今年は自治会の地区役員に当たっている我が家。


日曜日の朝、地区役員が実施する夏のお花のプランター植えを旦那と地区長が終えた頃、近所の世話役的なおじいさんが来られたそうです。


「独居のSさんの新聞が3日溜まっているんや。かといって車は置いてあるし、こんなこと今までなかったし、心配や」

ということです。



それを聞いて困った地区長の女性。

そして旦那はなぜかその事で私を呼びに来ました。

「なぁなぁ、独居のSさんが新聞溜まってるし、車があっておかしいって」



独居のおじいさんはちょっとややこしい方。

午前様で帰ってきて、未明には出発してしまう、自宅での滞在時間の短い方。


人付き合いが極端に少なく、この数年誰もほとんど会っていないのですが、自治会費や連絡はメモを入れておくとキチンと返事が返ってくるそう。


常に家はほとんどの雨戸が閉まっています。


「警察に通報して、親族から入院とかしていないか確認してもらったら?

緊急連絡先の簿冊あるやろ」




それにひょっとしたら、たまたま親族のところにいるとかもあり得ます。


ただ、独居の方だし、万一、倒れているとか亡くなっているとかだと大変です。


親族に連絡すれば所在がわかるかもしれないし、合鍵もあるかもしれません。

さらに必要なら窓を割ったり、鍵屋を呼んだりする許可もとれます。



世話役のおじいさんは

「駐在は、昔はちょいちょい来たけど、この10年ほどは全然見よらんし、ちゃんと連絡先あるんやろか?凝視

と懐疑的です。


うーん。

それは我が家の近くに、すぐに駐在所にあれこれ言いに行くクレーマーとして有名な人がいるからかも?



でも、この地域は滅多に住人の入れ替わりもないし、なんなら10年前の簿冊内容に10歳足したらほぼ現状という感じです。


内容が古くてもたぶん大丈夫。



地区長に話すと「そうして!」と言うので、地区長の代わりに地元警察署に通報しました。



しばらくすると現れた警察官は、おじさんと若手の二人組。

二人はやはり近所の住人に話を聞き始めました。

「あれ?緊急連絡先がわからなかったんですか?」

と聞くと、わからなかったとのこと。



警察も来たのでご近所の面倒見のいい住人たちがさらに現れて、みんなで様子について話し始めました。


自治会で把握しているのは、自宅の電話番号のみ。

今は民生委員さんもあまり首を突っ込まないので、普段元気にしている様子なだけに、携帯や連絡先もわかりません。


騒ぎになっていても出てきそうにない方なので、これだけ集まっていても「どうしました?」と出てくることはなさそう。


とりあえず、ダメ元で自宅の電話に掛けてみます。

玄関扉に耳をくっつけると、呼び出し音はしています。


しかしやはり無反応。



どうしても連絡が取れなければ、自治会費からお金を出して鍵屋さんを呼んで玄関を解錠して貰おうか?


もし中で倒れていたり亡くなっていたら、今日は暑くなりそうだし、良くないよね。


そんな話になってきました。


最初に話を持ってきた地元世話役のおじいさんは、

「もう自治会費で開けたらええやんけ」

と即決を主張しています。


万一、倒れていたら一刻を争いますから。



するとお向かいさんが

「たまにお迎えの人の車に乗って、2、3日出掛けることがありますよ」

と新たな証言をされました。


そこで、

今日は日曜日だしまだ新聞が溜まって3日目だし、高齢だから仕事は関係ないとはいえ旅行の可能性もある。

月曜日まで待ってみようか。

それで連絡が付かなければ解錠を考えてはどうか。

という話になってきました。


そんな話をしている時に、最初の時点でドロン魂と消えていた旦那が現れて私に

「もうええやろ。戻れよ」

と言ってきました。


「そんなことを言われても、責任者は地区長かもしれんけど、私は通報者だから」

誰かさんのように、人に丸投げしてさっさと消えるとか無理だし。


警察官への事情説明や通報者の人定事項の説明もあります。

すると、旦那はまたすーっと消えていきました。



そんな話をしていると警察官が

「担当の駐在さんが今、別の業務についていて、戻ってきたら親族の連絡先とか見られるはずです。」

と教えてくれたので、とりあえずそちらの連絡先に確認できるのを待つか、翌日まで待とうかという話にまとまりました。


その頃、覆面パトカーと遺体搬送車に乗った私服警察官も到着。


「こういう場合、亡くなっていることが多いんだろうね。

今日はうちには早すぎたけど」

と私と地区長でコソコソと話します。


日曜日なので警察も当直体勢だから、攻めて早めに来たのでしょう。


そしてまた旦那が現れて

「もう戻れよ」

と言ってきました。


まだ自治会の最終結論は出ていません。

まだいるから、と断りました。


もうしばらくあれこれ話していると、警察官が言いました。

「駐在さんが午後に戻る予定なんで、戻ってきたら緊急連絡先を見て貰いましょう。

それでわからなければ、明日まで待って連絡が取れなければ、また解錠などの結論を出しましょうか。」



とりあえず結論は出たわけですが、地域の皆さんはまだ落ち着かない様子で残っています。



地区長とは、高齢化が進んでいる地区なのでこれからも独居の方は増える可能性があるし、これをきっかけに緊急連絡先を聞いておくことや、自治会費用からの解錠費用の支出を考えておこうという話をしました。



そしてまた旦那が現れて、戻るように言いに来ました。


さすがにもう出来ることもないし、結論も出たし、旦那もしつこいのでここを離れることにしました。



「じゃあ、うちの庭先にいますんで、また何かあれば声を掛けてください」

と言っても、我が家の裏手まではすぐ斜め向かい。


住宅街内ではやや広い道路に面しているので、遺体搬送車と覆面パトカーは、うちの横に停まっているくらいです。



そこで本日の予定通り、その道路側の庭の草むしりを始めました。

旦那もそこに何をするでもなくいると、警察官のうち、おじさんの方が来ました。



そして、今回のまとめのような話をしてくれたのです。

お向かいさんが、数日の留守はあると教えてくれたことなどです。


すると旦那は

「おれは、警察呼ぶ前に近所中にもっと話をきいてからでいいんじゃないかと思ってたんやけど」

と言いました。


は?ムキームカムカムカムカ

なんだコイツ?


あんたがやった実際の行動は、私に困り事を言い付けに来て、そのまま丸投げすると消えただけだけど?


しかもその後も、特に用もないのに私を呼びに来ただけで、まるっきり一切なんの役にも立っていないけど?


警察官の前で、あまりにも突然いい顔を始める言動に衝撃です。


ほんっとうに、めっちゃムカつきます。


とにかく私は

「警察が来てくれたので、地域の住人がたくさん集まってくれたりして、話が進行しました。

ご迷惑をお掛けしましたが、来ていただいたことによる効果です。」

と言って警察官にお礼を言いました。


そもそも私は駐在所にある緊急連絡先から親族に確認して貰えばすぐに何らかの結論が出るかと思っていました。

駐在さんの不在により連絡先が一時的に不明だったことがちょっと想定外で、話が大きくなった原因なのですが。



こうしてこの時は一区切りをつけました。


この午後に、地区長が再びうちを訪れて、駐在所にあった連絡先から旅行中だということが判明して、無事が確認できたという連絡を受けて、お互いに安堵しました。


そして今後の対策を話して別れました。


我が家のある地区は、かなり自治会活動などが面倒くさい地域ではありますが、逆に住人同士の繋がりがまだ生きていて、こういう時にはいいなと思いました。