4月1日。
息子が座っている私のところに来て、甘えて膝の上でデローンと腹這いに伸びたので、定番の頬っぺたやお腹のぷにぷにをつまみながら言いました。
「きっきはカッコいい。
きっきは強そう。
きっきは背が高い。
きっきは手足が大きい。
きっきはシックスパックが割れている。
きっきは賢い。
きっきはきちんとしている。
きっきは忘れ物をしない。
きっきはしっかりもの。」
それを聞くと、息子は猫が喉を鳴らさんばかりの満足そうな表情で言いました。
「エイプリルフールっていい日やなぁ」
そう。
息子の全ては正反対ですから!
まぁ、そんな1コマはともかく。
矯正歯科をまだ続けている息子。
期間はダラダラ長引いています。
その理由は…息子がアカンタレなので
まず、初期の頃のシリコンゴム製の寝るときや自宅にいる時に、歯に嵌める道具。
年齢より顔も小さく顎も細く、永久歯が生えてからは歯並びが恐ろしいほどグチャグチャだった息子。
上の前歯が前後にズレている位置関係を直す器具を使いました。
まずは、寝る時にはめる➡️しない。もしくはすぐに外れる。
起きている時に嵌める➡️口の中で弄ぶ。グリグリ歯で噛みしめる。
これらを繰り返した結果、
真っ二つに食いちぎりました
マジで
となり、再度これを作り直すことになりました。
もちろん費用は追加料金です。
その金額は税込11000円だったと思います。
その後もキチンと取り組んでいない時期などがあり延長を繰り返したので、結果として普通の人の3倍の期間を経て、このシリコンゴムの矯正期間を終了しました。
お陰で、前後にずれていてまるで立体迷路の壁のようになっていた前歯は、概ね同じ列に並ぶようになり、多少の見栄えと歯に詰まる食べ物の問題は軽快しました。
さて次の段階です。
上の歯の裏側に歯列を広げる金属を装着しました。
しばらくは食事の度に食べ物が挟まって不快そうな様子。
しばらくすると慣れたらしく、その姿が収まったので安心しました。
そして数ヶ月後の検診に行き、次の金具の話をすることになったのですが…
「お母さん
ちょっとよろしいでしょうか?」
歯科衛生士さんに呼ばれました。
診察椅子に寝転がる息子の横に、呼ばれて座りました。
「金具がありません。」
「は?」
もちろん歯の話だから、は?と言ったわけではありません。
金具がないってどうして?
直径3センチ以上ありそうな、馬蹄型の金属製ワイヤーを誤って飲み込むことなどないでしょうに。
まさか…
「金具に食べ物が挟まって不愉快だから、弄っているうちに取っちゃったのか?」
息子に言うと、息子はバツの悪い顔をしました。
「これって外す時にも、かなり力をいれないと外れないのですが…」
歯科衛生士さんは、不思議そう、かつ苦笑をするという高等テクニックの表情です。
そう。
我が家の息子は、しばしば予想の斜め上をいってくれます。
それにしても、取ってしまったのは仕方がないにせよ、なぜ言わないのか
(もちろん怒られるとわかっているから言わなかったのですが、そのまま放置で再診を迎えたら、もっと怒られることは想像出来なかったのか?)
矯正歯科を自ら望んでいるくせに、2回も自分で器具を壊してしまうこの体たらく
鬼の形相の私が
「お前は~
何度も何度もしょうもないことを繰り返しやがって~
もう矯正やる価値なんかないわ」
と怒り狂っていると、歯科衛生士さんが
「まぁまぁ」
という様子で合いの手を入れます。
「金具があれば、再度装着出来るか点検して、再装着することもできますよ。」
そこで息子に金具は残っているのかと確認すると、「あるよ!」と自信を持って息子は断言しました。
「本当にあるんやろうな?」
かなり疑わしい気持ちで確認します。
「ある!」
息子は断言します。
そこで、次回の予約で外した金具を探して持ってきて、使えるようなら再装着、ダメならまた別料金で再作成すると決まりました。
なお、再作成費用は税込11000円だそうです。
で、結局、探したけれどありませんでした。
ひょっとしたら大掃除の時に私が捨てたのかもしれません。
なぜなら、息子が図工の授業で作った針金細工の余りや、息子が伸ばしたクリップの針金などをあちこちから拾い集めてまとめて捨てたからです。
息子はひどく怒られるとその腹いせに、針金などで壁紙をこっそり引っ掻いたりしていたので、できるだけ処分するようにしていることが理由です。
しかしもちろん、きちんと置いてあるものを捨てるわけがありませんので、ゴミ同然に放置されていたから捨てたのです。
「どこに置いてあったんや?」
「帽子のとこ…」
なるほど。
確かに棚の上に置いてある、普段あまり使わない帽子の下に、戸棚に直に針金があったような気もします。
ホコリもついていて、直置きされていて丸まって汚かったので、容赦なくゴミと判断したかもしれません。
結局なんだかんだ言って、また作り直してやり直しをすることになりました。
もう手を引きたい気持ちも強いのですが、ここで止めたからといってお金がいくら戻って来るのかも怪しい話ではあります。
現在取り組み中の第一期の矯正が終わってしばらくしてから、12歳臼歯が生え揃うのを待って第二期治療に入るか普通は決めるようです。
既に息子は小学六年生になりました。
「そのうち、12歳臼歯が揃っちゃったりして」
なんて考えることもありますが、発達が遅いからまだまだ大丈夫な気もします。
このまたもや余分にかかる費用の11000円は、息子のお年玉貯金=学費用の貯金から引こうと思っています。
しかし結局はその貯金から、(行けたとしたら)大学費用の補助を出すのだから、最終的には親が足りない分を負担するのだし、なんの意味もない、気分だけの問題だとわかっていることが虚しいです。
それにしたって…。
矯正器具の一つ一つが11000円ずつ。
毎回、再診料で3300円支払い。
レントゲンなどの検査費用は、別料金で支払い。
じゃあ、残りの約40万円は純粋に技術料と人件費。
矯正に入ってからの診察回数が、一段階につき2回から3回。
ということは一回あたりの金額は…。
それどころか、再診はだいたい一回30分未満。
一分あたりの金額は…
恐ろしい
そんな話を職場でしていたら、やはり子どもを矯正に連れていっているママさんが
「それは考えちゃダメ」
と慌てて介入してきました。
お金に関しては無にならないと、連れていけないのが矯正歯科だと実感いたしました。