スケアメ感想 | ロンドンつれづれ

ロンドンつれづれ

気が向いた時に、面白いことがあったらつづっていく、なまけものブログです。
イギリス、スケートに興味のある方、お立ち寄りください。(記事中の写真の無断転載はご遠慮ください)

まず、残念だったのが松生理乃選手の欠場。SP前の練習にもでてこず、どこか怪我でもしているのかと心配していたので、病気で、というので納得しました。

 

以下、動画を感謝してお借りします。

 

男子はまず、三浦選手の大健闘! グランプリシリーズデビュー戦としては、これ以上ないぐらいよくやったのでは。SPもフリーも自己ベストを更新しての2位。 あっぱれ!です。

 

 

 

SPを1位で折り返し、緊張もしたが、フリーは冒頭の4Loを転倒したのみで残りは落ち着いてできた様子。

 

 

ステップシークエンスやスピンで低いレベルをつけられていましたね、もう一回演技をじっくり見てみなくては。

 

 

三宅星南選手。8位。 コーチによると気が優しすぎるという三宅選手、頑張ったと思います。

 

 

 

そしてSPではトラウマになるかと思うほどジャンプを失敗した島田選手。 フリーでは気持ちの切り替えに成功し、自己ベストを出しました。 152.58で、5位。全体で、9位まで挽回しました。

 

動画が見つからないのですが、フリーの演技の始まる前には吹っ切れたような表情をしており、これまでの良いSPのあと、フリーで失速というパターンを覆しました。この経験はきっと次に生きる! 

 

次は、良いSPのあと、しっかり実力を出し切ったフリーを揃えてください! 英国GPSで会いましょう!

 

  

 

 

韓国のジュンファン・チャ選手は3位に。この007のプロは好きですよ~!美しいイナバウアーで歓声が。 

 

ジャンプは助走が長いですが…、着実に実力が上がってきています。

 

 

 

そして優勝のアメリカのイリア・マリニン選手。SPでは転倒があって4位でしたが、フリーで逆転しました。 冒頭、4Aを成功!

 

 

 

マリニン君。今回のクワドアクセルの着氷はこれまで見た中では一番安定していたかも。

 

しかし、以下の動画で見ると、離氷の際にはほとんど靴が後ろ向きになってから跳んでいるので、前向きに離氷する羽生さんの4Aとはかなりテイクオフの技術が違う、と思いました。 とはいえ、これをジャッジがOKとするなら、今後はこの形の4Aを跳ぼうとする人たちは増えていくかもしれません。この靴の角度だとどちらかというと、4S, つまりサルコウに近いテイクオフかもしれません…。エッジはインとアウトでもちろん違いますが...

 

https://twitter.com/ISU_Figure/status/1584029861961924608?t=hOJVu4qMoj_UhoyJiBIbfQ&s=19 

 

 

 

 

一応、PCSは三浦選手の方が数点高いようですが、まだまだマリニン選手の演技は全体としてジャンプだけが目立ち、何を伝えたいのかよくわかりませんでした。 ジャンプのエクササイズを見ているようで、「作品」になっていないという印象です。 同じ年齢ではありますが、三浦選手の「美女と野獣」の方が、スケーティングスキルもしっかりしており、見ているこっちに伝わってくるストーリーがありました。しかし、今後、オリンピックに向けてマリニン選手のPCSはどんどん上がっていくでしょう。願わくは、PCSに見合った演技の成熟を期待したいところです。

 

 

何のために音楽と共に滑るのか、フィギュアスケートの何たるかを考えれば、選手たち本人も、ジャンプをうまく跳ぶライバルのそこだけに目を奪われることなく、自分の持ち味や強みにしっかり自信を持ってくれるといいと思います。

 

 

ジャンプを失敗するので順位は下の方ですが、ミハイル・セレブコ選手、ローマン・サドフスキー選手などの演技も印象に残りました。

 

 

 

女子は、1位坂本選手、2位がアメリカのイザボー・レビト選手、3位が同じくアメリカのアンバー・グレン選手。 3選手ともミスなしではありませんでしたが、スコアが出た時に驚いたような顔をしていましたが、自分で思っていたより良い得点だったのでしょうか。

 

坂本選手は一つのジャンプパスでちょっと着氷が乱れただけですから、堂々の1位です。SPではレビト選手とPCSにあまり差がつかなかったけれど、フリーでは5点ほどの差がつきました。 

 

坂本選手、TESのベースバリューは59.57ですが、GOEが高いため最終72.65をもらっています。まだジャッジは味方のようですが、新たなアメリカ人スケーターを次のスターにしようというアジェンダがすでに見えてきているので、油断は禁物。3Aなどを組み込んでいくことを本気で考えて行かないと…。 昔パトリック・チャン選手もいっていました。ある時を境に「もうジャッジは自分の味方ではなくなった、と感じて戦々恐々とした」と。

 

SP後の坂本選手自身の言葉でもわかるように、今はジャッジが味方になっているようです。

 

「前日のSP後だった。「うそやろ!」と取材エリアで笑顔で叫んだ。感覚的にはエッジ違反だった3回転ルッツに、減点がついていなかった。「これがもし、去年そこまで成績出せてなかったら、取られてたんだろうな」

 

 

 

つまりエッジコールもURも、そういうとり方をしていることは、選手たちが一番実感している、ということでしょう。坂本さんは正直だから、つい言ってしまった。

 

これまでもA選手は見逃され、B選手はいつもコールされるというのはむしろ常態化しています。

 

 

レビト選手の演技は、アメリカ選手にしては繋ぎも多く、どちらかというとエテリ陣営のスケーターの滑りに似ています。経験とともに、PCSが上がってくるのは自然な成り行きで、そのうち3Aなども取り入れていくかもしれませんが、ジャンプの前の前傾の姿勢は、ちょっとメドベデワ選手を思い出させ、GOEのプラス項目の「ジャンプの前、最中、後の良い姿勢」や、「無駄な力のないジャンプ」と言った項目には該当しない印象です。

 

ですが何より、アメリカパスポートを持っていますから、高得点を取るという意味で、これから日本人スケーターの前に立ちはだかってくる選手であることは確かでしょう。私は今のところ彼女の滑りは結構好きですが、これからオリンピックに向けて、ジャッジが味方に付いていると思うことでどんどん繋ぎを減らしたスカスカなプログラムに変えて、点数の取れるジャンプに特化してくる可能性はあります。そうならないことを祈ります…。

 

ともあれ、スケアメでの得点を基にして、これから続く大会でもジャッジはスコアをつけてきます。これまではGPS始まってからのスケアメやスケカナで驚くような低得点をつけられた日本人選手が多く、今回も坂本選手にそういうことをしてくるかと危惧していましたが、さすがに世界女王というタイトルを持つ坂本選手のスケーティングスキルと安定した演技にひどい点数をつけてくる度胸は無かったようです。

 

そういう意味でも大きな大会でのメダルは役に立ちます。

 

 

残念ながら女子の演技の動画は見つけられませんでした。

 

韓国のヘイイン・リー選手やポーランドのエカテリーナ・クラコワ選手のPCSやGOEは、もっと高くてもいいんじゃないかなという印象を持ちました。 

 

また、グレイシー・ゴールド選手のカムバックに対する観客の暖かい声援には胸が熱くなりました。よくあそこまで戻してきたなあ、と。あの美しいスパイラルがまた見られて嬉しかったです。

 

 

アイスダンス、村元・高橋組のSPはなかなかキレがよく、気に入りました。ツイズルもずいぶん上達したな、と思いました。 が、SPもフリーも、アイスダンスとしてのユニゾンやアラインメントを見たいのに、二人が並んで同じ動作で滑る振り付けが少なすぎて、そのあたりの技術が向上したのかどうかが良くわかりませんでした。

 

優勝したチョク・ベイツ組も大好きなんですが、2位のハワイエック・ベイカー組のユーモラスなSPと、ユニゾンやアライメントの秀逸なフリーは、「これぞアイスダンス」という美しさで、素晴らしいと思いました。

 

https://twitter.com/twizzIcs/status/1584609971400241152?t=HOpztgyDcYgBbUzteeSEkA&s=06 

 

 

 片足で16秒! しかも並んでユニソンとアラインメントも完璧で! 素晴らしい!

 

 

 

ペアではカナダの39歳の女性のチームが2位と健闘。ジャンプもきれいにそろって降りて、他のペアチームの励みになります!

 

 

リザルトとプロトコルはこちらに。

ISU GP Skate America 2022 (isuresults.com)

 

 

坂本選手の優勝をISUも祝福

 

https://twitter.com/ISU_Figure/status/1584318654904414208?t=qaNq1GSLkSNwiemBFS1Enw&s=19 

 

 

オマケ。

 

この日21歳の誕生日だったジュンファン・チャ選手にケーキのお祝い。

 

 

 

 

よろこぶ様子が可愛いです。