カマラ・ハリス | ロンドンつれづれ

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4年前のアメリカ大統領選では、トランプを僅差で破って大統領になったジョー・バイデン氏。その後の彼は、私的には失望という印象だった。特にイスラエルを支持してガザへの空爆を容認する言動にはがっかりしたのである。(とはいえ、イスラエルの過剰な攻撃を「自衛」と言い張る西欧のリーダーたちはいまだに多いのであるが、アメリカがそれを引っ張っていることに間違いはない。)

 

確かに先日の討論会でのバイデンさんは精彩を欠き、これではとても勝てないなという印象を民主党支持者ですら持った。オバマ元大統領も、ペロシ元下院議長も大統領選からの撤退を勧め、バイデンがやっとそれを受け入れた時には皆ホッとしたことだろう。

そもそも8年前トランプが共和党の第一候補として残るなんて「ジョークだろ!」とタカをくくっていた人も多かっただろうに、選挙が近づくにつれ実は強固な支持層がある、ということが分かってきたのだ。そしてヒラリー・クリントンを破ってトランプ大統領の登場。その後の4年間をみて、トランプでなければ誰でも良いと思ってバイデン氏に投票した人たちも多かったのではないか。

 

人民を分断して、その半数をガッチリ自分の側につけるというトランプの単純な戦術は、単純なアメリカ人層にピタリとハマったのである。

 

そして選挙結果が出てバイデンに負けた時にはインチキだと騒ぎ、その結果をまったく認めようとせずに、議会襲撃を扇動した男がトランプである。荒唐無稽な陰謀論を信じる人々が実に簡単に乗せられ、日本にまで「光の戦士」だの「ディープ・ステート」だの、おかしな話を吹聴する人々が現れた。

 

最近、イギリスでの7月4日の総選挙でボロ負けしたスナーク首相の潔いスピーチを張り付けたツイッターが出回り、「この人の爪の垢をアメリカの負け犬に飲ませたい」といったコメントがつけられていたのには笑った。 トランプは、いまだに自分の負けを認めず、グッド・ルーザーとはまったく言えないのである。

 

あの顛末があっても、まだトランプの信者が多く存在しているというのがアメリカという国なのだ。女性に対するセクハラや脱税といった嫌疑で裁判で負けたりしている男を、自国のリーダーに祭り上げようという国民が多くおり、40%以上の支持率を持つというのだから油断はできない。

 

バイデン氏の年齢を言うなら、トランプだって大して違わない。しかし、バイデンはよぼよぼした爺さんだという印象を有権者に植え付け、それを一番前面に出してきたトランプ陣営は、バイデンの撤退、そして新たにカマラ・ハリスという若い候補者を民主党が立ててきたところで、戦略を変えなくてはならない。

 

副大統領としてあまり目立つことをしてこなかったハリス氏だが、先日ニュースを見ていたら、彼女を知るというグレン・フクシマ氏が、かなり褒めていた。頭の良い女性で、民主党が上手にキャンペーンを展開すればトランプに勝てる可能性もある、という。

 

アメリカももうそろそろ、「普通の良識」を持った若い人にリーダーシップを渡したらどうか。バイデンさんに良識が無いとは言わないが、あまりにも老齢だし、トランプ氏にはあまりにも良識がない。人々のヘイトを煽って自分の味方につけようというジャイアンみたいな人にアメリカのような強大な国を任せるのは、いまの世界情勢では危なすぎる気がする。

 

トランプだって2年もすれば、いま自分が中傷しているライバルと同じ年齢になるんだ。どんな業界だって、80にもなった人がいつまでも幅を利かせているような世界は、将来性がない。 年齢だけで人の能力をどうこう言えないことは分かってはいるが、自分をかえりみても、正直なところ、一昨年よりも去年、去年よりも今年、できないことは増えてきている。それは体力だけではなく、気力もだ。要するに、無理はきかない。

 

私は自分が80歳になったとき、一国をマネージするだけの体力も気力も無くなっていると思うし、人間にはピークというものがあって、それはやっぱり経験も生きてくるし体力もある、33ぐらいから58才ぐらいなんじゃないか、と思っている。 

 

老いては子に従え、というけれど、78歳と81歳が大統領選を闘うというのを聞くと、いったい他に人材はいないのか、アメリカ?と不安になるのである。そんな年齢になってもまだ権力に執着している彼らの様子を見ると、優秀な後輩を育てる気もないんだろうし、強欲なんだろうな、と思うのだ。

 

暗殺者によるトランプ狙撃は失敗し、トランプ陣営はあの一件を案の定200%利用していた。弾は耳をかすっただけ、という実においしい状況が生まれていたからである。敵の攻撃に負けず、血を流して立ち上がり、こぶしを振り上げるトランプ。これを「民衆を率いる自由の女神」の絵になぞらえた大バカ者もいたではないか。

 

トランプ信者が耳に白い包帯を当てて集まっているのを見て、気持ち悪い…と思ったのは私だけではないと思うが…。どっちにせよ、あの事件で注目を集めたトランプ陣営は勢いづいたのである。これを利用しない手はないではないか…。

 

 

失敗したトランプ狙撃は、もちろん民主党陣営にとってはたいへんに「まずい状況」だったのだ。(犯人の背景がどうであれ、民主党支持者からだって、暴力で人を黙らせようということは賛同を得られないだろう。)

 

なので、多くの人の声を聞いて、やっとのことで引き下がることを決めたバイデン氏にはホッとしただろう。今のままではこの勢いに乗ってトランプが再選される、と多くの人が思っただろう。 なので、少しでも政治的センスのある人は、流れを変える必要性を感じていたのだろう。

 

 

 

カマラ・ハリスの能力は未知数で、今からの準備でトランプに勝てるかどうかも分からないが、少なくとも「民主党は確実に負ける」という状況からは脱したのではないだろうか。

 

選挙資金、という点で言えば、ウオール街の大口献金者がぞくぞくと現れているそうである。前回の大統領選でハリス氏の出馬を支持した最も著名なウォール街幹部の1人であるマクガイア氏は「多くのウォール街のリーダーが彼女を支援するために結集するだろう」と指摘。「これは民主主義への明快な呼びかけだ。ハリス氏が持つ信頼性はウォールストリートからメインストリートまで響き渡る」と語った。

 

ウォール街の大口献金者が続々と結集、勢いづくハリス氏支持の風 - Bloomberg

 

また、黒人女性の支持者が4万人結集、3時間で2億円の寄付が集まったそうである。

 

黒人女性4万人超がハリス氏支援で結集、3時間で2億円の寄付集まる - Bloomberg

 

ハリウッドのスターたちも、ハリス氏をバックアップしている。

 

バイデン米大統領が再選を断念し、大統領選の民主党候補としてハリス副大統領を支持する決断を下したことを、米エンターテインメント業界の大物たちは歓迎している。先月行われた討論会が散々な結果となったバイデン氏に対し、ハリウッドでは撤退の決断を求める声が強まっていた。

  スティーブン・スピルバーグ氏、デービッド・ゲッフェン氏、ジェフリー・カッツェンバーグ氏らの政治アドバイザーを務めるアンディ・スパーン氏は「全員がカマラ・ハリスの後ろ盾だ」と述べた。バーブラ・ストライサンド氏はX(旧ツイッター)に「バイデン氏は4年間の任期中に重要な功績を残した人物として歴史に名を残すだろう」と投稿。ジェイミー・リー・カーティス氏はインスタグラムでハリス氏への支持を表明し、「女性の権利と有色人種の断固たる擁護者」だと評した。

 

ハリウッドが一転して前のめり、大物が相次ぎハリス氏の「後ろ盾」に - Bloomberg

 

 

カマラ・ハリスが大統領になれば、アメリカ史上初めての女性大統領であり、しかも有色人種の女性大統領、ということになる。移民問題やイスラエル・ガザ問題など、難問は山積みだが、彼女ならどのようなかじ取りをするだろうか。 少なくとも、トータル・ケオスというような状況にはしないだろう。

 

イスラエルが付け上がったのだって、トランプがアメリカ大使館をエルサレムに移したりしたことも影響があるだろう。ネタニエフにはアメリカは自分が何をしても味方をしてくれるという傲慢さがあるのだ。 

 

U.S. President Donald Trump and Israeli Prime Minister Benjamin Netanyahu shake hands

 

 

 

23日、ガザの人道地区を攻撃、避難していた子どもや市民を70人も殺したイスラエル軍。

 

 

 

 

トランプが大統領になったのだってロシア政府は「我々が介入した」と認めているのだから、ロシアとは仲良しなのである。 ヨーロッパでは、トランプ大統領はロシアによってつくられたとまでいう人もいるのだ。それはおそらくトランプも分かっていると思う。だからプーチン大好きなのを隠そうともしない。

 

 

「もしトラ」が「確トラ」になった、などと話していた日本の政治家もいたが、そうなった時の世界の混乱を考えた方が良い。気候変動にも責任を持たず、NATOからも外れ、ロシアやイスラエルはやりたい放題、ということになるかもしれない。ジャイアン・トランプの機嫌を取って日本だけ何とか守ってもらおうという根性ではなく、世界秩序を考えれば、いつまでも老人トランプにかき回されていて良いことはないだろう。

 

ハリス氏に何ができるか。 少なくとも、トランプじゃないなら、という気持ちの人がまた多く投票するかもしれない。世論調査では、ハリスがトランプをリードしているというニュースもでてきた。

 

ハリス副大統領が世論調査支持率でトランプ氏をリード「アメリカを後退させようとしている」 ジョージ・クルーニーさんも支持表明 (msn.com)

 

 

トランプ陣営、相も変わらず、相手を侮辱することで勝とうとしているが…。これまた大変な保守的差別発言だ。また国民の間に分断が生まれるだろう…。

 

 

 

アメリカも、いい加減、もっと政治家として良識を持った人同志の対決を取り戻さないと、世界中が迷惑するのだ…。

 

 

ところでイスラエルの暴挙に対し、やっと少し風向きが変わってきた…?

政府、入植イスラエル人へ初制裁 パレスチナ人に暴力行為(共同通信) - goo ニュース

 

 

 

下は無所属の上院議員、バーニー・サンダースさん。彼のような人が立候補すればねえ・・

 

「黒人、白人、ラテン、アジア人、富む人、貧しい人、ゲイ、ストレート、すべての人のためのアジェンダを作らなければいけない。

 

誰だって、医療も、暮らしていけるだけの給料も、住む場所も必要だからだ。

 

たった1%の人たちだけを見ている政府じゃなく、すべての人のために働く政府が必要なんだ」

 

 

 

全国民の税金で給料もらっている政治家なら、その義務としてまったく当たり前のことじゃあないかと思うんですがね…。