She won her sexual assault case. Now she hopes the Japanese military changes so others don't suffer
セクハラを訴えられ、一度は彼女に謝罪をした上司3人は、裁判で「無罪」を主張した。
日本ではいまだに公共交通機関での痴漢行為や、職場でのセクハラ発言などが甘く見られる社会だ、ということは海外でも認識している。
規律を厳しく言われる自衛隊という場においても、女性に対する性的なハラスメントが横行しているということは、もちろんニュースになりやすい。
そして何より恥ずかしいのは、性的加害の被害者に対する、社会のまなざしである。被害者を非難するような文化があって、レイプ被害者やセクハラ被害者が、声を大にして被害を訴え出ることが難しいのだ。
レイプの加害者を訴えた伊藤詩織さんは、杉田水脈という女性国会議員からまで嘘つき呼ばわりを受け、BBCではその国会議員のインタビューが世界規模で流されて日本国民に恥をかかせた。
ジャニー喜多川に子ども時代に性的虐待を受けた被害者は、そのトラウマと誹謗中傷に心を病んで、自死をしてしまった。
上司である男性自衛官を正式に訴えた五ノ井さんに対しても、ネット上の誹謗中傷が襲い掛かった。日本だけではないが、社会の中にはミソジニストと言われる、女性に対するヘイトを持つ人口が一定数いる。 そして日本のように政府自身が家父長的保守の政党だと、ミソジニストの率は上がる。
彼ら(ミソジニスト)の考えは男性上位的であり、女性に対して大変に攻撃的である。 男性上官をセクハラで訴えた五ノ井さんは、彼らのヘイトのターゲットになった。 そのストレスと恐怖は、どのぐらいのものだろうか。
それでも、五ノ井さんは負けずに裁判をやり通した。
福島地裁は、3人の行為は「被害者の人格を無視し、被害者を宴会を盛り上げる単なる物として扱うに等しいもので、被害者の性的羞恥心を著しく害する卑劣で悪質な態様」「性的意図の程度にかかわらず動機や経緯に酌むべき点はない」と断じたが、3人は懲戒免職となるなど社会的制裁を受けているとして、それぞれ懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
これを不服として被告側は控訴するかもしれないので、五ノ井さんの戦いはまだ何年も続くかもしれない。 その間、誹謗中傷という攻撃を受け続けるかもしれないのだ。 社会が彼女を支えなければ、彼女のメンタルは崩壊してしまうだろう。
五ノ井さんが戦いをやめないのは、自衛隊という組織のなかにはびこる悪習、女性自衛官に対する扱いの文化を一掃し、生まれ変わってほしいという気持ちがあるからだ、とインデペンデント紙は書いている。女性を含め、だれもが安心して働ける場、ハラスメントに対して声を上げることができる職場として生まれ変わってほしい、と。
「私は自衛隊が大好きで入隊したので、何ごともなかったのようにセクハラをやり過ごすことはできなかった。自衛隊がより良い場になってほしいからです」 自分の元の職場を訴えることについて、五ノ井さんには複雑な感情があるが、同じようなことで自衛隊を辞めなくてはならないという人をもう見たくないという気持ちから戦っている、とインデペンデント紙は報道した。
彼女の勇気をこれまでたたえているのは、米タイム誌や、英国公営放送BBCといった海外の大手報道機関ばかりである。 これらは世界中に購読者、視聴者を抱える影響力の大きなメディアである。 自分のしていることが、世界に認められたということで、おおいに五ノ井さんの力になったであろう。
「次世代100人」に五ノ井里奈さんや英利アルフィヤ氏 米タイム誌 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
「BBCが選ぶ100人の女性」に元自衛官の五ノ井里奈さん - BBCニュース
ところで、彼女の功績をたたえる日本の大手報道機関はないのか。
それもなんだか恥ずかしい話ではないか。