校から修学旅行に関して、スポンサーに何一つ打診はなかったぞ。


質疑応答の時間もなかったし、最初に概要を初めて説明した校長も

「私は高校の方の説明会に行く必要がありますので失礼します。」

とか言って、そそくさと逃げ去ったぞ。


みんな、話が呑み込めなくてポカーンとしているうちに校長は逃げたぞ。


あまりにも理不尽。



よって、クラス懇談会後に数人で担任を囲んで、意見の上申を依頼しました。


担任の説明では、ほとんど上層部が勝手に決めたということ。


行く時期も説明の時期も、「この時期でいいんですか?」と投げ掛けたけれど、こうなってしまったとのこと。



「東京ならディズニーリゾートの話もしたんですけど、そこだけは却下で。」

との話。


まぁ、私立中学に来るような家庭は、行きたかったら自分で行ってるだろうから、別にそこはいいけど。



とりあえず

「修学旅行のことで、クラス懇談会で暴動が起きましたとかについて伝えておきます。」

と、担任の話。


担任が直接悪いわけではなく、学校のトップが悪いのだろうし、普段担任がよく見てくれていることを知っているので、間に挟んで困らせるつもりはない。



それにしても、私立中学を選ばせた保護者にとって、返金される金額の多少は論点ではない。

(追加料金は怖いと思っていたけれど。)


子どもの得難い人生経験料金として、覚悟して支払ったお金だから。


それが、打診もされずに中身がスカスカになったと通告を受けたのだから、契約違反と感じるのはやむを得ない。


学校に裏切られた気持ちとしか、いいようがない。



返金については旦那と相談して、娘のために置いておくことにしたけれど、あの引っ込み思案の娘が数人の友達と遠方の海外に旅行に行ける未来がまだまだ見えないので、本当に今回のことが残念でならない。