こんなことをして、たった8年とは…。
本当に日本の子どもたちは、もっと守られるべき…。
家庭でこういうことが起こるのだから、小学校で低学年のうちに性教育をして、まずは自分の体の「プライベート・パーツ（口や性器）」を誰にも触らせないことを教えるべきだ。たとえ相手が親であろうが、先生であろうが、「こういうことは、普通じゃない。他の大人に助けを求める」ということを、子どもたち本人に理解しておいてもらう必要がある。
虐待を何年も受け続けている子どもは往々にして、「これが普通だと思っていた。よそのおうちでも、こうだと思っていた」ということを言う。家庭で大人が子どもを殴ったり蹴ったり、暴言をはいたり、体を触ったり、性行為をするのは「普通ではない」から、誰かに話さなくてはいけないということを教えこんでおくべきだ。
学校では、誰に助けを求めることができるか、学校の先生、ヘルプラインの電話番号、オンラインなど、いくつものレスキューを、繰り返し教えておくべきだ。
「霊が憑依」と10代娘に信じさせ性交 4年半虐待 父親に懲役8年
毎日新聞
2024/5/31 20:09（最終更新 5/31 20:10）
10代の娘に性的虐待を加えるなどしたとして、監護者性交などの罪に問われた父親に、大津地裁は5月31日、懲役8年6月（求刑・懲役9年）の判決を言い渡した。谷口真紀裁判長は「実父の立場を悪用し抵抗できない状況に陥らせた犯行態様は卑劣かつ狡猾（こうかつ）」と批判した。
判決によると、2018年に県内の自宅で当時13歳の娘と性行為をし、さらに、当時14歳の娘と性交をした。また、23年に、「（自分に）死者の霊が憑依（ひょうい）しており、要求に従って性行為などをしなければ（自分の）人格が消失したり、身体に危害を加えたりする」などの虚言を信じさせて当時18歳の娘を抵抗できない状態にして自宅で性交するなどした。
谷口裁判長は判決理由で、娘が13歳の時から約4年半の長期にわたって性的虐待を繰り返し、裸体の撮影もしたとして「常習性が顕著。自らの性欲や支配欲を満たすために、（娘の）心身への悪影響を意に介さず避妊薬を服用させて避妊具を使用せずに性交するなど（娘の）肉体的、精神的苦痛の大きさは計り知れない」と断じた。娘が父親の虚言をいまも否定できず、被害を申告したことで家族の生活を壊したという罪悪感があると述べているとして「心身の健全な成長や将来への悪影響が懸念され、被害は重大かつ深刻」と指摘した。
5月7日に同地裁で開かれた初公判の冒頭陳述では検察官が「娘にご主人様と呼ばせていた」「性奴隷契約書を作成し、毎日のように性行為をした」などと指摘した。
初公判の被告人質問で父親は、「悪いことをした。やり始めた前後、（自分に）精神的に違う方面でストレスだった」「やめよう、やめようと思っていた」などと話した。裁判官からの「実の子に性奴隷を約束させる書面を書かせた抵抗感はなかったのか」という質問には「あの時は精神的におかしかった」と答えた。
初公判では娘が代理人を通じて意見陳述し、「家族がバラバラになってしまった。被害を訴えたことによって、家族に対して罪悪感を感じている。もう会いに来ないでほしい」と訴えた。
父親の氏名などは非公表。地裁は「一般的に被害者の特定を防ぐためなどで被告の氏名などを非公表とするが、今回、非公表にした理由は言えない」とした。【菊池真由】
「霊が憑依」と10代娘に信じさせ性交 4年半虐待 父親に懲役8年 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
被害者が罪悪感を感じるようなことが絶対にないよう、家族や関係者のみでなく、社会全体が子どもへの性的虐待に関して、認識を改める必要がある。
虐待は、アザややけどが外から分かる身体的な暴力のみでなく、性虐待のように周りでは気が付かないものが数多くあるのだ。
性虐待を受けている子どもの表す特徴を、教師や保育士もしっかり学び、子どもが兆候を見せていたら必ずそのSOSのサインを救い上げるようなスキルを、スポーツコーチ、かかりつけの医師や歯科医なども、身につけさせておく必要がある。もちろん虐待の疑いを持った場合は、すべての大人に通告の義務があることを忘れてはならない。
性的虐待を受けている子どもの兆候：下は、英国のNSPCC（児童虐待防止協会）より。
心理的・感情的な兆候：
- Avoiding being alone with or frightened of people or a person they know.（知っている特定の大人と二人きりになるのを避けたり怖がったりする）
- Language or sexual behaviour you wouldn't expect them to know.（その年齢にそぐわない性的な言葉を使ったり態度をとる）
- Having nightmares or bed-wetting.（悪夢を見たり、おねしょをしたりする）
- Alcohol or drug misuse.（お酒や薬物を乱用する）
- Self-harm.（自傷行為をする）
- Changes in eating habits or developing an eating problem.（摂食障害を起こしたり、食べるものが変わったりする）
- Changes in their mood, feeling irritable and angry, or anything out of the ordinary.（気分がムラになり、イライラしたり怒ったり、いつもと違う態度になる）
- Change in normal behaviour for the child, for example suddenly not attending education or avoiding wanting to go home/running away（その子のいつもの行動が変化する、例えば学校に行かなくなったり家に帰りたがらなかったり、家出をしたりする）
- Bruises.（あざができる）
- Bleeding, discharge, pains or soreness in their genital or anal area.（性器や肛門からの出血、分泌物、痛みや苦痛がある）
- Sexually transmitted infections, including in the throat.（咽頭を含む性病の感染）
- Pain/soreness in throat（咽頭痛）
- Pregnancy.（妊娠）
- Difficulty in walking/sitting that are not usual for the child.（いつもと違い、歩いたり座ったりすることが困難になる）
家出をする多くのティーンの家庭で、性虐待を含む虐待があることは、様々な研究で分かっている。
だが、性虐待の対象は、ティーンに限らず、数か月の赤ん坊から始まることを、私たちは知っておいた方が良い。 小児科医は、乳幼児や児童の性虐待を疑った場合、性器だけでなく咽頭部もチェックする必要がある。
また施設職員や里親は、預かる子どもの年齢にそぐわないませた態度を「悪い子どもだ」という目で見ずに、上記のように「性虐待の被害児の可能性」がある、という判断をする必要がある。
家庭で、子どもの健全な発育を保障する責任のある保護者から、4年半にわたって性的虐待を受けながら、誰にも相談ができなかった少女の人生は、他人には想像もできないほどダメージが大きいだろう。
彼女を守ることのできなかった行政・国は、犯罪者を罰するだけでなく、しっかりと心理職のサポートをつけて、彼女のこれからの人生が少しでも生きやすくなるよう、サポートする必要があるだろう。
実はこのように事件化し、目につくところに出てきている性虐待は、氷山の一角と言われている。 いまでも私たちの知らないところで、閉じられたドアの向こうで、誰にも相談できずに、親から、あるいは親のパートナーから性虐待を受け続けている子どもたちがいる。実は世界的に、パンデミック中の子どもに対する性虐待が増えているという統計がある。ネット上の児童ポルノ写真などの増加もあるが、離婚家庭などで同居しない親との面会ができなくなったことも大きな原因だと言われている。
こう言った事件が繰り返し起きないような予防策としては、正しい性教育が大きな役割を果たす。 学校での性教育に反対をしている場合ではない、と思う。
また、子どもの出すSOSを上記のような兆候から読み取り、救出につなげることのできる専門性を子ども相手の仕事をする人たちには身に着けてほしい。