うるさい夜 | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

 
今朝起きたら、夫から文句を言われた。
 
「夕べ、君は一晩中いびきをかき、指をポキポキ鳴らし、大声で叫んだりして、すごくうるさかった」というのだ。それはすみませんでした、と謝ったが、自分で記憶はもちろんまったくない。
 
昨晩は確かに体調が悪く、仕事からの帰りの列車の中で急激におなかが痛くなり、夜はおかゆを食べて湯たんぽを抱えて寝た。だから、腹痛などで寝苦しかったのである。微熱も出ていたような気がする。
 
それに今年は花粉症が出ている。そうなると鼻が詰まっていびきをかくかもしれないが、ここ数日のども痛いのである。風邪かと思うが、花粉症の薬を飲むとおさまるので、これも花粉症の症状かもしれない。
 
 
このところ数日暖かかった後に、昨日はまた急に気温が下がったのだ。それでおなかの調子が悪くなったのではないか。私は冷えるとすぐにおなかをこわす。 コタツ布団をしまったのも良くないのかもしれない。また引っ張り出さなくては。もう7月だというのに。
 
 
そして、今週は月曜日からフォーマルな機会が多くて忙しかったので疲れも出たのかもしれない。自分では気が付かないうちに、ストレスがたまっていたのかも。
 
だいたい夫婦で暮らし、リモートで仕事をしていると、ほとんどしゃべらないのである。それが、今週は人としゃべる時間がうんと長かったのだ。
 
 
月曜日は天皇陛下のレセプション、火曜日は夕食会があって10時半までロンドンにいた。水曜日も外出があり、昨日の金曜日はアーティストさんとランチョンミーティングがあって数時間しゃべり続けていたのだ。
 
 
そう、昨日は朝10時半に家を出てロンドン中心部まででかけた。
 
 
どんな1日だっただろうか....。
 
 
まず駅で、こんなおかしな人を見かけた。頭にたくさんのカーラーをまいたまま、切符を購入していた。
 
イギリスの女性は平気でブラのひもを出しっぱなしにしたり、レースのように薄いレギンズを履いてパンツ丸見え状態で往来を闊歩していたり、ローライズのジーンズからTバックのストリングがたくさんはみ出していたりしても平気である。しかし、こんなにカーラーをつけたまま電車に乗る人は初めて見たぞ…。
 
朝から仰天した。
 
 
 
 
 
地下鉄の駅では、ヨーコ・オノ氏のポスターが。テイト・モダーンで展示会をしているらしい。 彼女がビートルズの不仲・解散の原因だと思って、天敵のように言うイギリス人は多い。確かにジョン・レノンと付き合い始めた時、ジョンには奥さんと子どもがいたし、ポール・マッカートニーは、レコーディングにまでついてくるヨーコをとても嫌っていた…。
 
 
 
などと考えながら目的地へ急ぐ。
 
 
ピカデリーサーカスへは久しぶりに来た。 6月はゲイをセレブレートする月だというので、たくさんのフラッグが上がっている。
 
 
 
 
 
懐かしいピカデリー界隈は、私の前の職場から近いので、ランチタイムに良くブラブラ歩いていたのだ。
 
 
 
大好きな立ち寄りスポット、ウオーターストーン書店。
 
 
 
ここの上階にあるカフェの、「プルドポーク・サンドイッチ」は絶品である。ロンドンにおいでの際はぜひお試しあれ。
 
 
やたらにスポーツ選手の本がたくさん並んでいた。
 
 
 
子供向け書籍。パディントンとか、ペッパ・ピッグとか。
 
 
 
こちらにも、ウセイン・ボルトとかスポーツ関係の絵本がたくさん。
 
 
やはり、あと1か月でオリンピックだからかな?
 
 
その並びにはケーキ屋さん。
 
 
 
 
 
そして、セント・ジェイムズの教会。ここではよく、アンティークショップの屋台がでているが、この日はまったくやっていなかった。残念。ここにもレインボーの旗が。
 
 
 
中ではランチタイムリサイタルをやっていた。
 
 
 
リサイタルのポスターが。
 
 
教会の敷地を足早に通り抜け、目的地へ急ぐ。
 
 
 
このセント・ジェイムススクエア界隈には、紳士用品の老舗が並ぶし、パブなども格調高い。
 
 
 
セント・ジェイムスのガスライトというバー。ジェントルマンのバーとラウンジ、となっている。
 
ちょっと入ってみたいかも。
 
 
 
すぐ近くには、世界的に有名なシンクタンク、チャタムハウスが。
 
「チャタムハウス・ルール」というのは世界的に使われているが、「今この部屋で話し合われたことは、よそで話題にしても良いが、誰がそれを発言したかは言わない」という紳士ルールである。こことは何度か共催のセミナーを行って、協働した。日本の著名アカデミックや政治家が来た時に行い、各国大使を含む300人ほどの聴衆を得たこともある。
 
 
 
界隈で仕事をする人がサンドイッチをもって休みにくるセントジェイムズ・スクエア。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
そこを通り抜けて、つい先日天皇陛下のパレードの馬車が通ったパル・マルの通りには、数多くの紳士クラブがある。
 
その中の一つ、リフォーム・クラブでこの日のランチョン・ミーティングを行った。リフォーム・クラブはジュール・ベルヌの「80日間世界一周」で有名である。

 

 

 
メンバー制クラブなので、メンバーでなければ入れない。ボスがメンバーなのでここに予約を入れてもらってランチをしたのである。 私とアーティストさんはゲストなので、入り口でメンバーであるボスの名前を言って、入れてもらう。
 
 
 
 
Reform Clubは、1837年に政治的革新派、Whigのメンバーらによってつくられた、リベラルなクラブである。「政治改革」を目指す人たちの集まりということで「リフォーム」と名付けられた。 リフォームクラブのメンバーであったチャールズ・バリーによって設計、パル・マルに建築された。
 
 
 
 
館内は写真撮影禁止、スマホの使用も禁止であるが、女子クロークルームなら、他のメンバーに迷惑をかけないだろう。
 
ここは女子トイレ。広々としていて豪華。
 
 
ティッシュボックスにまでリフォームクラブのエンブレムが入っている。
 
 
 
広々としたクロークにコートなどをかけたりロッカーに私物を入れる。大きな荷物はここから先は持ち込み禁止。
 
クラブ内は、ドレスコードがあるので、男子はジャケットとタイ、女性もジーンズや運動靴は禁止。 私もここで靴をヒールに履き替えました。
 
 
 
以下はネットからお借りした写真で。
 
エントランスホール。
 
 
 
 
エントランスホールの高い天井は、天窓になっていますが、ボス曰く「雨漏りがひどくて、下にバケツが置いてあることが良くある」とのこと。古い建物ですから…。 
 
「80日間世界一周」では、このリフォームクラブが、冒険の起点になっています。 冒険を終えて最後に戻ってくるのも、リフォームクラブ、ということになっています。
 
主人公が、リフォームのメンバーだったということですね。当時は当然メンバーは男性だけでしたが、今では女性もメンバーになれるそうです。
 
Stranger's Room、ストレンジャーとは外者の意で、かつてはメンバー以外のゲストはこの部屋しか入れませんでした。今は、メンバーが引率すればここから先にも入れます。
 
 
 
階段にはリフォームのメンバーだった元首相などの胸像が。鏡を前に降りてくると自分の姿が堂々と見えるんだ、とはボスの説明。ちょっと長身に見える細工がしてある?
 
 
 
 
エントランスホールを見下ろす回廊では、紳士たちが座ってコーヒーなど飲んでおり、この廊下の壁のあちこちには、スタッフを呼ぶためのボタンが。
 
 
このあたりは、最近の007などの映画にも登場しているので、見覚えのある方もいるかも。
 
 
 
天井からの柔らかな光が素敵。
 
 
歴代のメンバーで、有名な人のポートレートがたくさん。
 
 
 
 
Smoking roomと呼ばれる部屋ですが、英国は法律で、今はどの建物も(個人の私室でない限り)室内は禁煙です。
 
 
Morning roomと言われる部屋は周りに古い本がたくさん並びます。ボスの書いた本もこの部屋に収納。メンバーが本を書いた場合、1冊は寄付するそうでたくさんの新旧の本が収められています。ここではコーヒー紅茶などのほか、お酒も飲めるバーも。
 
この他にも、メンバーがカードゲーム(主にブリッジ)をする部屋や、ビリヤードをする部屋などもあります。
 
 
そして、食事をしたのがこちらの部屋。窓の外はロンドン中心地なのに広々としたプライベートガーデンが。
 
 
 
 
メンバーはこちらでランチもディナーも取ることができますが、ここの奥には個室もあって、リフォームメンバーの政治家などが秘密裏に集まって会談などをおこなう「キャビネットルーム」というのがあります。ちょっと隠し部屋的なドアが壁の一部にあって、面白い。
 
そちらは、私も仕事で夕食会を行うときに何度か使わせてもらいましたがプライバシーが保たれていてなかなかよろしい。
 
 
建物の上階の方はお部屋になっていて、メンバーが宿泊できるようになっています。国外メンバーというのもいるので、メンバーフィーさえ毎年払っていれば、彼らはロンドンに滞在する時にこちらに宿泊でき、クラブのファシリティをすべて使うことができて便利です。
 
 
 
 
と、ここまで書きましたが、実際のところ、こういった紳士クラブのメンバーにはなかなかなれなくて、すでにメンバーになっている人2名からの推薦および、かなりの数の他のメンバーが賛成の署名をしなければなれません。
 
なのでリフォームだけでなく、ロンドンのセントジェイムズ界隈に集中している紳士クラブのメンバーになるには、自分を推薦してくれる人を見つけ、さらに賛成の署名をもらうためのロビー活動が必要、ということになります…。日本人にはハードルが高いですね。
 
 
本当のところ、イギリスの政治経済を動かしているのは、ほとんどがイートン・ハロウといったパブリックスクールからケンブリッジ・オックスフォードといった大学に上がり、さらにセント・ジェームズで紳士クラブのメンバーになっているような人たちだ、ということが言えるかもしれません。イギリスには貴族たちも残っていますし、そういう人たちがバッキンガムパレスの晩さん会に呼ばれたりしており、厳然と階級社会が残っています…。
 
 
 
さて、私の体調の悪さ。
 
ここ2日ほどの寒さもあると思いますが、月曜日のレセプションに始まり、ディナーやランチョンミーティングといった、「バリバリの現役時代」のようなスケジュールが続き、多くの人と仕事上の会話を交わすというストレスの高い週だったこともあるのかもしれません。
 
やっぱりよる年波には勝てません…。このような生活は刺激が多くて楽しいことは楽しいのですが、ストレスも高いようで、もう6‐7年も仕事を離れていた私にはやっぱりキツいのです。
 
フルタイムの仕事はあと2か月ほどありますが、ここから先は主にリモートワークです。自分のペースでできますし、公共交通機関を使ったり、夜遅くまで残業、ということもありませんので、きっとなんとか最後まで走り続けることができるでしょう。
 
今、6時には食事をして8時半にはベッドに入る生活をしていますので、10時半まで仕事、というのはかなり負担になります。ボスも含め同僚は皆若いので、理解してもらうのは難しいところがあります。
 
 
 
9月からはまたリタイアした年金生活が始まります。
 
人は、人生のマップの色々な地点で、自分の働き方を替えなくてはなりません。女性の場合、結婚、出産、子育てや老親の介護など、自分の思惑ではないところで色々と節目があります。
 
そして自分の気力、体力とも話し合いながら仕事を調節していかなくてはなりません。
 
久しぶりに戻った仕事は、案外楽しかったのです。 ボスからも「来てもらって助かった、あなたでなければできなかった」という言葉ももらい、同僚からも部下からも暖かい言葉がありました。やってよかったな、と思うけれど、「毎日が夏休み」という日々も早く戻ってこないかな、と思う。
 
特に体の調子が悪くなると、「やっぱりちょっと無理をしたな」と思います。仕事は楽しいけれど、高齢者にはストレスも高いのです。
 
 
疲れるとすぐにおなかにくる私。
 
もう70歳、無理は禁物。
 
ぼちぼち、やっていこう!