全9話 朝の恋愛小説
『君の名は…Twitter ver.』①
第一話 モダンガール
連立方程式の解き方は教えて貰えても、恋の連立方程式の解き方は学校では教えて貰えない…
そもそも、恋に連立方程式が成り立つと聞いた事はない
しかも、答えは一つとは限らない
つまり…
割り切れないのだ!
だけど、何か法則のようなものがあるのかも知れない
あれは、桜が散り初めた大学2年生の春
その頃の俺は、誰と付き合っても長続きせず恋愛に悩んでいた
今、つき合っているジュンコとも別れの気配を感じていた…
https://youtube.com/watch?v=LgyoOePQtg0&feature=shares
第二話 風を感じて
ある日、先輩から合コンの設定を頼まれ、
高校時代の同級生で憧れていたマキを思い出し、連絡を取ってみた
マキは神戸の女子短大に合格して、一人暮らしと聞いてる
電話してみると…
以外にもマキは あっさり承諾してくれた
「あ、それでさぁ… 合コンする場所なんだけど…」
『ちょっと下見しておいた方がいいよね!良かったら今度の土曜日に行かない?』
話しを先回りするところは変わらないなぁ… と、思いながら、待ち合わせ時間を決めて電話を切った
なんだ、こんな事ならもっと早く誘ってみれば良かった…
それとも、俺に良い風が吹いてきてるのかなぁ…
何かが動き出した気がした
https://youtube.com/watch?v=shaT-wkbrz0&feature=shares
第三話 君に会うまでは
合コンが終わった後も俺とマキは、たびたび逢ってはディスコで踊っていた
マキと逢っている時だけが、本当の自分でいられるような気がした
その日も夜遅くまで踊って
「そろそろ帰ろう… 駅まで送るよ…」
店を出て腕を組んできたのはマキだった
『ねぇ、今日はこっちから帰らない?』
そう言って誘導された
煌めく街の灯り、人影のない歩道橋、マキを横目で見ながら歩く道…
"愛おしい"
これが恋と言うもの?💦
歩道橋の真ん中でマキが立ち止まる
時間も止まったのだろうかと思うほど、音のない世界へと溶けて行く…
ただ、マキの唇だけが艶やかに光り、そっと肩を抱き寄せて口づける
その夜、二人は… 結ばれた…
https://youtube.com/watch?v=oqqI41r3lp8&feature=shares
第四話 愛という名のもとに
ある日、マキとドライブしていたら…
『パパにあなたの事を話したら、そいつに決めろって言うのよ(笑)』
ジョークかと思った…
マキは短大だから来年の春に卒業
俺は2年後に卒業して、社会人としてマキを養って行く自信が付くのは何年後なのか…
「今はちょっと考えられないな^^;」と苦笑いした
マキは少し寂しそうな顔をした…
それから暫くの間、何故か逢えなくなっていたマキからの連絡
明日の飛行機で渡米して、アメリカ在住の日本人と一緒にサンフランシスコで暮らすと言う
意味が分からなかった…
夜中だったが急いでマキのマンションへ車を走らせた
「大学はどうするの?」
『中退する…』
あとは何も言えなかった
夜明けまで無言で窓の外を見ていた
『また連絡するね…』と、マキが呟く
なぜ素直に頷けなかったのだろう
マキの瞳に映った自分から視線を逸らすように踵(きびす)を返して部屋を出た…
https://youtube.com/watch?v=sBASx8lTlJ8&feature=shares
第五話 ラストショー
マンションの玄関から外に出ると…
そこには潮の香り、鳥の声、緩やかなカーブを描く海岸線の道…
全てが美しく、愛おしく、切なかった
いつもなら三階の窓から手を振るマキに、笑顔で応えて帰るのに、今日は振り向く勇気さえない
もう逢うこともないのか…
そんな事を考えながら駐車場への登り坂を歩いて行く
降り出した雨に急かされるように車に乗ってエンジンをかけた
どうやって帰宅したのかも覚えていないほど動揺していたと思う
雨は激しさを増していく
ただ、マキとの楽しかった日々が脳裏を駆け巡っているだけだった
https://youtube.com/watch?v=dA8tUZBFPeM&feature=shares