エブリーを見た | ロンドンつれづれ

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様々な震災を受けた地域をその後、後追いして報道する日テレのニュースで伝える番組。

 

これに、仙台と言う3.11の被災地出身の羽生さんがスペシャル・メッセンジャー、つまりリポーターとして協力を続けている。

 

これまでも何度も見てきたが、羽生さんはこの番組ではリポーターに徹しており、取材を受ける人々からの言葉をしっかりと引き出して視聴者に伝えている。

 

昨日は3.11でも被災地であり、また3か月前には山林火災の被害を受けた岩手県大船渡市を訪ねて現地の人々にお話を聞いていたが、余計なことは言わず、しかしながら被災者の気持ちに寄り添った質問の仕方、また受け答えが印象に残った。 この番組での自分の役割をしっかりとわきまえ、また同時に、同じ被災者としての羽生さん自身の言葉が印象に残った。

 

 

 

 

大船渡の山林火災が発生した時には、「ああ、また同じ地域が…」と見ているだけでも絶望的になったが、現地で実際に被害を被った人々の絶望はいかばかりだっただろうか。

 

その中でも定置網を貸し出してくれるところがあって、漁業を一応続けられると話している部分や、中学校で生徒たちが役割分担をして避難所の運営などを学ぶという部分は、人間の強さと言うか、困難の中でも前を向いて立ち上がる様子が垣間見えて、救われた気持ちになった。

 

羽生さんが突然やってきたということで嬉しそうだった中学生の笑顔もかわいらしかった。

 

番組を通じて、抑えたトーンで話していた羽生さんだが、これまで彼が東日本の被災地だけでなく、その後の地震、大雨、洪水、山林火災などのたびに寄付を行ったり、番組を通して現地に赴き、被災者の言葉を伝え続けてきていることは、ファンならみな知っている。

 

震災を伝えるのは案外難しくて、被災地で情報を取ることを優先して被災者に対して押しつけがましい報道人が多い中、羽生さんの被災者の気持ちに寄り添い、彼らの言葉をまず第一に伝えようという姿勢はなんだか皇室の方々の訪問にも似ていて、独りよがりな部分がまったく感じられないという点でも、この人は本当に賢い人なんだろうな、と感じる。

 

被災地支援では寄付を行う芸能人などに「偽善者」とかいう心無い言葉を浴びせる愚か者もいるが、そういうお前は何か役に立っているのかと言う目で見られていることも意識していないのだろう。

 

そして被災地や被災者について何か述べれば、ヒステリーのようになって噛みついてくる人たちもいる中、こういった仕事を頼まれても嫌な顔一つせずに協力をしている羽生さんは、「なにがあっても被災者支援を続ける」という強い意志があるんだろうな、と思う。その意志は東日本だけでなく、突然の震災に絶望しているであろう人々に広く向けられるようになっているのだろう。

 

「金メダルをとって、被災地の支援ができるようになりたい」という彼の16歳の時の言葉は、実現した。 

 

強くなければ、優しくなれないというのは事実だからだ。自分にゆとりのある強い人でなければ、弱っている人に手を差し伸べることはできないだろう。

 

16歳の結弦君は、金メダルが自分に力を与えてくれることを知っており、死に物狂いで努力を続けた。その結果として手にした「力」、つまり影響力を、自分のためだけに使うことを拒否し、あの決意のとおりに理不尽な天災で絶望しているであろう人たちのために使い続けているのだ。

 

若いのに偉いなあ、と思う。

 

思うだけでなく、私たちもそういう姿勢を見習って、自己本位に生きていくばかりではいけないな、と思わなくちゃな、と感じる70歳であった…。